2011年12月13日
常在戦場
元々はこのタイトルで別に書くことがあったのだが昨日のニュージーランドから見た欧州危機問題を書いたのでついでに中国ネタを書いておく。
あ、その前に一つ。うちの会社が払っているACC(労災保険)は0.22%です。旅行業として登録しておりかなり安い税率を適用されていると思いますよ、ただこの計算の根拠はよく分からん。時間のある時に会計士さんに聞いてみますね。
本題:
温州商人と言う言葉がある。中国の中でもビジネスに卓越しており常に最新のビジネスを作り出してきた商人達の住む温州に今異変が起きている。
ちょうど一年くらい前か香港市場から資金が流出しているという話が出回った。その資金がどこに行くのかと言うと温州である。温州商人がビジネスを拡大するにも中国内の銀行が資金引き締めになり借りられない。そこでノンバンクビジネスが発生した。毎月2〜10%の金利で資金を提供するのだが年利にすれば24%から120%!まさに武富士もびっくりするくらいの金利であるがそれでも温州商人からすれば借りたい。
香港側からしても株式市場で運用するよりも確実に稼げるからって温州に投資をして温州のビジネスパーソンはその資金を不動産投資や工場の設備拡大に使った。ところがそこからいよいよ米国の消費が落ち込み中国の工場で作った商品が米国で消費されなくなった。そして中国内の不動産の売れ残りが激増して温州商人が購入した不動産が値崩れで大損。
中国の幽霊マンションとは投資家が投資用に購入したアパートであり実際に住むわけではない。だからアパートが完成しても電気は消えており誰も住む人はいない、ひたすら投資用にぐるぐる回る駒のようなものである。
その駒も誰かが勝ってくれてるうちはよいがバブルの特徴である「ある日突然一人の投資家が“これって高過ぎない?”と考えた瞬間」にバブルが弾けてそれまでの価格が一気に下落してそれが連鎖して不動産価格の下落が始まる。
このような誰も買わない下落物件が去年から深川、広州などで広がっている。この現象は中国内では知られているが外国に情報が出ていくことはあまりない。時々経済雑誌で単発に情報が出ることはあるが、それが時系列で情報分析として語られることは少ない。
なので欧州よりも実は中国の方がやばいのではないかと言う話は中国系金融では広く知られている話だがその情報が西側世界にはあまり出回ってない。
簡単に言えば中国は米国と言う購買者がいて工場が成立して明日は不動産価格が上昇すると信じた人々が不動産を購入したが、今はその歯車がすべて反対に回り始めたという事である。
もちろん中南海ではすでに対策を検討中であろうが、この事実が欧州や米国の金融マフィアの狙い撃ち目標になった場合、かなりの危険度がある。何故なら欧州はすでに金融制度が発達しておりリスク対応も出来上がっているが(それでも十分ではないが)中国の場合は国民性としてそのようなリスク対応にお金を使う発想がないから、一旦狙い撃ちにされた場合は今までスキップして踊って飛び上がった瞬間に足元を蹴っ飛ばされたような効果がある。てか、吹っ飛ぶ。
西洋の連中とは言ってもカネは常にどこかに置いておく必要がある。個人資産の数千万円なら畳の下の隅っこに隠しておくことも出来るが、数千億円となるとそうはいかない。どこかの場所に何らかの形で保持しておく必要がある。
大きく分けて米国・欧州・アジア・日本と言うおカネの預け先がある。米国に置いてある資産の価値を守ろうとすればどうするか?アジアと欧州の金融危機を発生させればよいのだ。日本円?あれは特別で最後の逃げ場であるし彼らは政治的存在価値を主張しようとしないから放置でよい。
しかし中国はこれから台頭してくる。今彼らは足元で時限爆弾を抱えている。米国も米ドル刷り過ぎの爆弾を抱えている。ババ抜きが始まっている。欧州に押し付けた金融爆弾の行く先が中国になる可能性は十分にある。
欧州が新聞ネタになっているが、だからと言って中国が安全なわけではない。そしてこの二つの要素が解決された瞬間に米国の金融危機が発生する。本職でない限り今はとにかくリスクを最小限にするべき時期である。
少なくともここ半年は大きなことはリスクを取る投資はやらない方が良い。まずは来年3月まで欧州の動き、その前後に中国のバブル崩壊の危険、どれかが現実的に発生しない限り次の道は見えない。今は安全資産に逃げてどきどきしないクリスマスを迎えるべきだと思う。
そうは言ってもこの世に生きている限り常在戦場だ、逃げることは出来ない。知らないからと言って救われるほど世の中は甘くない。最低限の知識だけは常に身に付けて最低限の防御陣だけは作っておく必要があるのも事実だ。
今日のネタは推測でありちょっと答えが出しにくい話なので読んでさらに悩みを広めた人にはすみません、けど「努力している限り人は悩むに決まったものだ」と言う若きウェルテルの悩みがいくらかでも慰めになればと思います。