2011年12月26日
往復びんた=来年の財務省の話
人の右顔をぶん殴っておいてこれじゃバランスが悪いからと左側もぶん殴るようなものだ。
★抜粋開始
政府の税制調査会は、社会保障と税の一体改革での消費税率の引き上げにあわせて、所得税の構造を見直すため、所得税の最高税率を現行の40%から45%に引き上げることを検討している。
消費税率を引き上げる場合、低所得者ほど負担感が重くなるとされていることをふまえて、政府税調では、所得再配分の機能を強化するために、所得税の最高税率を現在の40%から45%に引き上げることなど、高額所得者向けの増税を検討している。
また、現在40%の税率が適用されるのは、課税所得が1,800万円を超える場合だが、これを1,500万円に引き下げることもあわせて検討していて、21日午後の政府税調の全体会合で提示する方針。
★抜粋終了
今日も香港のホテルに滞在中。W香港と言うのは本当に個性があるよな、まるで「嫌なら出てけ、けど居残る人には最高のサービスを提供しますよ」的な空気がある。最高とは言っても日本のようなサービスではないので濡れたサービスが好きな日本人にはちょっときついかもしれない。日本でもリッツカールトンのサービスは秀逸であるが、あれは何だろうな、乾いたサービスと濡れたサービスのどちらにも対応できるマニュアルを持っている。
リッツカールトンで唯一嫌なのは4階のバーに集まる地元の大声大会で優勝したようなそして他人を呼ぶときは「にいっちゃん、はようこんかい!」と怒鳴り、仲間内では「しゃっちょ、しゃっちょ」と下卑た薄ら笑いで手もみをするはげ連中の顔を見る事くらいか。
来年はかなり日本が大変化する年になる。それは政府が、つまり各省の官僚が日本の50年後を見据えて日本の方向性を整え、今の政治の乱れを逆手に取り政治家を使って国家と国民を動かす時期に来たという事だ。
そこで来年以降の日本全体の方向性を官僚から見た視線で数回に分けて書いてみる。もちろんこれはぼくの推測であり外国から日本を見ていろんな情報を集めてみるとこうなるよねって予測なので、来年敦賀原発が吹っ飛んで北朝鮮が戦争仕掛けてきて関東大震災が起こったら話は別であるが、もしそういう大きな事件がなかったら、または事件が単発であり短期で収束したらと言う前提で書いてみる。
まずは財務省。役人の中の役人、官僚のエリートのみが集まる集団が今何を考えているか?まずは財政の健全化だ。これは魚が水を求めるように財務省人としては自然な行動であり日本を背負って立つ人々からすれば「金がないのに何が出来るか」と分かりやすい理論で行動する。
今の日本が長期の自民党政権下でばら撒きをやり短期の民主党政権がさらにばら撒きをやる事でとんでもない赤字を作った事は日本国民であれば誰もが理解している点だ。個人的に自分の財布に入ったお金は「ありがと」だが他人の財布に入ったカネを「不公平だ!」と文句を言うのが日本のはげちゃびん連中であるがどちらもまともに働かないという点では共通している。
そのようなおらが村の長く溜まったうみを現在の政治の乱れを利用して一気にかき出したい財務省は日本と言う国の「あるべき姿=お上がすべてを支配する社会主義」を持っている。それが実現するのはまず財政の健全化から始まる。
多くの識者が指摘するように日本が抱える財政問題を解決するには増税と福祉の切り捨てしかない。それ以外の解決方法は税収増加であるが現在の日本の経済事情ではあり得ない事だと誰もが分かっている。
なので国民に理解してもらえるまで与野党の政治家をうまく使って「政府の税収が減少してこのままではあなたたちの福祉を支えることは出来ませんよ」とメッセージを発信して消費税を上げる。10%なのか15%なのか、どれだけの期間をかけてあげるのかは技術的な問題であり大事なのは消費税を上げる事だ。これで泥棒からでも税金を取れる。
次には消費税を上げられて納得出来ない低所得者のガス抜きをする為に税金全体としては殆ど効果がないのだが金持ち増税をする。相続税を50%から55%にして基礎控除を減額して世の中にたったの5%しかいない「昔からの資産家」から税金を取るパフォーマンスである。
次のパフォーマンスは上記の記事にあるように「現在高給を得ているサラリーマン」から税金を取る手段だ。これも政府の収入としては大したことないが消費税を上げる事の怒りへのガス抜きである。
こうすれば片手で一般消費者のほっぺたをひっぱたいて次の一発で少数派であるお金がある人のほっぺたをぶったたいて、結果的に両方から税金を取る仕組みの出来上がりだ。
インフレを起こして国民全員の財産を吹っ飛ばすか増税で切り抜けるかと言う議論が良く出るが現実的な判断は、どちらかではない、両方だ。まず増税してそれでだめならインフレだ。インフレは財務省職員としては痛くない。個人的には公務員と言う立場が守られておりインフレになれば給料は上がるし退職金もたくさん入る。
次に大事なのは福祉の切り捨て。これから老齢化社会になる中で問題なのは医療費抑制と老齢年金支給開始の遅延だ。まず医療費についてはカネを一番使う75才以上の後期高齢者を対象に「自腹でよろしく」政策となる。これは小泉政権時代に一度潰されたが明日に書く厚生労働省の人々は決して忘れたわけでも捨てたわけでもない政策であり日の目を待っているだけだ。
そして2012年ならどうやらこの政策が通りそうだ。何故なら今は若者が弱者となり彼らの将来の年金が不足しているわけだから、そこを逆手にとってキャンペーンをやればよい。「おじいさんおばあさん、お孫さんの将来の為にあなたが我慢をしませんか?病気は自腹でよろしくう!」。このキャンペーンが通れば後期高齢者の設定を75才から少しづつ下げて65歳くらいから「医療は自腹でね」とやればよい。現在の年金世代は世代としては十分な資産を持っている。病気で病院に行きたければ自分のカネで行ってくれと言う話だ。その代わりに混合医療を容認する方針でいくだろう。
なにせ政府は急いでない、彼らは時間はあるのだ、時間は常に役人の味方だ。役人からすれば民間人が「ただだから」と医療費を無駄使いしていると考えているから、甘えはもう許しませんぜって事だろう。
老齢年金はすでに今年しきりに観測気球が上がったが、75才からの支給と言う線が見えている。まるで馬人参のようだが、目先に年金はあるのだが自分がその年齢に近づいたら人参は少し先に行ってる状態だ。これは定年延長とセットで使われる。企業の定年を65才にしておいて60才からは賃下げを認めてやれば労働者もそれほど不満はない。60才で退職するよりも65歳の方がその間安くても給料が入るので安心だ。
今の日本政府の支出問題が医療と年金である事は誰もが分かっている。だったらこれから医療と年金を受け取る世代は個人資産を持っているのだから国に対する最後のご奉公としてその資産を使ってもらいましょう、自分が死ぬまでの大事な生活費だからちゃんと日本の銀行に預け入れててね、間違っても海外に持ち出すとかしちゃダメですよ、それに関しては来年4月からの税制改正で個人の5千万円以上の海外資産の報告義務を課しますからね。
大きな流れは大体こんなところだろう。老人世代が自分の貯金で生活するのだから今の若者に負担はかからない、財政の健全化も図れる、これで政府も安泰である。
続く