2011年12月28日

少子老齢化、女性の社会進出 厚生労働省の話

年金と医療を担当する厚労省は約214千億円の巨大予算と32千名の職員を抱える巨大組織であるがこの予算の多く(20兆円)は社会保障関係で使われている。国の基本税収が約50兆円。

 

厚労省は年金が隠れたとか消えたとか混合診療がどうのとか新聞で書かれているがおカネの問題は財務省が解決してくれる、厚労省キャリア官僚が長期的に取り組むべきは少子化問題、女性の社会進出、移民政策、そして老齢化社会など国家の将来の根幹にかかわる部分である。

 

少子化問題は生産人口が減少すると世界を相手に競争力がなくなると言われているが果たしてそうか?ぼくはこの問題については少子化=悪い事とは単純に捉える事が出来ない。単純に売り上げ至上主義で考える発想をそろそろ変えても良いのではないか?

 

何故なら少子化で人口が減少すると言ってもニュージーランドみたいに400万人になるわけではない。これから時間をかけて人口は減少していくだろうが2030年でも1億人は確保しているし2050年の時点でも約9千万人である。つまり内需で十分にやっていけるのだ。何時まで経っても前年対比で何%成長と言う発想は止めて、社会に必要な生産性を守りながら人々が楽しく生きていける国家と言う視点を持てば、随分視点が変化すると思う。

 

少子化問題は周囲から子供の姿が減るって言う感傷的な部分を除けば移民政策とセットで語られることが多いがこの点において大事なのは日本民族の在り方である(自分が移民しておいて何言うかって感じだろうが、笑)。

 

ぼくは日本民族が日本民族であり得るのは日本の土地、空気、水がまず日本民族の基礎にあると思うし移民も長期にかけて少しづつ入ってくるなら彼らを個別撃破、じゃなかった(笑)、日本人に同化させることも可能であるが、短期で一気に入ってくれば日本文化そのものが危機に晒されるしこれは一度始まってしまえば止まらない問題だと思ってる。

 

それは例えば豪州の移民政策がシドニーで移民の若者同士の喧嘩を生み中国マフィアの進出を許し、更に問題なのはそれまでの豪州文化を次々と破壊して(豪州文化が良い文化と言ってるわけではない)世の中を一種の無秩序状態にしてしまった事だと思う。

 

英国式の文化では法律よりも秩序を優先する傾向がある。コモン・ローと言う考え方であり、日本のように法律の条文さえクリアーしていれば何をやっても良いという事にならずその社会のその時期の秩序を重視する。だからアジア各地からやってきた移民に対して反発をしてこれが社会不安を生む。ところが一度受け入れてしまえば簡単に追い返すことは出来ない。その結果として社会不安が定着してしまう。

 

つまりこのような移民政策を取るのなら米国と同様に法で人々の権利や義務を決定する必要があるのだがそれはコモンローではない為に豪州白人には馴染まない。結果的に「冷たい社会」を生み出す。

 

豪州では今までは「言わなくても分かる」白人同士の文化があり白豪主義を続けてきたが経済問題として移民を受け入れて多人種社会とか多文化社会を作った。しかし移民政策をやるなら経済問題から入ったらまずい。非常にまずい。これこそ本当に100年単位の長期で考えていくべき問題である。少子化や労働人口などの目先の問題解決方法として捉えると将来に大きな禍根を残すことになる。

 

人口推移のグラフは総務省が作っているしそれを見れば昔から少子化は分かっていた。

http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2003.asp?fname=01-05.htm&title1=%87T%81D%90l%8C%FB%8By%82%D1%90l%8C%FB%91%9D%89%C1%97%A6&title2=%95%5C%82P%81%7C%82T%81%40%91%8D%90l%8C%FB%81C%90l%8C%FB%91%9D%89%C1%81C%90%AB%94%E4%8By%82%D1%90l%8C%FB%96%A7%93x%82%CC%8F%AB%97%88%90%84%8Cv%81F1995%81%602050%94N

 

ぼくは移民を受け入れるよりも女性の社会進出を進めることが正解だと思う。労働力が減少すると言っても日本人口の半分である女性の社会進出を進めればこれは解決する。女性が社会に進出すると少子化が進むからダメだという男性重視の発想があるから社会進出が進まないのが実態である。

 

「女は家に籠るもの」と言う古くからの男の発想を一度捨てて、女性が社会進出している国家で特殊出生率が約2くらいあるのは何故か?を学んでみるべきだと思う。男性が社会を支えており女性には出来ないと思い込んでる時点でバカ男を晒しているのだからどうしようもない。

 

20世紀のように単純に重いものを持つ労働や高いところにあるものを組み立てる仕事なら男がやれば良いだろうが、21世紀の仕事はかなりの部分が頭脳労働に移行する。そうなると世の中は使えない男ばかりだというのがいずればれる。女性の社会進出と出産率上昇は両立できる。

 

その為に必要なのは世の中の男性が少し発想を変えて働く女性を尊重しながら彼女らの出産休暇やバカ男の育児休暇(大体において21世紀の頭脳労働は女性の方が優秀なので女性が働く方が収入も増える)を理解していく事だろう。厚生労働省が本気で取り組むべき道であろう。

 

最後に出てくる老齢化社会への対応については「リタイアメントビレッジ」の延長発想である「スマートシティ」がカギになると思う。現在のように誰がどのような田舎に住んでいても一律の公共サービスを受けられるという仕組みを根本から入れ替えることだ。

 

ニュージーランドでは老人夫婦が仕事を辞めて引退したら、体の元気なうちは自分の好きな田舎に住むが公共サービスが低下する、つまり郵便はルーラル(Rural=地域)サービスを利用して郵便受けの中に郵送したい郵便を入れておくので都会のようにいつも郵便サービスを利用できるわけではない。コンビニもないので一週間に一回街に買い出しに出て山のような生活用品と冷凍食品を購入して自宅の大型冷凍庫に放り込む。病院に行くにも公共交通機関はないから自家用車で移動する。

 

そして夫婦がそろそろ足が弱ってきたとか病気がちになってくると田舎生活を止めてリタイアメントビレッジに入る。ここでは同じような世代の人々がバリアフリーの家に住んでおり彼らの為に公共サービスが用意されている。スマートシティの発想は21世紀のリタイアメントビレッジの延長であり、人々がお互いに助け合いながら一緒の場所に住むというところがポイントだ。

 

つまり今までのように人口が増えるという前提をなくせば限界集落住民は早い時期に中核都市または衛星都市に集約させる。そこで老人同士がお互いに助け合いながら便利な公共サービスを受けて、少々足が弱っても移動距離は短いのでゴルフカートに乗って移動するようになる。設備の整った病院も役所も郵便局もすぐ近くなので新たな終の棲家を得ることが出来る。

 

そしてどうしても自宅を離れたくないというなら公共サービスの低下は」自己責任でと言う事を政治家を使って国民に納得してもらう。こうすれば老齢化社会に対応出来るし行政の効率化が図れる。手か最初から行政の合理化の為に老人を一か所に集めるってのが厚労省の発想だと思う。

 

少子化問題で人口ピラミッドを見ると2か所が異常に膨らんでいるのが分かる。団塊世代と団塊ジュニア世代だ。つまりこれから30年以上も続く老齢化社会への対応は出来るだけ早いスマートシティの構築にあると思う。



tom_eastwind at 03:36│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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