2012年09月03日
銀行法第二条
銀行法第二条
14 この法律において「銀行代理業」とは、銀行のために次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。
一 預金又は定期積金等の受入れを内容とする契約の締結の代理又は媒介
二 資金の貸付け又は手形の割引を内容とする契約の締結の代理又は媒介
三 為替取引を内容とする契約の締結の代理又は媒介
第六十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第四条第一項の規定に違反して、免許を受けないで銀行業を営んだ者
言うまでもなく国によって法律は違う。Aという国では違法でもBという国では合法だというのはしょっちゅうだ。例えば麻薬についても合法の国と違法の国がある。飲酒についても同様である。不倫も米国のようにやりたい放題の国もあれば中東のように石をぶつけて殺される死刑が適用される国もある。
だから日本の法律で決められているからって金科玉条のように「ホーリツが絶対!」と騒ぐのはおかしな話で、ホーリツは永遠の真実ではない。日本の法律は日本国内法であり「その日その時日本国内限定で」適用されているだけであり国を越えた法律が存在するわけではないのだ。
だから2つの国以上にまたがってビジネスをする際は常に両国の法律チェックが必要となる。ところがマカオや香港あたりで口座開設ビジネスをしている連中の中には「おれおれ詐欺」あたりから金融に入ってる為に法律知識が全くなくて自分がやってることが違法行為である事さえ気づかずに日本居住者向けに銀行口座開設ビジネスをしたりするケースがある。
ネットで検索すると「香港のHSBCで口座開設しませんか」とやって日本で募集説明会や営業をやって日本発口座開設ツアーを売っているのだが、募集をかけている主体(つまり日本人)は日本に住所があり日本に定住している「居住者」であり、募集対象者が日本国内に在住している「居住者」であった場合、これは銀行法第二条に掲げる「銀行代理業」にあたり免許が必要だ。
もし免許なしで募集行為を行った場合は同じく銀行法六十一条で三年以下の懲役または罰金三百万円または併科となる。つまり日本の国内法に基づいて違法行為を行ったことになる。香港側の法律がどうのではなく日本国内法の問題である。
一昨年までは日本財務省も海外の法制度が進んでおらずに放置状態であったが去年から取締が厳しくなり関東財務局が一斉摘発を行い悪質業者は財務局のホームページで会社名公表まで行われた。
しかし実際に逮捕されたケースはぼくの知る限りない。去年のケースは警告で終了したようだ。財務局も忙しい、いちいち小物を捕まえててもきりがないし、それよりは彼らを通じて口座開設をした顧客リストの提出をさせた方がよい。リストがあれば先々誰がどこの銀行に口座を作ったかが分かるからだ。
今後の自己資産を防衛するための海外口座開設という選択肢は正しい。しかしその実行過程で日本国内の法律を無視すれば後々で問題になる。ところが口座開設をする人間にとっては「その場凌ぎ」なので、口座開設して手数料をもらえばそれで終わり、1年後や2年後は全然違う商売をしているのだから、「その場」では、「大丈夫ですよ、問題ありませんよ!」という。
そりゃそうだ、あなたにとっては問題なんて考えようともしない。しかしぼくらの場合はお客様がニュージーランドに移住してきたらそこから10年単位の付き合いが始まるのだ、「その場しのぎ」では何も出来ないのだ。
じゃあおまえんとこでも口座開設やってるじゃないかと言われるが、僕らの場合はビジネスの中心が移住であり移住に資金は必要であり実際に個人がニュージーランドに渡航(下見)に来て口座開設のサポートをする場合はサービス提供場所はニュージーランドなので日本の国内法は影響しない。
そして当社は日本には一切の拠点(P・E)を持たない非居住者であるから日本の法律は適用されない。NZで合法であれば問題ないのである。同じようなサービスでも法律的には全く違う。このあたり、NZに住んでる日本人でも多くの人が誤解をするのだが、二国間の協定は「条約」ならば存在するが二国にまたがる法律は存在しない。
ぼくらがお客様に提供するサービスは上記のように両国の法律や条約をきちんと確認して合法であると両国の法律家や税理士や弁護士からお墨付きを貰った時のみである。でなければ10年単位の付き合いなど出来るわけがない。
それから日本とニュージーランドは租税協定を締結してるのでこの点は常に認識しておく必要がある。海外に口座を持つというのは自分の資産を海外に移動することが目的であるから自分が防衛しようとする資産の状態によってはニュージーランドで行った行為でも租税協定の対象となる場合がある。
例えば日本居住者がNZで口座開設を行い資金を運用した場合、運用で得た利益(利息)に対して通常はNZ非居住者なので15%の課税が発生する。しかし非居住者が申請すれば2%のLevy(税の一種)でOKだ。
しかしその際は日本で申告納税をする必要がある。日本で申告を怠った場合は修正申告が必要だしもし悪質と見做されたら追徴課税されるし、何よりもまずいのは海外口座すべてが調査されて資産の全容が把握されるという事だ。
そしてこのような海外口座の存在がなぜ日本の税務当局によって把握出来るかと言えば、それが冒頭にあるように当局が口座開設業者に顧客資料の提示を求める事が出来るからだ。顧客資料を提示すれば目溢ししてやろう、もし提示しなければ懲役ですよと脅されてしまえば誰でも資料を提出するだろう。
手紙はある日突然税務署から届けられる。内容は「あなたは海外で口座を持ってますね。すべての海外発行の銀行口座の詳細とクレジットカードの詳細を過去7年に遡って提出しなさい。もし口座隠しなど虚偽申請した場合は犯罪とみなします」
法律は正義の味方ではない、法律を知ってる者の味方だ。「知りませんでした御免なさい」では通らないのだ。自分が何かをする時は必ず情報のダブルチェック、法律チェック、実態チェックなどを行った上で状況を判断して行動を起こさないと、後で痛い目に遭うのはあなたである。