2012年09月05日
移住したい国6年連続NO1??
「移住したい国6年連続NO1!」って、マレーシアってそうなのか?ぼくのブログの広告によく乗っかってくるのだが、これって実際にどうなのかな?
マレーシアが移住先とされるようになったのはここ数年であり、それも元を辿れば1980年代に日本人をオーストラリアに集団移住させようとして大失敗した経産省+不動産会社主導のシルバーコロンビア計画の残党たちが集まって作った新しい天下り先「ロングステイ財団」の宣伝からである。
それも最初はロングステイ財団と言っても天下り先を作った役所と大手旅行会社から派遣された職員が「さて何をしましょうかね〜」だったところにハワイのコンドミニアムを販売していた旅行会社が合流して「じゃあ土地の安いマレーシアを売ろう」という事になった。
そこにマレーシア政府観光局も乗っかって投資家向けビザとかで「安くて気候が良くてのんびり生活できます」って売りで定年退職者向けにセミナーを行い参加者を送り込んだのだから、これが財団法人のやり口かい(苦笑)って感じだ。
しかし実際に移住の現場で仕事をしていると、ロングステイという意味ではなく移住の視点で移住先を考えた場合は、どうかんがえてもマレーシアには無理がある。やはり英語圏5カ国が上位に来る。マレーシアで小学生の子供の教育をどう考える?両親にはどんな仕事がある?イスラム文化と同居出来るか?
なので実際に移住したい国のトップクラスに来るのは米国を始めとして英国、カナダ、豪州、NZがその範疇だ。シンガポールも検討先に入るがこれは主に相続対策で利用される国である。
ただ現実的にビザの取得の容易さや現地生活にかかる費用や、別に移住じゃなくて長期滞在でいいやって人にはマレーシアも視野に入るというだけで、移住したい国6年連続NO1ってのはちょいと誇大広告ではないですかって感じがするのは僕だけではないだろう。
その潮流に最近乗っかったのがイスカンダル計画である。ジョホールバルを再開発してシンガポールのベッドタウンとしようと仕掛けている。壮大な計画であるがここに目を付けた日本人不動産筋が活動しているのが現状だ。
シンガポールの土地がすでに暴騰しており人々はマレーシアに住居を構えてシンガポールに通勤するだろうとか、ジョホールバルで職住学が一体化されたコンパクトシティで!とかやってるが、じゃあ誰がそこに住むのか?
日本人不動産デベロッパーは投資機会として宣伝しているが、これは数年前に中国本土広州の南部に広がる広大な土地を開発して投資させ、実際に誰もすまないままにゴーストタウンを作って大損させたのと同じ仕組である。
開発終了までに十数年かかるわけであり開発終了までは学校も病院も出来ておらず実際に引っ越しをしてもそのアパートには他に住民はおらず電気代と公共料金が実際に住んでいる人に均等割されて異常な負担となるし第一誰も住まないアパートは痛みが早いが、そのような事は計画書には書かれていない。
計画がすべて終了するまでにかかる経費は誰が負担するのか?下手をすればその経費は配当利回りなど一気に吹っ飛ばしてしまうことになる。
ロングステイ財団にしてもイスカンダル計画を売る日本人にしてもそこにあるのは結局「目先の商品販売」にしか過ぎない。しかし移住とは10年単位のお付き合いである。調子の良い夢の様な話などあるわけがない。
現地で生活を始めれば当初は想像もしなかったような問題が発生する。そして殆どの場合「こんなの聞いてない!」というクレームになる。移住に対する期待度が高ければ高いほど反動としてのクレームが増加する。
移住をするのは単純に渡航をすることではない。渡航して到着後からが大事になるのだ。そしてこれはお金だけで解決出来ることではないし「頑張ります!」なんてかけ声だけでも解決しない。
他人の人生や違う価値観を理解するという受容力や柔軟さ、自分の価値観を相手に押し付けて交渉するのではなくお互いの妥協点を求めながら隣人と楽しく生活をする高い生活能力が要求される。
移住とは楽をしようと人生の住む場所を変えるのではなくより良い生活を求めて苦労しても住む場所を変える話である。そこに行けば誰もが自由になれる社会なんてこの世界には存在しない。