2012年09月07日
僕の前に道はない
国際税務の打ち合わせで虎ノ門に向かう。昨日も書いたが国をまたいだ法律や条約はしっかりと理解した上でそれが実際にどう運用されてるのかは、やはり現場でないと分からない。
常に法律及び通達、こちらの希望するビジネスモデルに問題がないかを付きあわせて必要であれば税務署に直接問い合わせして確認を取る。
ぼくらの作業はまさにこの確認の繰り返しであるが、これをやっておかないと将来的に問題になった時の反論の根拠が作れないしそうでなければプロと言えない。
ぼくが現在構築しようとしているモデルは、もしこれが完成すれば東京都内に一戸建て住宅を持つ人々には朗報となる手段だ。
日本では土地の等価交換という制度があり「あなたの土地」と「わたしの土地」の価格が同額又は少額の違いであれば売買契約と見做さず交換とされて譲渡利益税が発生しないという利点がある。
そしてこの法律は現時点では海外の不動産との交換も法律的には可能である。正確に言えば法律上海外の不動産はダメという規定がないのだ。だから出来る。理論的には可能である。
しかし今までそのような実例は問い合わせした税務署でもないようで彼らも「法的には可能ですね〜」という回答になる。
日本国で法的に可能であれば次の問題はニュージーランドの国内法であるがこれNZ側では不動産関連に税金がかからないので等価交換という手法を使わなくてもいける。
実際にこの国では4〜5人の古い友だちがお互いの家を日にちを決めて引越し交換するってのも珍しくない。昨日の我が家が今日は友達の住処になり昨日の友達の家が今日の当家の新居となる。
なので日本側さえクリアーすればあとはこの行為が税務対策であっても合法であれば問題ないと日本当局に認識してもらうだけだ。
問題はまさにここで、ぼくのやってる事は常に「僕の前に道はない、ぼくの後ろに道は出来る」という高村光太郎モデルなので理論的に可能であっても実績がない時点では、多くの場合ぼくらではなくお客様自身が「これ大丈夫なんか?」と思ってしまう。
つまりモデルが法的にOKであっても税務署が「否認」すればOUTなのだ。そして今の日本では税務署に逆らう手段は殆どない。誰もが聞くのは「それって誰か前例ありますか?」なのだが、まだ僕の聞く限り前例はない。
なのでこの等価交換はこれから実際に挑戦してみることになる。法的には可能だ。実例はない。実務的には闇夜の地雷原だ。
ぼくの前に道はない。けれど、どんなに踏み固められた道も最初の一歩は誰かが足跡を付けているのだと考えて進んでいく予定。