2012年09月09日

等価交換

昨日は土地の等価交換について書いたが「それで何が出来るの?」と聞かれた。そうだ、肝心なことを書き忘れてた。

 

実はこれ、都内に土地や建物を持つ人にとって「財産の海外転出」相続対策の一つになるのだ。

 

海外の土地との等価交換が法的には可能であるとは先日書いた通りだが、具体的には相続税や贈与税のない国、例えばニュージーランドで自分の不動産と同額の物件を探す。

 

次にその物件と自分の物件を等価交換する。これで自分が所有する土地と建物は相手の所有になった。そして相手と賃貸契約を提携することで自分は今の土地にずっと住むことが出来る。

 

さてここで自分は日本国内の不動産をなくして新たに同額の資産をニュージーランドに持つ事になる。つまりこれで自分の不動産資産を海外に転出することに成功したわけだ。

 

次に行うのは自分が海外に新たに持つ不動産を日本国籍を持たず日本に在住していない第三者に贈与すること。

 

現在の相続税法では海外にある資産を日本国籍を持たず日本に居住していない人または組織に贈与した場合は、海外資産については非課税である。

 

1・海外にある物件と国内の自己所有物件の等価交換する。

2・新しい所有者と自分の間の借地契約を行う。

3・海外に得た物件を第三者(家族信託会社)に贈与を行う。

 

そうなると誰しも疑問に思うのが「そんな等価交換を引き受ける人がいるのか?」だろう。実は上記はこのスキームのキーポイントを法的に整理しただけであり実行にあたってはたくさんの手続きを時間を十分にかけて合法的に行う必要がある。

 

等価交換を引き受ける人探し、後日問題とならないように日本国内で税理士や税務署との事前打ち合わせ、現地の法律で確実に自分の海外資産の所有権を確認、現地で設立する家族信託会社の法的問題点の解決、等などやることはたくさんある。

 

なので実際には最初にまず税理士に相談して等価交換の条件を確認して受け皿となる国で不動産を探しながら家族信託会社を設立する必要がある。そしてこの会社がまず不動産を取得することになる。

 

しかしこのような手続きを行わずに、つまり相続対策をせずに相続が発生した場合は、これより更に面倒な手続きが必要になり結果的に親が残した不動産を失いさらに税金を収める必要が出てくる。そして最も面倒なのが事前対策をせずに事後相談で処理する場合、ほとんどのケースにおいて争族=相続をめぐる家族内の争いが起こるという事だ。

 

等価交換はどこまで実用可能かは人によって全く異なるし現実的にそれぞれのケースに当てはめてみないとどれほどの効果が出るかは分からない。人によっては意味のない案件になるだろう。けど何にしてもまずは「出来るか出来ないか」ではなく「どうやれば出来るか?」と発想を転換する機会でもあるだろう。



tom_eastwind at 19:22│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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