2012年09月26日

消費税の行方

ロンブーの淳とみんなの党の江田けんじ氏の対談があった。

 

★抜粋開始

私が見るところ今の自民党は、派閥のボスがどんどん力を得ています。「国土強靭」みたいな夢をもう一度見ましょうとか、公共事業をばらまきましょうとか。どんどん新幹線を作りましょうとか。10年間で200兆円使いましょうとか……。先日消費税を5%上げて、13,5兆円に増収しますと決まりましたが、自民党の野田毅さんは国会答弁で堂々と「使い道は公共事業だ」と宣言している。「消費税の税収は全部社会保障に使いましょう」と言っていたのに、自民党の重鎮は早速「そのうち5兆円は公共事業に使わせてもらいまっせ」と。

http://blogos.com/article/47251/

★抜粋終了

 

消費税増税が元々財務省の財布を厚くするのが目的でありお金がどう使われるかは財務省のさじ加減次第というのは分かっていた事だ。国土強靱化計画が出た時も「あ、その財源が消費税増税だな」とは感じてた。

 

しかしここまで明確に国会で発言して、結局は土建屋復活で地域に箱モノや車の走らない高速道路、出口のないトンネルとかを再開するって言い切った自民党、さすがに今回の選挙で勝てると思って強気ですね。

 

ぼくは消費増税に反対ではない。皆が社会を構築して助けあう為にお金を出し合うのだから、必要なお金は皆が負担すべきだ。ニュージーランドの消費税は現在15%である。去年までは12.5%だったのを法改正で「税金を国民全員が平等に負担する」って事で15%に上げた。その代わり働くことで支払う源泉徴収(PAYE)をそれまでの平均19%から15%に下げた。

 

この意味は、国民がお金のあるなしに関係なく平等に支給額を負担しようということだ。人によっては消費税一率増税ではお金がない人には負担増になるって言うけど、はいそのとおりなんです、だから皆さん一生懸命働きましょうってことなのです。

 

ニュージーランドでは働く気があれば職場はあるし能力がなければ国家の負担で職業訓練学校にも大学にも通える。そこまで制度は整えているのにそれでも働かない人は負担してもらって当然でしょってなる。

 

ニュージーランドでは働いた事で負担する税金は源泉徴収と呼ぶほうが正解である。所得税と言うと「へえ所得税で15%は高いね〜」と思うかもしれないが、この税は老齢年金、失業保険、医療保険、学資手当、地方税などすべての税金を含んでの15%(中間所得層〜累進課税あり)だから日本と比較しても決して高くはない。

 

だいいち日本では老齢年金を積み立てても現行方式では現在30代の人が現在並の金額をもらえることはまず有り得ないのだからある意味詐欺みたいなものだ。

 

ニュージーランドが良い点は、政治家が社会的+理論的に正しい事を堂々と発言出来る点である。政治家は基本的に世襲ではないので二世議員がいないし票田などの利権もないから国民全体を見て社会がどうあるべきかを堂々と議論する。

 

その結果として国民全体が平等に負担すべき消費税の導入は良いことであり、それで失業保険もらって何十年も生活しているような人の負担が増えたって当然でしょ、だったら働けって明確に言える政治的環境がある。

 

その代わり余計なことに金を使わないし財政の使途についても70%以上が社会保障に使われており歳入と歳出の透明度が高いから国民は税金を払うことを当然と考える。そして自分たちをタックスペイヤーと意識して国家に対して常に自分の意見を述べて民主主義を守る姿勢を貫いている。

 

日本だと選挙で勝つために地元に利益誘導をして選挙に勝つために出来もしない事を言って選挙に勝つために地元民の嫌がる税負担はNO!って言う、とにかく政治がおかしくなる選挙制度と村文化によって結果的に合成の誤謬、つまり国家が誤った道を歩くことになるシステムがある。

 

ニュージーランドでは国会議員は国全体の利益を考える。自分の選挙区の利益を優先させることはない。何故ならそれが国会議員の仕事だと分かっているからだ。地元誘導などすればそれだけで立派な汚職事件である。

 

国民が嫌がる税負担でも、今やっておかないと将来に禍根を残すので今のうちにやるという論理意識が明確である。国会議員はそれで国民に嫌われても国会議員を辞めれば良いだけであり、元々政治で飯を食っている人間などがいないからまた元の仕事に戻ればよいことだと考える。

 

つまり選挙制度と政治環境がシステムとして国家を良い方向に導くように出来上がっているのだ。だから政治家はシロウトでも問題ない。技術的に難しい時はプロである官僚が専門知識を駆使して答を出してくれる。政治家の仕事は決断でありごますりで選挙に勝つことではない。

 

もちろんどんな制度もいつかは制度疲労が来る。ニュージーランドの場合は1840年から1984年まで約140年間社会主義経済であり政治制度であり成功していたが時代の変化によりその制度疲労が1970年代に一気に吹き出て国家破産を起こして1984年に市場経済に大きく舵を切り替えた。

 

だからどのような良いシステムであってもいずれは疲労を起こすと理解して制度を作っているから変化しやすいし政治家も国民も変化に対して日本のような抵抗があまりないのだ。

 

日本の場合はすでに社会制度に疲労が来ているが官僚神話が「良い制度は永遠に続く」のが前提になっているから始末に終えない。自分たちで自分の首を絞められない制度になっているからいつまでも続ける為に政治を省益誘導する。

 

だからその官僚神話を継続出来るように消費増税して増えた収入を財務省が土建屋利権として配分することで政治家を操り自分たちの官僚制度が永遠に続くように計画している。その為の消費税増税である。

 

消費税増税を通すまでは社会保障に使いますなんて言ってたけど腹の中ではそんなのちっとも考えてない。社会保障は今後削減する。

 

1・老齢年金の支給はどんどん先送りして最終的には70歳くらいにする→定年制の強制延長。

2・失業保険は金額を引き下げ支給対象を限定する→マスコミ誘導で受給者叩き

3・医療保険は自己負担を基本として無駄な医療は受けさせない→尊厳死の導入。

4・学費は当然個人負担。貧乏人の子供は貧乏なままで結構→官僚の息子が優秀な大学に行く、支配層は永遠なのだ。

 

“それでいいのだ〜♪”と天才バカボンが出てきて歌い出しそうだが、霞が関4万人官僚と世襲政治家たちは本当に自分たちを世襲制の支配者と信じておりそれ以外の1億2千万人は支配層のために奴隷のように働く下層民と位置づけているから、当初は社会保障の為に消費税増税と言いながら蓋を開けてしまえば土木予算となっても気にしない。どうせあいつらすぐ忘れるからなって事だ。

 

日本ではタックスペイヤーが国家の主人公という考え方がないから、取られる方も文句を言わないし下手に文句を言えば税務署や警察が出てきて商売潰される。

 

消費増税分は財務省が握り、権力の源泉となる金が財務省に渡る。その金は全国の国民から広く集めたものだが配分するのは青木さんちの地元島根県で車の走らない道路を作ったり森さんちに空港作ったりする利権となる。

 

森さんちや青木さんちは財務省のご進講を政府内で根回しして自分の村にお金が落ちる仕組みを作る。これで皆さん全員ハッピーである。まさに彼らにとっては「これでいいのだ〜」なのだ。

 

今日は自民党の総裁選で安倍氏が総裁に選ばれたが、自民党では結局誰がやってもシステムを壊すことは出来ない。次の衆院選挙も任期満了の来年になるかもしれない。当分はこの日本、泥沼から抜けられそうにない。



tom_eastwind at 20:03│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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