2014年06月09日
街の風景 カツカレー
今日は雨が強めに降っており普段は傘をささないキーウィも今日は傘をさす姿が目立つ。
オークランドは毎年6月に入って冬の気圧配置になるこの時期によく雨が降る。この雨が抜ければ冬になるのが毎年恒例の天気である。
ぼくは普段は2ブロック離れたふじのきんたろうまで歩いてカツカレー、ライスなしを注文するのだが今日はさすがに傘をさすのは面倒で、けどカレー食べたいなって思って同じブロック内で軒続きにある韓国経営の定食屋に入った。
この店、入るのは初めてだけど昼時ということもあり混み合ってる。てかテーブルと椅子がまるで小学校1年生の教室並にちっちゃい。人間が座れる最低限の椅子と料理を2つ置いたらソレ以外のものが置けないようにして最大限のテーブル確保を狙って作ったのだろう。ちなみに隣のテーブルとの距離はどう見ても20cmだ、太った客には綱渡りです(笑)。
この店の動線は不思議で狭い入り口にレジがありそこで持ち帰り客が店頭に陳列しているスシを持って並んでるから、後から来た客が店に入れない。持ち帰り客の横を通って中に入ろうとすると前に並んでた人から「追い抜くなよ、おれも中で喰うんだ」みたいな目で見られる。礼儀を重んじる日本人には辛い場面である(苦笑)。
お店に入り笑顔の可愛い若い韓国系のウエイトレスに早速きっぱり「カツカレー、ライスなし!」と言うと最初は何とか注文を聴こうと一生懸命笑顔一杯にしてたのだがちょっと間を置いて「え?」。
「ライス無し」もう一度にこっと笑って言うと彼女はどうやらこれが冗談の注文でもからかっているわけでもなく本当にこの中年ハゲオヤジはカツカレーのライス無しを欲しがっているのだと分かったようで「は、はい、ライス無しですね」と注文を受けてくれた。
良かった良かったと思って料理を待っていると今度はキッチンから男性が伝票を掴んで飛び出てきて「これ、ほんとにライスなしだね?」と確認を取られた。「はい、間違いなし」。日本人が外国の日本食レストランで自分の好みで食事をするのも結構大変なものだ。次回は「犬鍋」って言ってみようか、多分何の質問もなく赤犬の鍋が出て来るのかな?
さて、この韓国式カツカレーは12ドルだ。約1,100円、日本のカレーチェーン店ではあり得ない高さだけどオークランドはこれで通る。でもってこのカレーを注文すると最初にお箸とスプーンと一緒に味噌汁が出て来る。カレーに味噌汁ねー、ふーんと思いつつ飲むと、これが結構旨い。ちゃんと出汁を取っている。
暫くすると随分と大きな丸皿にカツとソースと野菜サラダと本来ならお椀でパカっと置いたようなライスが乗っかってくる。
カツを食べるためにお箸を箸袋から出すと、まるで半月のように曲がった割り箸が出てきて「これじゃ曲芸だ」なんて思いつつ袋を見るとよく知ってる日系食材卸やの名前・・・。
これじゃ文句も言えんなと思いつつサクッとして美味しいカツをカレーソースに絡めながら食べると、これが旨い。ちょっと辛めのソースは野菜の旨味がしっかり染みこんでおりカツにかかったウスターソースの二重奏な味だ。
そうこうしているうちに隣に座ったガタイの良い男3人組のキーウィが陽気そうにカツカレーや焼きそば、丼ものを注文している。
そこで韓国系の可愛らしいウエイトレスが早速味噌汁を一つだけ持って韓国なまりの英語で「カツカレー?」と聞く。他の料理に味噌汁が付いてないのも変なものだと思いつつ何気なく観ていると陽気なキーウィが手を上げて「はい、こっち。ところでねえ、これはカツカレーかい(笑顔)?」と聞いてる。
可愛らしい笑顔の彼女は満面の笑顔で「YES!」と答える。するとキーウィは味噌汁の椀を両手で持ち上げてにこーっと笑って、
「そうか、これがカツカレーか、俺が知ってるのとは随分違うなー」
おちゃめな冗談であるが彼女、よく意味が分からずにこにこしながら“I don’t know -”と言って立ち去っていった。残ったキーウィは楽しそうに彼らの会話を続けてその後の食事を楽しんでた。
反対側の隣ではどうやらイタリアから来た若いカップルだろう、持ち帰り用のお寿司を二人の前に置いてスシをつついてる。「うまい!これ、うまいよね!」と手で持ち上げてたのは、ご飯に揚げ春巻きが海苔で巻かれてたものだった。コ、コメは何にでも相性が良いのか、ぼくが見たものが気のせいだったのか・・・(苦笑)。
オークランドはシティ内の再開発地区が指定されアルバートストリート沿いに高層ビルが建設される予定になった。すでにパンフレット、青写真、店舗を購入する際の価格なども発表されている。オークランド北部郊外でも次々と新しいモールが建設されてすっかり建設ブームが続くオークランドではあるが、街の雰囲気はこんな可愛らしいものでした。