2014年06月30日
中国人 妻
1930年代上海。各国から租界(占領地)を取られてる上海は実質的に無政府状態で、当時は上海で一番力があった日本政府及び軍が中国マフィアと組んで麻薬取引を仕切り日本軍諜報部の工作資金を作っていた。
その責任者になっていたのは佐野眞一の「阿片王」によると里見氏という管理官で彼はきちんと関係者全員の利益分配を行い戦後日本に帰国してからは戦後のフィクサーである人々から距離を置き隠遁生活を送っていたという。この「阿片王」は勉強になる本の一冊だ。
今回の機内で観た映画の一つが当時の上海を舞台にしたカンフー冒険活劇である。ブルース・リーのそっくりさんのような若い俳優が素晴らしい技で敵を倒しつつヒロインとどーのこーのである。
内容はあいも変わらず日本人性悪説なので最初はどーしよーかな、時間のむだかなと思いつつも、けどブルース・リーの再来なら面白いし、まあいいや観てみようと番組を開く。
当時の中国の田舎でどうしようもなく貧しく不安定な生活をおくるよりも都会に出て何かのチャンスを得たい、ちっちゃな船に乗り母親に言われたことをしっかり守るごく普通の若者の上海渡航がこの映画の始まりである。
上海に出てきた若者は日本軍が支配する街で仕事を見つけて何とかヤクザにならずに働こうとする。そんな中で偶然知り合った美人歌手と次第に仲良くなる。最初は恋人というよりもお姉さん、かな。
主人公の空手ボーイが綺麗な歌い手の彼女にソーセージをバンに挟んだホットドッグを渡す。一口食べた彼女、びっくりして「美味しい!これ何!」と聴くとブルース君すかさず「熱狗(ホットドッグ)!」
それで彼女は“あたしに狗肉(犬肉)食わせたの!”って顔で怒ってしまう(笑)。
笑わせるのも良いのだけど上海に出てきた若者の気持ちを考えてみた。当時の感覚で言えば田舎から都会への短期移住である。例えば冬の東北から東京に出て建設現場で出稼ぎするようものだ。
誰しも当然の行動であり、故郷を思いつつ家族の安全と安心と成長を求めて生活をする。まるで新日本紀行ですね(笑)。
日本で生活をしているとなかなかピンと来ないし実際日本は50年単位で見ればそのうち30年は安全な国である。
ただ中国は100年単位で国家が入れ替わり、つまりお爺さんと孫の世代あたりまで世の中が入れ替わるとそれから100年は徹底的にきついか楽しいか、二つに分かれてしまう。だからモンゴル人も苦労する。
結局最後まで観てとても楽しい気分になれる映画で良かった。”Once up on a time in Shanghai” とタイトルまで殆どアメリカ映画のパクリであるが(苦笑)。
それにしてもいつの時代もどこの政府も本来は支配者同士の戦いなのに国民、つまり被支配者を表に出して映画やプロパガンダ、歴史の嘘を並べて人民同士を憎ませようとするし最終的には国民同士を戦わせるけど、自分は絶対に人殺しの現場には出てこない。
おいおいずるいぞー、国民同士は個人的には仲良いのに政府、つまり支配層が自分の既得権益の為にこっちを操ってるだけじゃないか、騙された方が馬鹿と言うのは解ってるけど、それにしても政府ひどいなって感じ。
第一次世界大戦を舞台にした有名な小説「西部戦線異状なし」ではドイツの兵隊が塹壕の中でつぶやく。
「おい、フランスのパン屋が銃持って俺たちドイツの炭鉱夫を撃つってのはどういうことなんだろうな」だったけな、けど意味はそういうことだ。
そうなんだよね、フランスのパン屋にとってドイツから来る炭鉱夫旅行客はパンを食ってくれる客であり、パン屋がパンを焼くのに使う炭はドイツの炭鉱夫が掘った炭鉱からやってくる。ここで経済はきちんと循環している。だから両国が闘う必要は現場レベルでは存在しないのだ。
ところが両国の支配層は自国の国力を強くしたいから、例えばドイツはフランスに侵略してパン屋のビジネスを奪おうとするしフランスは戦争に勝てばドイツの炭鉱をフランスの領土にしようとする。
けどフランスのパン屋にしてもドイツの炭鉱夫にしても「今のままで良い」わけであり、もっと良いのは両国の関税をゼロにして国境をなくしてもらう事なのだ。
中にはフランス人男性とドイツ人女性のカップル・・・あ、これは少ないな、ドイツ人男性とフランス系女性のカップルがアメリカで結婚して生まれた子供は欧州系米国人。こんな時に第二次世界大戦が起こったらどうするだろう?
欧州と新大陸である米国の間ではご先祖様を遡れば様々な国や地域の出があるし、ご先祖様の住んでた場所の現在の国家同士が喧嘩した場合、一体どっちに味方すればよいのか、ほんと、困るのは現場である。
これは僕の家庭でも同様である。日本人と香港人が結婚してニュージーランドで生まれた子供はNZ国籍を持ち利害関係が複雑となるが、日本と中国が戦争するとうちの子供は一体どっちの味方をするのだろうか?
もちろん家庭内で夫婦げんか、つまり戦争状態になれば子供二人は100%の確率で中国側、つまり奥さん側に経つが(苦笑)、日本を知っている彼らは日中戦争となれば嫌いだけどおやじの味方をするだろう。
なぜなら彼らにしたらきちんと情報を得ているから感情的におやじの味方ではなく理屈で考えて中国だめっしょと分かるからだ。(はは、情けない・・・)
けれど中国のような国家で生まれて考える機会もない人々はどうしても自国政府の喧伝する単一的な価値観に洗脳されてしまうから「日本人のバカヤロー!」となる。
バカヤローは中国共産党政府なのだが民族と政府の区別が付いてないし日本に行ったこともないまま共産党政府に洗脳された中国人は「日本人のバカヤロー!」って話になる。お互いに「見えてない」のだ。
けれど今、日本でビザを取り真面目に働いている中国人からすれば誰が嘘をついているかすぐ分かる。彼らにとっては今の大陸中国政府の横暴くらい頭に来るものはない。「何で俺の生活にトラブル持ち込むんだよ!」って話になる。
しかし現実の視点を持つ中国人はこのまま日本にいてもいいのか?という疑問も出て来る。もっと安全な場所に、安定した生活が出来る場所に移りたいと思うのだろう。
中国人妻と日中NZの3つの国籍を持つ子供二人を持つ元日本人のネタでした。