2014年09月05日
適用法令
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*適用法令:所得税法第三条、所得税法施行令通則第十五条
所得税法(昭和四十年三月三十一日法律第三十三号) 「第三条第一項」
(居住者及び非居住者の区分)
第三条 国家公務員又は地方公務員(これらのうち日本の国籍を有しない者その他政令で定める者を除く。)は、国内に住所を有しない期間についても国内に住所を有するものとみなして、この法律(第十条(障害者等の少額預金の利子所得等の非課税)、第十五条(納税地)及び第十六条(納税地の特例)を除く。)の規定を適用する。
2 前項に定めるもののほか、居住者及び非居住者の区分に関し、個人が国内に住所を有するかどうかの判定について必要な事項は、政令で定める。
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所得税法施行令 通則
第十三条 法第三条第一項 (居住者及び非居住者の区分)に規定する政令で定める者は、日本の国籍を有する者で、現に国外に居住し、かつ、その地に永住すると認められるものとする。
(国内に住所を有する者と推定する場合)
第十四条 国内に居住することとなつた個人が次の各号のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有する者と推定する。
一 その者が国内において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。
二 その者が日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実があること。
2 前項の規定により国内に住所を有する者と推定される個人と生計を一にする配偶者その他その者の扶養する親族が国内に居住する場合には、これらの者も国内に住所を有する者と推定する。
(国内に住所を有しない者と推定する場合)
第十五条 国外に居住することとなつた個人が次の各号のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有しない者と推定する。
一 その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。
二 その者が外国の国籍を有し又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと。
2 前項の規定により国内に住所を有しない者と推定される個人と生計を一にする配偶者その他その者の扶養する親族が国外に居住する場合には、これらの者も国内に住所を有しない者と推定する。
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これが僕が普段やっている仕事の、あまり皆さんにご案内しない内側である。ぼくは日頃普通の人々に分かりやすく噛み砕いてお話するのだけど、その裏側にはこのような難解な法律用語が英語と日本語で常に付いて回ってる。
(居住者及び非居住者の区分)という定義を法律上どのように決めているのか、そしてその法令の法的根拠は何か?それを学ぶのが僕の仕事の第一歩である。
人間ってこんな事が出来るはずだ、だって人間は誰しも幸せを目指しているのだから、そういう推測を前提に日本とニュージーランドの法律を調べる。出て来るのは上記のような法律、法令、施行令、通達、実にまあ複雑になっておりまともに読んでも何を書いてるから分からない、まるで「外にいる奴には何も教えん」霞ヶ関文学である。
そこでこちらは玉ねぎの皮を一枚づつ剥くようにして法文の解釈を行う。そしてこちらの推測を基盤にした解釈を行い、それを関連各所にぶつける。ぶつける相手が日本とNZの弁護士、会計士、税理士、司法書士、税務署、国税庁、金融庁、外務省条約局、まさに多岐に至る。
その結果としてこちらの解釈を微調整しつつ各所から「見解」や「意見」をもらって法的に鎧を作り上げて最終的に自分の期待する答を作り出す。もちろんこちらの解釈が「否認」されることも時にはある。但しその時点ではまだお客様に伝えてないし公表もしてないので、次の登山ルートを探す。
そうか、南側が駄目なら北から登ってみるか、目指す頂上をずっと見つめつつ、絶対に答はあるはずだ、そう思いつつ技術的に何が可能かを、ない知恵を搾って考える。
毎日がそんな作業である。
けどお客様は法律のプロではないし一生に一回の移住であるから当然このような背景を知ることはないし知る必要もない。
例えて言えばあなたが今晩食べている牛肉のすき焼きの肉が生前は牧場でのんびりと草を食んでいたのにある日突然牛車に載せられドナドナ運転手に連れられて屠殺工場に送られて電気または鉄棒で頭を打ち抜かれて殺されてた牛であるって事は、あなたにはあまり直接関係はない。
今日は昨日個人面談をした方から急に連絡があり今日再度会いたいとの事で話をお伺いすることになった。今回はご家族を連れてこられてこの方が非常に賢い方で昨日の僕の話の法的背景を知りたいとのこと。
ほー、珍しい人もいるな、そこまで踏み込んで知りたいってのはあまりないぞ、例えて言えば今自分が食ってる牛肉が具体的に「ドナドナされるまで生きてた牛をどう殺してまだ暖かい体温の残る肉や内蔵をどう切り裂いてどうやって小分けして、解体された血の滴る肉体がどのように箱詰めされて卸売会社に届けられるか」を知りたいようなものだ。
ほんとにそこまで踏み込んで知りたいのか?
けど経歴を聴けばなるほど納得出来る。そこで日本の民法における居住者と非居住者の認定の法律の条文をそのまま印刷してお渡しした。
そして法令の条文ごとにその解釈を具体的にどういう事なのか説明すると非常に賢い、一発で問題点を見つけ第三の選択肢を見つけ出して僕に質問してきた「こういう方法がいけますか?」
この話、続きます。