2014年09月26日
金曜日はランチミーティング
僕は九州出身で夕方の最初の一杯はビールよりも焼酎が好きで、夏なら涼しい風の吹く屋台の横でビール台をテーブルにして焼酎を氷で冷やしたロックを飲み、玄海おろしの吹く冬は屋台の中のおでん鍋の近くに座りお湯割りを楽しんでた。
あの頃、1980年代ってまだ東京の人が焼酎が臭くて飲めないしとんこつラーメンなんて鼻が曲がるって言ってた時代だった(笑)。
なんだけど1988年、ニュージーランドのクイーンズタウンに来てからは焼酎もないしウイスキーが中心になり特に糖質制限を始めてからは一杯目からスコッチウイスキーである。1980年代はダニーデンで造ってるウィルソンズというスコッチウイスキーが好きでずっと飲んでた。ボトル一本が18ドルくらいだったか。
スコットランドがスコッチウイスキーの本場ってのは名前で何となく分かってたがダニーデンで、つまりスコットランドの本場以外で最もスコットランドらしい場所と呼ばれるダニーデンだから美味しいウイスキーが出来るのか?などと考えたりしてた。
ウイスキーの語源はここで何度か書いたけど「ウイスカ」となっている。古いスコットランドの言葉で命の水って意味だ。そうか、おれは毎日命の水を飲んでいるのか、何て幸せだ!なんて言い訳をしつつウイスカを飲むわけだが、この仕事をしているとまさに真夏のギラギラとした砂漠を裸足で「あち!あち!」とどこまでも続く茨の道を歩くか東欧のコソボの地雷原を闇夜に歩くようなもので、何時何が起こるか本当に分からない。そりゃ酒も欲しくなるぜよ(笑)。
けれど僕は昼間のランチミーティング等では一切お酒を飲まない。「ワインの一杯でもどうですか?」と言われることもあるが固辞することにしている。帰りは運転するかだし、もし運転しないにしてもやはり飲まない。というのが一度酒を飲み始めるとペー−パーワークをやる気を一気に失くすからだ(笑)。
でもって今日はAuckland業務最終日。週末はお客様のご自宅を訪問しての打ち合わせが入っており来週月曜日から日本出張なのでやることてんこ盛りなのだが何故か早い時期から今日の予定にある大手弁護士事務所とのランチミーティングが入ってる。
めんどくせーな、行きたくないんだけどってスタッフに言ったら怒られた「何いってんですか!tomさんが予定入れろって言ったんじゃないですか!」そうか、やはり俺が予定を入れたのか・・・スマヌ。
という事で12;00から海辺のお洒落なレストランで当社4名弁護士事務所側3名の合計7人でランチ。伝票は相手持ち(笑)。席に座ると「ワイン飲む?」って聴かれたけど「今日は運転だから」と言って断った。そうそう、Aucklandのお洒落なレストランでは水にしても炭酸水か静かな水かを選べる、
ここは大手弁護士事務所で日本の大企業との取引も行っており、約2時間のビジネスランチは実に色々な話題で過ごす。初対面のメンバーもいたので最初は少し気を使ってたりしたが、飯を食いながら2人の男性と5人の妙齢の女性であるから話題はどんどん広がっていく。
この事務所は日本企業のNZ進出事情を扱っておりその背景に興味があるようで日本の現況を説明する。少子高齢化の中で国内消費増加が見込めず今までのような製造業で輸出というビジネスモデルから次第に海外企業を買収して株主としての配当収入を得るビジネスモデルに変化しているとか。
死刑論も話した。とくに数日前にノースコートで17歳のマオリがひったくりを行った際に止めようとして間に入ったキーウィ女性が押し倒されて頭部挫傷、まだ危篤状態が続いている。
もし死亡した場合殺人罪が適用されるがこの場合弁護士曰く今のNZだと4〜5年だって。それって年齢だから?って聴くとそうでもない。一体どんな国じゃと、折角の機会だから日本の状況を説明する。
「それで委員会?日本ならこれでもし死んで殺人罪に認定されれば最低15年から終身刑、もし2人殺したら死刑だよ」
この国でも20年ほど前までは死刑制度があったが廃止されて、それ以降どんどん犯罪者に対して甘くなっている現実がある。
それから動物ネタ。SPCAで動物を扱い最後に殺すのは正当なのか?これは裁判で時々争うようだ。目の前のイケメン弁護士も何度かその訴訟を担当して「SPCAは民間団体であり引き取り手のない動物を殺す権利はない。すべて網を解放してのに放つべきだ」という主張をしているとの事。ただ現実問題として難しいのはイケメン君も分かってて、難しい裁判だって言ってた。
途中にジョーク(ブラックも含めて!)も入れながらたっぷりと濃い2時間のランチミーティングはお互いの見識や考え方を理解するのに実に役立った。
ランチミーティングも終わってレストランを出て彼らとクイーンストリートを途中まで一緒に上りそこで皆にこにこして「じゃね!」と別れる。
「なかなか良いミーティングだったよねー」と僕が気軽に言うとスタッフがじろっとこっちを見て「そうでしょ。誰が行かないなんて言ってたんですかねー?」(苦笑)。