2014年10月05日
停電 街の優しさ
Aucklandに戻って来た。昼過ぎの空港は天気予報では曇天との事だったが僕が空港に着いた頃は晴れており「お、今日も傘なし♪」と喜びつつ駐車場に駐めてた車を引っ張りだして自宅に向かう。
空港からいつもの道をシティに向かう途中にセルウィン通りって裏道があってそこから高速道路に入ろうと車を進めると、え?Aucklandを東西に繋ぐ幹線道路の交差点で信号が消えてるではないか?!そういやさっきニュースで「停電ですねー」って言ってたのはこの事か。
幹線道路は片道3車線の大通りでありこっちは片道2車線であるが、そこはキーウィ手慣れたもので、お互いに交差点に近づくと両方の道路の車の混み具合を見つつ適時停止する。
一つの車線で車が停止すると後続の車も隣の車線で停止して両方の車を先に行かせる。適当に走らせたところで次は自分が走りだして両方の車は停止する。
こんな事が高速に入るまでの5つくらいの信号で続いた。それにしてもさすがキーウィだな、自分が停まって相手にゆずるタイミングが実に良い。お互いに顔を見合わせてるわけでもないのきちんと肩を並べて譲りあう。
90年代のオークランド・シティの約一ヶ月にわたる大停電の時も世界から取材に来た記者が一番びっくりしたのは信号が全部停止しても全く交通渋滞を起こさないAucklandの運転者マナーであったことだ。
一番おもしろかったのが、ぼくが交差点右側の車を行かせようとして自分の車を交差点前で停めると、すぐ横を走ってた中国系のおっさん運転手が変な顔しつつ車を止めたことだ。
彼もこの現象が何なのかよく分からずにそのまま突っ走ろうと考えていたのだろうが、あれ?どうも違う、ここ中国じゃないよね、なんでこいつここで止まってんの?あれ?やば、一応止めようって考えて停止した。
そこで信号が付いてないのに気づいたようでこっちの顔を見ながらニコニコしてた。
ようこそAucklandへ♪あなたは今、大陸中国人ではなくチャイニーズキーウィになりましたよ。
そう。この街は決して大きな都会でもないし物質は豊かではない。けれど信号が消えても譲り合って交通渋滞が起こらない、心の余裕がある街だ。
一週間の出張で4都市を周り機内で一泊してのAuckland到着。忙しかったけどそんな事は言ってられない。また明日から戦争だ。さ、戦うぞ。

