2016年07月04日
人質テロ根絶に向けて?
日本とイタリアが電話越しに何を言ってるんだろうか?中東問題は日本とイタリアが話しても解決する問題ではない。ましてや両国では絶対に根絶することは出来ない。日本とイタリアは被害者であっても当事者ではないのだ。
本当に根絶したいなら英仏が中東において作ったサイクス・ピコ協定で中東の民族を分断させて掻き回していた過去、それから1950年代に産油国となった中東に殴りこみをかけて支配した米国の過去をまず修正する必要がある。
それが米英仏にできるか?米英仏が今から国境線修正して中東式の国家運営を承認してすべての利権から手を引いて中東から出て行くか?あり得ない。第一それで中東の人々の気持ちが收まるか?收まるわけがない。
どれだけの人々が英米によって殺されたか?数だけ考えれば完全に不公平であり「もっと戦争しようぜ、こっちは死ぬのが喜びだ、死体の数合わせしようぜ」となる。
ということはこの戦争はこれからも続くということだ。人質テロと呼ぶことで如何にも相手に「卑怯感」を増そうとしているが、戦ってる戦士たちはこれを世界に向けた戦争、それも聖戦と考えているのだからテロではないのだ。
西側では彼らをテロリストというが彼らはイスラムに忠誠を誓う軍隊の兵士であり近代世界が決めた戦争法なんて元々そんな会議に参加していないのだから関係ない。彼らは行きたい場所に行きやりたい戦争をする。
この戦争の撲滅はもぐら叩きのようなものである。
世界の中で次にどこの穴から飛び出してくるか分からないもぐら。欧州では国境を自由化させたバカがジンケーン!とか喜んでその一方でテロリストの侵入を許した。
けれどそのもぐらを産んだのは間違いなく欧米だ。
1800年代まで中東はそれなりに安定したイスラム支配地域であった。民主国家は存在せず国境も明確でなく自分たちが部族ごとに大家族主義のような生活を行っていた。
その中でインドを支配した英国は隣国アフガニスタンに侵入するが次から次への敗戦、結局英国はアフガニスタンから撤退した。
その後中東は昔通りの生活に戻った。1970年代に多くの日本人バックパッカーが北回りはシベリア鉄道で吹き荒ぶシベリアの森林地帯を走り抜けて欧州へ度に出た。
南回りはシルクロード、まさにインドからアフガニスタン、イラン、イラク、そして中東のパリであるベイルートまで周り、まさに「何でも観てやろう」の時代だった。
この頃の日本人旅行者の記録を観ると誰もが「彼ら中東の人々は私に対してとても優しかった」と書かれている。
中東の人々からすれば俺達の地域をずたずたにしやがった許しがたき英仏であるが日本人は歴史的に関係ないし元々旅人に優しくする中東の人々である。
英仏からすれば第一次大戦後の中東撤退の置き土産が国境であり、ここで宗教戦争や人種差別が起こるように組み合わさった現代中東地図を策定した。要するに「お前ら内戦ばかりしてろ、こっち来るな」戦略である。
まずこれで中東は掻き回され内戦が続いた。
ところが1950年代からサウジアラビアなど中東で石油が採掘されるようになりここに中東の大変換が起きた。そっち行くぞ戦略だ。欧米石油メジャーが中東に進出して来たのだ。
今度はこの内戦を利用して各国が石油利権を奪い合うようになった。
米国は英仏よりも直裁的に中東を狙った。今までの王様で米国の言うことを聴く者には武器を与えよう。聴かぬならクーデターで滅ぼすぞ、米国の言うことを聴く傀儡政権をあちこちに作った。
サダム・フセインは元々米国の仲間である。それが途中から米国の傀儡から外され敵視戦略に変わったこともイスラムが欧米を憎む大きな理由である。
1990年の湾岸戦争はフセインがクエートに侵略したからだというが元々クエートという国はなく石油産出国イラクの港を塞ぐために英米が画策して湾岸に出る港に国を作ってキャップをかぶせた。
これに不自由を感じていたサダムはある時米国に「クエート軍事行動」を問うと「米国は関知しない」との返事。これが実はさよならサダム・フセイン作戦だった。
これを米国からの緑信号と受け取って侵攻したのが第一次湾岸戦争の始まりだ。戦争仕掛られて米国に騙された事に気付いたサダムフ・セインは勝ち目がないと思ってとっとと白旗を掲げた、米国への怒りの中で。
そして米国は今度はイラクそのものの解体を狙い世界に向けてありもしない「イラクには大量破壊兵器があるぞー!」て嘘言って第二次湾岸戦争を起こした。こうやって生まれた憎しみをどう拭い去ることが出来るか。自分の身内に起こったと想像して欲しい。
隣国イランは元々米国の傀儡政権であった。日本も安心して米国傀儡政権の元で日本イランジャパン石油開発が政府の後押しで進められていた。
ところがここでも米国が全く予期せぬイスラム原理主義者によるイスラム革命が起こり日本と米国は追い出された。
この時米国大使館で米国人が長期間にわたって人質に取られたのはCIAにとっっては一生の恥であっただろう。それから長期にわたり経済制裁を行いそれがオバマによって今年やっと解除になったのは当時恥をかかされた連中が引退したからだろう。
これ以外にもイスラムの過激化は様々な原因がある。そしてその殆どどれもが欧米による利益剥奪なのである。100年にわたり騙し続けられ利益を奪われ続けて家族を殺された者が考えることは何だろう。
少なくとも今日本やイタリアがどうこう言って根絶出来る問題では、全く無い。そしてこの問題は根絶どころかISの陰に軍産複合体がいるのだから解決の方向性にさえ進まない。
今のイスラム地域はまさに世界の火薬庫で、何時どこで爆発するか分からない状態がこれからも続く。