2016年07月22日
愛の証明
そう言えば日本で30代前半のご夫婦との個人面談を行った時の話で申請者の配偶者証明の話になった。
永住権申請の際のパートナー、つまり配偶者について証明せよとあるのだがそりゃ日本人なら普通に戸籍謄本と住民票で十分であると思うだろう。
ところがNZには戸籍がないし移民局審査官と言えど日本のルールを知っているわけではない。
NZでは出生証明、結婚証明、死亡証明があるが戸籍制度がない。またNZでは結婚について破綻主義という考え方をとっている。NZでは愛がなくなれば別れるのが普通であるから有責主義を採っている日本では愛がなくても別れない日本人社会の事は分からない。
また同時に結婚してなくても同居をしている場合デファクトと呼ばれて一定年数を経過したら結婚と同じ意味を持つ。内縁の妻という発想がないのだ。
日本の戸籍抄本を見せられてもそれが3ヶ月以内に発行された最新のものかとまるで健康診断のようなバカな質問をしてくるわけだ。
そこでまず結婚した時の写真、家族旅行の写真、手紙のやり取りを提出することになる。要するに本当に今も結婚が継続しているのか?を確認するわけだ。
結婚って一緒に住んでれば継続してるよね普通。共同名義の書類を出せとか何だか煩いより前にあほっぽく思えてしまう移民局の子供っぽさである。それでもとにかく彼らの言い分もわかるので用意出来るものは用意する。
しかしなー。おいおい子供君、愛は証明出来ないんだよ。大人になればわかるよ、日本では好きじゃなくても同居している家族がごまんとあるんだから。
ところがこの審査が今年から更に厳しくなっている。というのが去年から今年にかけて中国から行われた申請が半分くらい落ちたのは数日前に書いた通りだが、彼らがまたまたやらかしたのである。
自分の申請の際に他人を紛れ込ませて「こいつは家族だ」とやる。証明しろと言うと結婚時の写真から現在の写真まで全部フォトショップで加工したものを提出する。メールもチャットもすべて日付調整して作る。
戸籍も偽造。何せ何でも印刷出来るオークランド印刷所があるのだ。こうなると何を信用してよいか分からん審査官。要するに調べるほうが社会経験がないわけでそこからまず勉強不足である。
そこで例えば自称夫婦を移民局に呼び出して別々の部屋でインタビューをする。
「あなたはベッドのどちら側に寝ていますか?」
「歯磨きの時のコップは共有ですか?どんな色と形ですか?」
もう完全に相手を否定するところから入ってる取り調べであるがそんなもん中国人の間ではすでに知れ渡った話であるからここに振付師が出て来て生活の実態を作る。
そこで今度は「相手の体のどこにほくろがあるか?」「相手の好きな食べ物は?」などと愚にもつかない質問をしてくる始末である。
しかし悪いのは移民局ではなく虚偽申請ということに何の道徳的疑問も感じない連中である。こういうのがいるから審査に時間がかかり更にチェック項目が増えていく。