2016年07月29日

トリプルダウン

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総務省が29日発表した6月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり261452円で、物価変動を除いた実質で前年同月に比べて2.2%減少した。減少は4カ月連続。QUICKが事前にまとめた市場予想は0.3%減だった。総務省は消費支出について「弱い動きがみられる」との基調判断を据え置いた。季節調整して前月と比べると1.1%減だった。

 消費支出の内訳(実質)をみると、リフォームなど「住居」が22.2%減少した。昨年に省エネ住宅ポイント制度で増加した反動が出た。授業料など「教育」も14.6%減となった。品目別では、相次ぐテロの影響で外国パック旅行費が減少。軽自動車の燃費データ不正問題を背景に自動車購入を控える動きも出た。

 勤労者(サラリーマン)世帯の1世帯あたり消費支出は276602円と、実質で5.1%減少した。2カ月連続で前年同月を下回った。

 高額でぶれが大きい住居と自動車を除いた実質支出は前年同月に比べて0.3%減少した。季節調整済の前月比では0.4%増加した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL29HHX_Z20C16A7000000/

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同日の日経記事で「雇用増加!」とやってるが実際には東京オリンピック景気で建設業や賃金の安い宿泊飲食サービス産業に流れているだけだ。TOYOTA自動車で正規雇用が一名増えるのも1,女性がバーテンダーとして雇われるのも1である。

 

安倍首相としては経済ブレーンに言われたとおりに偽薬であるアベノミクスをやってるけどもうすでに現場では効果なし、またもデフレである。

 

安倍首相の気持ちも分かる。

 

円安株高でトヨタやキャノンがどーんと利益を出してもらいこれを原資として従業員の給料上げたり工場で新規雇用を作ってくれれば低賃金労働者は減る。

 

さらに労働者の将来が見えてくればお金が消費に回り労働者が消費者として少しは贅沢をしたいと思って「今日はサイゼリアじゃなくて焼き肉トラジ」に行き、これでやっと全体の歯車が回る。安倍首相の頭の中では食物連鎖の一番下まで効果が届くと思っていた。

 

だけど何故か歯車が回らない。それはアベノミクスの基本がトリクルダウン効果、つまり人々の一番上にお金を入れたらそれがシャンパンタワーのように一番下で待っている地方の人にまで流れ込んでみなが潤うはずという発想だからだ。

 

現実は甘くない、政府がばらまいたシャンパンタワーマネーは東京の一部に留まりごっつい時計を買うような一部の金持ちを産んだが地方には全然届いていない。ましてや全体としては賃金が上がらず日本全体としては消費減少となったのだ。

 

今の東京では昼間はオリンピック建設景気や羽田空港拡張工事でビジネスマンが東京都議連に集まり賑やかにあちこちで会議をしている。これは業界用語で談合と言う。

 

かと思えばJRがリニアを開始する。名古屋から大阪も8年前倒しで実行だから鉄道関係者も大忙しである。これから品川の地下から名古屋まで大きなトンネルを掘るわけで、その結果品川は夜も事務所の電気が消えず賑やかになる。

 

こうやって東京が賑やかになればサラリーパーソンも東京では仕事が安定しているので夜になれば「俺たちいけてるー!」とサラリーパーソンが居酒屋で楽しく過ごせる。そして飲食サービス業の利益が出るようになり雇用が生まれる。

 

つまりトリクルダウンは東京では成功しているのだ。

 

ところが一歩東京を出るとそこは違った景色が広がる。それは誰もが肌で感じるところであろう。

 

安倍首相の狙ったトリクルダウン効果が生み出したのものは結果的に消費減少、デフレ復活、地方の疲弊というトリプルダウンを生み出した。



tom_eastwind at 11:08│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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