2017年08月20日

どん兵衛うどん

最初に言っておきますが、これはお休みの今日のひまネタです。真面目な方、短気な方は読むことをお勧めしません。最後まで読むと本気で怒る可能性が高いからです。

 

僕は日本出張で東は東京から西は沖縄まで移動するが旅先のホテルにチェックインした後に近くのコンビニで非常食を買い込む。この非常食の常連がカップヌードルとどん兵衛である。

 

ホテルにいればレストランもルームサービスも、食うものはいくらでもあるだろうと思われるだろうが疲れた時の夜や朝などはまず部屋着から着替えたくない部屋から出たくないホテルスタッフの顔も見たくないという状態が頻繁に起こる。

 

それでもお腹は空く、というか仕事を始めたら確実に昼飯抜きになるので今何か食べないとやばいってのだけは分かるので無理してでも何か食べるようにしている。

 

その時にコンビニの添加剤などを考えて一番やばくないのがカップヌードルとどん兵衛なのだ。勿論これが健康によくないのは分かるけど食べなければ人は死ぬのも事実である。

 

おにぎりやサンドイッチのように添加剤や賞味期限を気にする必要もないしネギ嫌いな僕は出張スーツケースの中に茶こしを入れておりどん兵衛の中にある粉末スープのネギは茶こしで濾して食べることが出来る。

 

ちなみにカップヌードルのネギは最初に紙ナプキンを広げてそこにトッピングを全部出して肉や海老や卵など食べたい具だけ取り出してから麺の間に挟まってるネギは爪楊枝で取り出して、食事中にカップの中に発見されたネギはその度に箸でつまみ出して紙ナプキンに移動させる。

 

ここまで読んで真面目な性格で普段インスタント料理などまず食べる事のない人は呆れてるだろうしそんな方はここから先を読んでもあまりのくだらなさに腹が立つだろうからこの辺で読了頂きたい。

 

さてどん兵衛であるが、これは東京と大阪で味が違うしパッケージの中身も違う。国内出張が多い方はご存知かもしれないが、そう、東京はざっくり言えばカツオ出汁、大阪は昆布出汁の味が強いのである。

 

これはやはり大阪出身の日清食品であるからまず日本標準として東京風のカツオの味付けとするが、それでもあんな醤油の濃いカツオの田舎臭い下品な味は大阪の人に合わない事を知っている。そこで大阪等西向けには上品で色の薄い昆布つゆを使っているのだ。石川、富山、福井、滋賀、奈良、和歌山以西が西向けの味付けである。

 

更にそのスープも片方は液体スープ、片方は粉末スープである。更に片方はネギが麺の上や間に挟まっているが片方は粉末スープの中に組み込まれている。

 

どん兵衛を外から観ればどちらも全く同じ外観であるが中身はこのように地域の違いが明確にあるのだ。ちなみに外見から見分けようと思えば器の部分に小さくEWの表示がある。Eが東、Wが西であるのでここで見分けることが可能である。ここまで来ると実にくだらん事を長々と書いてる事を実感している。

 

東西の味の違いに対してカップヌードルは日本中どこで食べても同じ味である。これはやはりラーメンは外来文化、うどん文化が日本発祥と捉えられていることも大きく影響していると思う。

 

元々うどんが日本にやってきたのは1200年代の博多だったとか10世紀以前の中国だとか日本古来の料理であると諸説あるがラーメンより確実に古くからある食べ物であり日本人からすればうどんはさぬき、稲庭、氷見、博多、諸国譲れない意識があるのだろう。

 

あ、ちなみに博多のうどんはいわゆるフニャフニャ麺で出汁を吸いやすい。牧のうどんなど麺が出汁を吸うので食べても食べても減らない感じがするくらいだ。かろのうろんも有名である。

 

これに対してさぬきはコシが強いわけで、けどコシが強いってのは麺が硬いって意味ではなく引っ張ると伸びるし口の中で噛み切る時にぶちっ感があることを言う。

 

そんな日本中のうどんを研究しながら作られて更に今でも定期的に麺の作り方を変えているのがどん兵衛である。実際に最近はどん兵衛の麺を以前のようなぶちっと切れる感触ではなく表面がつるっとする麺になっている。ちなみにどん兵衛蕎麦の麺もいつも精進して美味しい方に変化させているから過去の味と比べながら食べるのもの美味しい。

 

さて江戸時代、江戸の人間にとって麺とは蕎麦であってうどんは一般的ではなかった。大阪ではうどんが一般的である。

 

江戸の古典落語でも「うどんや」という屋台うどんの話が出てくる。当時江戸で主流でなかったうどんを大阪の人間が行商で売ろう、それに対して酔っ払った江戸人が色々と話をしながら東西文化の違いを見せるのだが、それでも明治時代にはうどんが全国文化となり東京でも普通に食べられるようになった。

 

しかし大阪人からすれば元は蕎麦を食ってた東京人が何を今更偉そうにうどん食ってんだ、おまけにどぶどぶ醤油入れやがって、あんなもんの何処がうどんだ!って話になる。

 

特に昭和後期の東京新橋駅にある立ち食いうどんなどは僕も初めて食った時はびっくりした、何じゃこりゃ?醤油じゃねーか?ところが周囲の人々は黙って食べてるわけで、こればかりは九州出身の僕としては関西人の言い分に一票入れたくなった。それくらい真っ黒のツユで味が濃かった。

 

これは何だろう、やはり当時は多くの東北人が東京に出稼ぎに来ており彼等の好む醤油を使った濃い味が売れていたのだろうか。ただあの当時の新橋の味は今も記憶にある。

 

そこでどん兵衛うどんに話を戻すと戦前の台湾生まれの安藤百福(日本国籍)が苦労の末に大阪に設立した日清食品で最初は1958年にチキンラーメンを発明して1971年にカップヌードル、そして1976年にどん兵衛を発売開始してこれら商品群は現在まで爆発的商品となっている歴史がある。

 

これだけ流行ったどん兵衛ではあるが関西出身の人々からすれば関東味を食わされて納得できるものではないし、何しろ会社が関西発祥なのだ、そこで当然のように東と西で味が分かれることになった。

 

他にも北海道限定のどん兵衛もあるがその話は別。

 

なので日本を旅する僕からすれば旅先のホテルの部屋に置いてあるどん兵衛を食べながら何十年も前から食うどん兵衛に安藤百福氏の苦労をしのびつつありがたく思い、こんな狭い日本でこれだけ味の文化の違いを大阪や東京のホテルの部屋でまさに噛みしめる事になるのだ。



tom_eastwind at 17:37│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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