2017年09月10日

駆け込み寺2017

ここ3ヶ月で当社への駆け込み寺が発生している。これは今までも何度もあったが今回の駆け込み寺は昨日も書いたが今後のNZの銀行口座保持と日本から国外への送金規制である。

 

NZの銀行員と言えど現場の人間にとっての顧客は自分の上司でありいくら目の前の顧客に良い対応をしてもそれが上司の命令に反するものであれば即刻クビになる。

 

なので誰が自分に給料を払っているかと言う視点から動くので今回の非居住者向け新ルール導入はいよいよ時代が変わったぞ、客が客でなくなったぞという感じである。

 

今までのオークランドはのんびりとした街で北半球から来た人々はびっくりしたものであるが銀行に関しては今後益々規制が厳しくなり、そういう状況変化を知らずに昔のルール感覚でやって来た人には大変な騒ぎである。一体どうすりゃいいんだ???

 

そしても一つ大きいのが銀行送金規制である。これは現在は海外向け送金規制であるがマイナンバー制度が普及すればいずれ国内送金規制にも拡大する。「この送金何ですか?納税してますか?」となる。

 

海外に留学している自分の子供の学費や生活費を送金しようといつものように取引先の銀行に行くと今までとは手のひらを返したように海外送金窓口では冷たい対応で「これは何の送金ですか?正式な書類がなければ送金出来ません」と言われる。

 

「正式な書類って生活費だよ、どう証明する?学費なら学校からの請求書があるけど」って言うと「では生活をしている証明を出して下さい、でないと送金は受け付けません」という。

 

おいおい自分が真面目に働いて納税した後のお金を自分の子供に送るのだ、自分のカネを自分の子供に送るのに何で銀行がいちいちその内容をチェックするのだ?という話である。

 

ところが日本の銀行の支店外国為替送金窓口では、チェックするようになったのだ。これは当然どこか銀行の上の方からの指示だろうし上の方は更に上から指示されて「日本国内の個人資産であるカネを外国に送るな、あのカネは国のものだ」とやっているのだろうが、これで自由市場経済か?まるで計画経済、統制経済である。

 

株価はPKO(株価維持活動)で実体経済はまたもデフレに向かい始めているのにGPIF等を使って人為的に株価を上昇させて実態経済を目眩ましさせてアベノミクスを守っている。円安にすることで大企業は利益を得るがそれは内部留保されて給与に回らないので消費につながらず物価上昇を起こさない。

 

政府が発行する赤字国債は日本銀行が輪転機ぐるぐるで引き受けて最近では民間銀行よりも日銀のほうが国債保有残高を増加させており、これでは市場経済ではなく世界に信用のある日本円だからやれてる政府と日銀に依る統制経済市場原理である。

 

これは歴史的にいずれインフレーションを招きそれは一旦始まると人為的に止めることは難しくなる。その先にあるものは日本でも戦後すぐに経験したような、バブル崩壊後に経験したような厳しい現実である。

 

今起こっている事は世界レベルで起こっている各国民に対する政府の規制である。レーガンやサッチャーから始めた自由開放市場を見直すぞ、大きな政府が個人を監視するぞ、日本もマイナンバー制度をやっと導入出来たので今後はOECDと組んで徹底的に個人のカネを洗い出しますよって話である。

 

なので今起こっている駆け込み寺の背景には世界の政府が自国民に対してきつい網をかけようとしている第一歩でありまさに世界統制経済が始まるのだという事である。

 

そして今回は世界の当局側に利がある。アルカイーダやISによるマネーロンダリング防止はAMLとして、犯罪収益移転防止法はCFLとして堂々と規制をかけられるからだ。けどその本音は政府に依る個人資産の把握と課税である。

 

そしてこの最終目標は一般市民が今まで節税していた収益を違法として過去に遡って追徴課税をすることで収益どころか元金までも巻き上げられるような仕組みを作り一罰百戒して今後は「不届き者は打ち首である!」となるのだ。

 

本来法律には「法の不遡及」という大原則があるが税法だけは遡及出来る。

 

更に日本の税法では相続税の時効5年、特別な場合は7年と規定されているが、これも通達一本で変更出来て10年以上前の行為であっても民法上の「社会秩序を著しく乱す行為」として時効の適用を停止するという方法に出ると勝ちようがない。

 

その時になって一般市民がどう法律を盾に戦おうと相手は法律を作ってる方なのだ、勝ち目はない。

 

今までは「不動産で騙された」と言った駆け込み寺や「永住権で騙された」のような個人が何かやる案件だったが今回は各国政府が個人相手に仕掛けるという新しい事象である。

 

この仕事やってると、まさに世の中の変化を現場で肌で感じる毎日である。



tom_eastwind at 20:19│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔