2017年09月28日

点、線、面、時。

日本は2020年を境に大きく変化する。

 

そこには政治、経済、社会など様々な要因があるが、観えているのはそういう様々な要素が時代の変遷の中である時期に一つに固まる事になると「大日本丸」と言う大きな船の方向を簡単に変える事は出来ずそのまま片方の端っこまで突き進むという事実だ。つまり秤の振り子がそれまで左端だったのがいきなり右端に向かっていくって事だ。

 

何故航路を変えられないか?それは各国民が自分だけの「点」の視点として物事を捉え自分の行きたい道がその先にあると考えるからだ。誰も自分の観たいものを観る。これから起こる現実を予測するよりも観たいものが本当であると考えるほうが思考停止出来て楽だからだ。それ以上考えなくて良いからだ。

 

僕は今から約17年前の2000年頃からオークランドで日本人向けに月刊情報誌を作成してた。その頃は日本がバブル崩壊後それまでの楽しいフリーターとかが実は地獄の一丁目じゃないかと理解され始めた頃であり、昭和の時代のサラリーマン社会が崩壊していくのを当時のコラムで描いた。

 

2030年、母と子供がサラリーマン博物館に行くと当時真夏でもスーツにネクタイをして自分の身体を実際に満員電車に載せて客先に移動して汗をかきながら仕事をする姿があり、それをお母さんに連れられて来た子供が「お母さん、昔の日本ってすごいムダなことしてたんだね」とつぶやく。それは丁度江戸時代のちょんまげ武士を観た昭和の子供がびっくりするように。

 

2000年当時にネクタイを外す人はいなかったがクールビズ以降ネクタイがまず外された。困ったネクタイ業界であるが事態を理解出来なく思考停止してた業界団体はそのまま失速。逆に汗を溜めないYシャツとか涼しい素材、洗えばアイロン不要のシャツは売れるようになった。

 

2017年現在、日本国首相でさえ暑い夏にはネクタイを外す事が普通になった。ネクタイ文化が大きく変化した。

 

けれど当時ネクタイを売ってた人からすればネクタイはビジネスマンが一生身につけるものでありそれが売れなくなるわけはないと本気で思ってた。何故ならそのほうが何も考えなくて思考停止出来て楽だからである。

 

ネクタイ業界のライバルは業界内での仕事の取り合いと思い込んでたら、何のことはない業界そのものがクールビズと言う金ではない国に依る文化習慣の変更と言うライバルに負けたのだ。これを「時代そのものが変化する」と言う。

 

その結果としてネクタイ業界は衰退した。これは変化を嫌った人が世の中を自分が今立っている「点」からしか眺めず目の前に見える景色だけを世の中全てと思い込み生きてきたからだ。

 

だからエコや在宅勤務や着心地の良さと言う周囲の他の点で起こっている様々な事象と自分の点の間に線を結んで考えようとしないから相関性が分からない。

 

そして2点が分かる人、例えば大手百貨店とネクタイの関係が分かる人がいてもそれ以上に情報を取らないから百貨店の中ではいくら紳士服が商売になると言っても百貨店そのものが時代の変化で売上が減少するなどと想像もしていない。

 

それは第三の点であるユニクロ等の量販店である。安くて良い品質の洋服を消費者に届けるようになると「じゃあ今まで百貨店で売ってた高いものって何だったの?」て話になる。

 

こうやって点と線と第三の点が結ばれて面になった時に人々は初めて今何が起こっているのかを気付いた。社会が急激に変化しているのだ。けど気づいた時にはもう遅い。

 

そして長期にわたるデフレで20世紀のビジネスモデルは崩壊した。

 

ところが問題は、これは戦後日本の長い歴史の第一章にしか過ぎないことだ。次の大きな変化は2020年以降に来る。それは誰もが知っている少子高齢化、徹底したネット社会とIoT、医療と年金は減らされ人々は死ぬまで働くしかなくなる。そこに見えるのは多くの人々が一生働かされ続け何も残せず死んでいく奴隷状態である。一つ一つの点は皆知っている。けどそれを結ぶと何が見えるかを考えようとしない。

 

ネットが発達した時代、体力は重要ではない。大事なのは気力と想像力である。しかし小学校時代から大学までかけてそのようなものを削がれた人々はいざ自分で考えろと言われても出来るわけがない。

 

このような人々が定年になるとそれまでの蓄えだけでは生きて行けず年金は少なく、結果的に都会に。シェアハウスの老人スラムが発生する。

 

これは社会的現象であり、そうすると日本が完全に二極化する。一部の土地を持つ資産家とそうでない圧倒的に多い数のサラリーマン上がりの無収入者達。

 

2020年に向けて面が段々観えてくるようになる。次に大事なのはそこに時間軸を加えて時系列でこれから何が起こるのか、その時自分がどうやって生き残るのか、それを今のうちから考えることだ。



tom_eastwind at 14:22│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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