2017年12月22日
来年スーツを着る君へ
今日の話は来年学校を卒業して社会に出ていく君たちへの話。実務のみである。
朝起きて今日着るスーツを選ぶ。ワイシャツを決めてネクタイを当てて、さあどの色がこのシャツに合うのか、その後のスーツに合うのかを考える。もしくは最初にネクタイを決めてシャツを合わせてそれにスーツを合わせると言う時もある。
これは一般的な話に聴こえるが今まで人目を気にすることがなかった君でも社会人になればそうはいかない。
スーツ、ワイシャツ、ネクタイ、靴、ベルト、バッグ、君は今日誰に会って何をしたいのか。時、場所、理由、それによって社会人は着るものを使い分ける必要がある。
例えばトヨタ自動車の名古屋の工場で着る作業着と丸の内の銀行街で着る作業着は基本的に違う。それは労働の內容が違うからだ。どちらが上下ではない、どちらも作業着。ただどの作業着が合っているのか、だから英語のスーツには「suit to= 似合う」と言う意味もあるのだ。
今まで学生であった君はまだ社会での労働価値が確定していない。つまり売値も買値も決まっていない。けど社会にでれば君は労働力でありそれを誰が幾らで買うのかとなれば見た目を気にする必要があるのだ。
「人は見た目が9割」なんて事も言われて、僕はそんな事を何十年も無視して海外で生きて来たけど、年を取るに連れて「なるほど、これも一理ありだな」と思うようになった。
ここ数年で20代のビジネスマンがスーツにバッグパックを背中に担いだり吉田カバンみたいのをたすきがけに担ぐのを見かけるようになったが、あれは止めた方が良い。学生の延長でついつい担ぐのだろうが、スーツの体型が確実に壊れてスーツに悪いだけでなく見掛けが悪いので評価が下がる。
最近ではアタッシュケースも復活しているしビジネスバッグでもスーツに合うものは手頃な値段でたくさん出回っている。一度買えば3年程度は使える。スーツを着て両手を自由にしたいなら肩紐付きのビジネスバッグを選べば良い。
それから靴。ビジネスではまず足元を観られる。きちんとした靴を履いているか?なぜ軍隊では常に軍靴をピカピカに磨くのか?なぜ普通のビジネスマンは家を出る前に靴をさっとひと拭きするのか?靴は丁寧に使えば3年程度は普通に使える。数足を使いまわしすることで更に長持ちする。
紐靴にするかスリッポンタイプにするかは、仕事でお客様の自宅に上がる機会が多いかどうかも判断基準である。相手先の玄関でもたもたするのは見掛けがよくない。
もちろん運動靴のようなビジネス靴が歩きやすいのは事実である。そういう状況が許される場所もたくさんある。けどあなたは今その場所にいるのか?もしそこが「その場所」でなければ少々めんどくさい事になる。
他にもネクタイやベルト、靴下の色合い等あるが、もしできれば服の目利きが出来る人と一緒に一軒で全部が揃うような店でまとめ買いした方が良い。パーツごとに違う店で買っても全体の不均衡が出てくる。
もちろんこれをデパートで全部買ってたら財布が吹っ飛んでしまうから紳士服専門店で少し無理をしてでもまとめ買いする。
そして使い回しの頻度を、例えばスーツは毎日変えて一週間持つようにする、シャツは毎日変えるけどあまり柄を変えない、そうすれば生地の休憩時間が十分にあるので長持ちするから結果的に時間で割れば安くなる。
スーツもカバンも最初に買うときは高くても結局耐用年数で割れば割安になるし品質自体が良いのでお客様から見ても「労働価値」が高く見積もられる。もちろんその後で仕事で失敗したら別の話であるが。
つまり古くからの言葉であるが、新入社員だからと言って安物買いの銭失いをする必要は無いという事である。
社会人にとって着るものは鎧である。鎧として自分の身を守る効果の高い方法を精神的ではなく数字ではじき出して選べば、そこには最適な解がある。
大事なのは、目先の品物が高いかではなく何年使えるか、また同じものをもう一つ買っておくことで更に耐用年数が長くなるかで一年あたりの費用は安くなると言う計算である。