2017年12月26日
日中米その2
欧州は全体を合わせても約7億人の人口しかない。工業力は優れているが市場は小さい。それに対して中國はたった一国で12億人である。ならばフォルクスワーゲンがクルマを売り込むには最高の市場ではないか。
僕が初めて中國に出張したのは1980年頃のクリスマスから正月にかけてだったが、文化大革命が終了した街に走るクルマは殆どがフォルクスワーゲン・サンタナであった。中国製の紅旗などは限られた数しかなかった。
欧米にとって中國は昔から巨大市場だった。だからこそ英国は中國にアヘンを売りつけて清朝から土地を割譲させてそこに香港上海銀行を作りアヘンを売るためにジャーディン・マセソン商会を作り英国の繁栄を作った。
はた迷惑な清朝の西太后が中國を眠れる獅子から眠ったままの獅子にしてしまった。
外国勢の英国には1840年からのアヘン戦争で負けて香港を割譲され中國国内では1851年から洪秀全による太平天国の乱を起こされ挙句に外国勢を追い払おうとした1900年の北京の義和団の乱では柴五郎中佐率いる日本軍を中心とする八カ国連合軍で55日間の北京外国人街籠城を戦い抜き主に日露から派遣された約2万人の軍団により北京を制覇されて更なる権利の割譲を認めざるを得なかった。
そこで清朝は正式に滅びて中國は中央政府のないまま1949年までさまよえる国家になった。
毛沢東による共産党政権も基本的には独裁主義である。たったひとりのリーダーがすべてを決める、まるで皇帝のように。そして今その地位にいるのが子供の頃に下放で苦労した習近平であり彼は自分が中國を制御していけると信じており実際に今までは上手くやっている。
実際に中国国内では虎狩りをやる習近平は国民の多くから支持を得ており去年の調査では98.1%だったと言う数字が出ている。もちろん中國であるから数字はいくらでも作れるが、中国語のサイトを観ても習近平の政策が評価されているのは分かる。
つまり習近平は今なら強い。今のうちに反日止めて日本を仲間に取り込もう、そして当面は日中共同で色んな事やっていこうぜと言う考えだろう。
これに対して米国が目指すもの、それはアジアからの撤退である。20世紀は世界の警察として元英国連邦5カ国で世界中の通信を傍受出来るシステム“エシュロン”で世界を支配して来たが21世紀になると警察にかかる費用やそれが戦争に繋がった場合の費用があまりに高い。
米国は何も世界的正義を追求して海外派兵しているわけではない、その方が自国が儲かるからだ。しかし21世紀になり費用対効果を考えれば、どう考えても赤字である。それなら今世紀は警察から手を引いて各地域はそれぞれ自立して各地域内で話し合って決めてくれ、もう米国に頼るなよと言う政策になった。
これは豪州も既に了解しており政権内では既に米国不在の中で豪州が自立した防衛をするために核爆弾搭載型潜水艦を配置するなど考えている。
米国が日本に対して中國包囲策を作ろうとインド、豪州と共同会議を開いたが肝心の米国は日本にバトンを渡して「どうぞ自前でご自由に」とやっている。
こうなると日本は戦後ずっと米国の核の傘で活動してきたから自前で防衛するとなると大変な騒ぎである。そこで核武装と言う話が出る中、海上自衛隊の「いずも」を改装して垂直離発着が可能なステルス戦闘機を導入しようとしている。
元々どんな理屈を付けても「いずも」や「加賀」は護衛艦ではなく空母、最近で言う強襲揚陸艦である。
長くなったので、また明日に続く。