2018年06月08日
Golden Rule
今日も弁護士と1時間30分話し込む。英語だし法律用語だけど逃げるわけにはいかないしその場で辞書を引くわけにもいかない。
いかにも分かったふりをして「この単語ってこういう解釈でいいんだよね?」と聴くと、彼らは嬉しそうに丁寧に教えてくれる。
何故なら彼は自分の知識に自信を持っており特に今日の弁護士はNZ最高裁に立つことも出来る腕利きであるから僕に対して実力を見せたいのがよく分かる。
この弁護士事務所では不動産開発担当、商法担当、ビザ担当などで担当弁護士を使い分けているが費用が高いだけあって皆よく働いてくれる。
日本人がNZに来て一番勘違いするのがNZの法体系である。NZの弁護士は誰も正義を追求しない、問題を解決するだけだ。これは法律の勉強をする学生が最初に手に取る本にGolden Ruleとして明確に書かれている。
だから日本から来た人がよく問題にする車泥棒、空き巣、等ではNZ警察は殆ど動かない。何故なら告訴しても裁判官は皆社会主義者であり、彼らの発想からすれば社会主義国に犯罪は起こらない、だから犯罪が起こるのは政府と社会が悪いのだと判断する。
日本のように犯罪そのものを正義とはどうあるべきかと問題視するのではなく社会主義を考えるのだ。
だから告訴して時間を使って無罪判決を受けるよりも最初から「皆さん、車両保険に入ってください。何かあれば保険が助けてくれます」となる。
また警察としては裁判所を「社会主義者の砦!」とも言えないので表面的には市民に対して「いや、いいですよ、正義を追求したいなら警察官を増員します。その分税金が増えますが構いませんよね、正義を追求するあなた?」となる
また自宅内に侵入した泥棒に遭遇した場合、NZではその泥棒に暴行を働いたら告訴される可能性がある。何故なら犯罪人の生命は犯罪行為よりも尊いからだ。
全くバカな考え方だが、今でもこのような考え方は司法に残っている。最近は少しは良くなったがそれでも日本から考えれば全く自己責任のない国で泥棒がはびこるのも「自分のやってることは犯罪ではなく社会の公平化である」と考えているからだ。
つまり自分の家にカローラがあり隣もカローラなら盗まない。けれど自分の家に車がなくて隣がベンツだったらこれは社会格差、だから盗んでいいとなる。
今日の会議の中でもずいぶん弁護士とぶつかった。彼の言ってる英語は分かるが、何故そういう理屈になるのか?けどそこに英国式の考え方と社会主義の考え方を入れれば理解出来る。
それにしてもこの弁護士は面白い。今のNZの法体系を理解した上で「おい、誰が正しいかなんて聴いてない、事実だけ教えろ」である。まさに正義不要論である。
しかしそれは本来正しい。何故なら世の中に100人いればそこには100個の正義があるのだ。
だから何が正義かを裁くのではなく案件処理を視野に入れるのだ。ところがここが「正義は勝つ!」と思い込み、そのための税金は政府が負担すべきとなり日本人に一番分かりにくくなる。
移住したんだろ、その国の法体系を学べよって話にしかならないが、NZでは日本のような軽犯罪犯人追求型の仕組みは現時点では存在しないのだ。