2018年06月13日
キーウィはせこいか 2
あ、そうだ言いわすれていた、忘れてた。去年末のクリスマスのときだ。僕は弁護士事務所の連中に「クリスマスパーティだ!」と呼びだされてビアダクトに向かうとそこには大型クルーザーが軒を並べてどこもパーティパーティ!である。
その中の一艘に乗り込むとそりゃ豪華、3層に分かれててリビング部分に当たる場所でホストの挨拶を受けたのだが、何とそれが中国人。
中国からやって来てNZの国籍を取った小柄でにこにこしているけど目の奥には何時も冷たいものが光っているおじさんは、思いっきりフランスあたりの高級ワインを飲ませてくれるが、こっちが日本人であると知って「どこまで知ってるか?」と言う質問をさり気なく送ってくる。
こっちが何とか卒なく返すと興味を持ってくれてパーティの中でもソファに座って話をしていた。
中国で12億人を相手にワイン商売してるわけだから、そりゃ派手だ。ビアダクトに係留した大型クルーザーのラウンジで冷やしたシャンパンやワインを持ってくる。
これを弁護士たちと飲むのだが、お前ら味分かってんのかって程度である。ましてや彼ら弁護士は一切の費用負担をしない。
それからおつまみとなる料理も出て来て座敷は賑わうのだが、この大型クルーザーのホストである中国人にそれなりに費用を聴くと「問題ない」であるから、もしかしたら彼は中国政府から送り込まれたスパイか?
その後も飲み会は続くのだが、とにかくキーウィはパーティパーティ!一旦パーティモードになるとそれまでの弁護士としての振る舞いや常識が吹っ飛んだのか、それともこれが本性なのか、とにかくよく騒ぐ。
ふと見ると隣のクルーザーでもお揃いの服装の連中が年齢に関係なくどんちゃん騒ぎしている。
そのうちこちらの弁護士の一人が隣に知り合いを見つけたようで手を降って隣に歩いていった。とはいってもここは海の上、移動手段は浮き桟橋だから常にゆらゆらしている。
あいつ大丈夫か?と思いつつ観ていると無事に到着出来て隣の連中に「いらっしゃーい!」と迎えられて飲んでる。
聴くと隣の船もオーナーが大金持ちで今回もテレビ関係の仲間を呼んでのパーティらしい。
ニュージーランドにおける弁護士の年収は平均で10万ドルである。入りたての若造は4万ドル程度、そこから実力を付けて10万ドルになるまで5年くらいか。
10万ドル以上になるとすればそりゃ労基法無視で働いて顧客との距離感をきちっと詰めてなにかあればすぐに「法律」と言う刀を抜いて立ち上がってくれる臨場感のある野武士である。
ところがところが、そういう法律のプロが自分の飲み代は払わないのである。あっちのクルーザー、こっちのクルーザー、掛け持ちするけどそこはもう「ごっちゃん」体質である。
だったら弁護士事務所が主催するパーティってあるのか?と言えば、たまにある。けどそれは事務所の冷蔵庫のビールを出して近くのスーパーで買ったチーズとかだけで、クルーザーのパーティに比較すると、随分せこい。
だからお金感覚だけで言えばキーウィ弁護士はせこいと言える。