2018年06月26日
壊し屋トランプ
G7を無茶苦茶にして米朝会談では何を決めたかも分からずEUに対して輸入関税をかけるに至っては、遂に米国伝統企業であるハーレー・ダビッドソンが自己防衛策=国外生産を選んだ。
ハーレー・ダビッドソンは大型モーターバイクを生産しており1960年台には米国人の自由と開放の表現とさえ受け取られ、日本のような暴走族ではなくシティで働く弁護士や経営者等が週末を楽しむために皆でツーリングをしていたものだ。
その後日本製バイクとの競合になり一時期は苦しかったが今ではすっかり盛り返して往時の名声を取り戻している。
ところが今回はその古巣で本拠地の米国政府の関税戦争でとばっちりを喰らいこのまま米国内で製造した場合EUで30%課税をされて商売として完全に立ち行かなくなる、なので仕方ない、EU向けのハーレーは米国以外、例えばタイで作ると発表した。
これに噛み付いたのがトランプだ。「お前はこの戦争で最初に白旗を振った奴だ!」
いやいや、戦争を仕掛けたのは国民の意思も議会の決定もなしでいきなり関税強化を打ち出したトランプでありそんなもんうちの知った事じゃないってハーレーは考えているだろう。
それなのに今度は「いいか、もしハーレーが米国に輸入するなら強烈な関税をかけてやる!」だと。
ハーレーからすれば前門のEU、後門のトランプと、どっちに転んでもろくなことはない。少なくともこの問題はハーレーが自分から何か引き起こしたわけではなくすべて他人の事故に巻き込まれたようなものだ。
映画イージーライダーは1969年制作、ピーター・フォンダとデニス・ホッパーが気持ちよく乗り回すバイクは1965年製ハーレーダビッドソン。たった34万ドルで作った映画の配収は6千万ドル(全世界)。2014年にはこのバイクがオークションで約1億4千5百万円(バイクとしては最高価格)で売却され、如何に米国人の心を掴んでいたか分かる。
こういう名門企業を敵に回してまでトランプがやろうとしていることは何か?まさに世界と米国の既存体制をぶっ壊す事である。
トランプが目指す世界新体制は3極体制である。アメリカ大陸、欧州大陸、アジア大陸、それぞれで自由にやろうぜ、俺たちゃ世界の警察を降りるからな。
僕ら日本人が注意すべきは3極体制が出来るまでの過程で自分がどの立ち位置につくのか、国防はどうするのか、等などの準備である。