NZニュース

2011年03月20日

Q+A

 

ポールホルムズはニュージーランドでは有名な司会者で、日本で言えば田原総一郎みたいな地位にいる。

 

彼が司会者として日曜の朝にQ+Aという時事番組をやっている。今朝のネタはクライストチャーチの復興についてだ。

 

最初にまずジョンキー首相に対するインタビューが単独で行われ、そこでクライストチャーチ復興費用をどのように選出するかと言う質問がされた。

 

「まずは各大臣が自分の予算の中で使われてないものや無駄なものがないかを調べて閣議にかける予定だ、その後もどのように費用を捻出するかを考えていきたい」と、やはりというか当初の予定通りと言うか、予算は効率的にということだ。

 

 

例えば復興費用の為に老齢年金を削るか?経済発展の為に必要な経費を削るか?それとも教育予算?それとも政府のファンドで借金するのか?

 

教育には力を入れなければ知的レベルの低下は将来的にニュージーランドの大きなマイナス要因になる。老齢者は一定のお金を貰えることを前提に生活をしている。ファンドで借金すると言ってもその支払いは誰がするのか?

 

金をどこから用意するのか?ニュージーランドはちっちゃな国だ。日本のように東北大地震でも何かを揺さぶれば金が出る仕組みではない。

 

「被災に遭った人々への直接給付は当然行うべきだ。しかし復興となると話は別である。国民の税金を使うのだから国民全体の理解を得られるような内容にすべきだろう」というのがテーマだ。

 

この番組では参加者は

ジョンジョハンソン:政治学者

マイケル・バーネット:オークランド商工会議所

ヴィッキ・バック:クライストチャーチ元市長

 

オークランド商工会議所のマイケル・バーネット氏が「シティ機能をいくつかに分散すればどうだろう?(大聖堂を中心とした」中心地は観光地として再開発すれば良いと思う」と発言。

 

これはまさに僕が数日前に書いてたことと同じ内容だ。

 

それに対して元クライストチャーチ市長は椅子の肘掛けに寄りかかりながら「あ〜ら、街中は緑が豊富なのよ、だからやっぱりシティ機能は街の中がいいのよ」と意味不明な発言。

 

復興に使うお金は国民全体の税金から支払われる。災害救助の費用は相互扶助の精神であるから当然全額を政府が負担するとしても、その後のクライストチャーチという場所のグランドデザインはゼロから見直すべきであろう。

 

今まで大聖堂を中心として広がってきた街そのものを、次の100年続く街にする為にどのような形の街つくりが良いかを国民全体の意見を集約して話し合うべきであろう。

 

もちろん地震がなければ再開発と言う話もなかったが、地震はすでに発生したのだ。ならばこれを機会に次の100年を考えた街づくりとなるし、そうなれば「今の場所」にしがみつく理由は感情論以外に何もない。

 

これを感情論で「冷たい!」とか言っても意味はない。どうしても今の場所に今までと同じようなビルを建てたいというならそれはどうぞ、土地は彼らの私有地であればそこに何を建てるかは彼らの自由であるが、それは自分のお金でやってくれって事だ。

 

今東北では多くの被災者が埼玉、千葉、東京に避難している。大阪府も受け入れを表明した。電力確保の意味で言えば関西以西に移住する方が良いだろう。

 

被災者向けの新幹線無料切符や無料宿舎、食糧と学校を手配するようだ。1年と言う期間なのでそれなりに安定した生活が出来るし、自分たちの生活を再構築する為にどうしよかと考えることも出来る。

 

ところがここ東北でもクライストチャーチと同じような話が出ている。

 

★抜粋開始

81:名無しさん@十一周年:2011/03/16() 23:34:16.88 ID:LkaNXKhB0

残った人が懸命に復興頑張って何とか成りそうにようやくなった時点で

のこのこ関西で楽して疎開生活した連中が帰ってきて住民まとまるのか?

 

248:名無しさん@十一周年:2011/03/16() 23:42:30.75 ID:locPUJw3O

>>81

死ぬよりいいだろ

田舎は親戚だらけだし、爺ちゃん婆ちゃん病人抱えて復興は無理だよ。持病抱えてる人や、足の悪い人とかは、医療施設やライフラインがまともに機能していないところでは家族にとって、かなりの負担になる

★抜粋終了

 

クライストチャーチで被災して自宅もオフィスも店も入れなくなり日本に避難したら「クライストチャーチを捨てるのか!」発言である。

 

「緑が多いのよ」なんてのんきな事を言ってるのが元市長であり、「チャーチを捨てるのか!」と言ってるのが市民である。

 

足の引っ張り合いや他人の懐を期待して自助努力を忘れてしまうそのような街で誰が住みたいビジネスをしたいと思うだろうか?

 

ぼくは地震と言う天災があってもそれを逆に利用して、今まで既存住宅や様々な利権で実行出来ずに縛られていたアイデア、例えば100年続く街づくり、市民を集中させる事で行政などの効率化を図るなどを実行すればよいと思う。これはクライストチャーチも東北も同じだ。

 

そして街を復興させてから避難していた人たちに「クライストチャーチは無事に復興しました、安心して帰ってきてください」と言って人々を再集合させるのが本来の街づくりであろう。

次の100年を楽しめる街にする、そして世界中から「この街に住みたい!」と言わせて人口増加を図る、それでこそ魅力的な街と言えるのではないか?





tom_eastwind at 13:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2011年03月18日

明るいニュース

 

今朝のラジオでは震災時に仙台にいた最後のキーウィと連絡を取れたとの事。久しぶりの明るいニュースだ。そして同時に、米国は米国人の為に大型機を仕立てて米国本土に戻す計画を進行中との事。

 

成田空港は出国をする外国人と再入国許可を取る窓口が通常の10倍くらい込み合っており大変な状態になっているとの事。

 

成田空港のインタビューでは「日本政府は本当の事を言ってない。とにかく今は危険から逃げるだけだ」と答えていた。

 

フランス政府は「日本政府がメディアに発表している原発に関する話は“Different Story”だ、違う筋書きだ」と発表した。フランス政府は今回の事態を非常に悲観的に見ており、原子炉事故発生後、日本政府が事態を掌握して炉心の制御を出来たことは一度もないとも伝えた。

 

それに対して日本から発信される今朝のニュースはどうやら日本政府からの報道規制がかかったようだ。原発に関する記事は「空から水まいたら一定の効果があった」で終わりだ。バラに水撒きしてるんじゃないんだから、一定とは冷却が始まったのかそれとも一定の効果しかなくてまだまだ熱が発生しているのか?

 

いずれにしても明確なのは水素爆発が起こった時点で放射線が空中に飛び散ったって事で、その後もむき出しの制御棒に水をかけているが、その水が水蒸気になるたびに空に放射線が舞い上がっているという事実だ。

 

それにしても一体どちらの話を信じれば良いのか?日本政府は「デマに振り回されるな、厳しい状態だが制御は出来ている」と言う。

 

では米国、フランス、ニュージーランド、豪州、韓国、などなどの諸外国政府がデマに振り回されてフランスと米国政府がチャーター機を飛ばして自国民を避難させているのはデマに振り回されているのだな。

 

そして一般的な日本国民の感覚は「今は日本が大変な時だ、そんな時に避難するなんてダメだ、国民全体が一致団結して対応すべきだ」だろう。阪神大震災のイメージなのであろう。

 

けれど今問題になっているのは愛国心ではない。通常の地震ではまず震災直後の救助、それから復興と言う作業がある。ここまでの話では日本国民団結となるだろう、それは良い。

 

“デマに振り回されている諸外国”の言ってることは、「地震国から避難しろ」ではない、今これから空から降ってくるかもしれない放射線から逃げろと言ってるのだ。

 

例えて言えば、たった今地震が起こった!さあどうする!当然誰もが高台に避難するだろう。津波が来るかどうか分からない、けれど津波が襲ってきた時に巻き込まれて死なないように一時的に避難をするのだ。その時には助け合いで老若男女が手をつないで一緒に逃げていくべきだろう。

 

原発事故ってのは要するにこの津波と同じで、放射線が降ってくるかもしれないぜって話である。だから自分の街に降ってくるかどうか分からないけど、もし出来る人は避難しましょうというのが諸外国の考え方だ。

 

放射線が降らなければ日常生活に戻ればよいだけの事だ。国民がいくら一致団結しても精神論では空から降る放射線を止めることは出来ないのだ。

 

ところがそういう話を美味しんぼの原作者が訴えると「おれの住んでいる街にいちゃもんつけるのかよ!」とか「お前なんて外国から高みの見物だろうが、非国民め黙ってろ!」となる。

 

もちろん判断するのは個人である。ただ出来ればいろんな角度から情報要素を並べて検討してみればどうだろうか。



tom_eastwind at 14:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2011年03月16日

日本とANZ(オーストラリア及びニュージーランド)の報道の違い

ニュージーランドのテレビではメルトダウンと表示されており、すでに福島と仙台と東京の距離が表示され、どこまで放射能が広がるのか分からないという。つまり出来るだけ早く東京からも逃げろと言ってのだ。


実際に今晩のテレビでは、昨日放映されていた仙台に住むキーウィ家族がニュージーランド航空に乗って無事にオークランドに到着した場面を報道していた。
 

オーストラリア政府はどちらかと言うと「日本政府の情報提供は少なすぎる」として、これでは万一の際の市民の行動に問題を起こすという立場だ。その上で危険を最小化するためにも「東京から逃げろ」と言う報道になる。

 

このあたりが日本的な危機管理とANZ(オーストラリア+ニュージーランド)の危機管理の違いだが、これはもう国民性である。

 

ANZでは一般的に国民に情報を正確に伝えてそのうえで国民に正しい行動を求める。それはANZ国民が子供のころから自分で考える勉強をしているからだ。

 

そして彼らは自分たちと同じ基準で日本の報道を見て「情報不足」と言うが、彼らは日本で安易に危険報道をすることで起こることのパニックを理解していない。

 

日本人は今回の報道ではお互いに助け合いながら行動しており、その素晴らしさは世界でも評価されている。

 

けれどそれがパニックになれば、まさにこれが裏返しの状態で発生して、別に誰かを引きずり倒すわけではないが都心の駅や空港に数十万人が集合して道路は車で溢れて、起こらなくてもよいはずの無駄な犠牲を作ってしまう。

 

ただでさえ人間過密の東京でそんな事態を引き起こす事と放射能が東京に降る可能性を比較した場合、日本政府は「当事者」として「落ち着いた行動をしてください」と判断した。


このあたりが人口の希薄な国家との判断基準の違いとなる。
 

けれど日本に来ている外国人からすれば日本政府が対象とする「国民=当事者」ではないのだからそんな安心させる記事なんて関係ない、とにかく一番早い飛行機に乗って自国に戻るのが当然の判断である。

 

これから福島原発で起こることは誰にも予測不能である。その結果も不明だ。ただ、これだけの被害が出た後に必要なのは復興であることは間違いない。

 

★記事開始

葉加瀬太郎さん 被災地支援コンサート< 2011315 14:01 >

 

イギリス・ロンドンで14日、バイオリニスト・葉加瀬太郎さんが東日本大地震の被災地支援のチャリティーコンサートを開いた。

 

 ロンドンを拠点にする葉加瀬さんは「ここにいる日本人として何ができるだろうか」と考え、デパートで即席のコンサートを行った。400人が集まった会場では、家族が宮城県と福島県で被災した女性も寄付を募っていた。

 

 寄せられた義援金は、イギリスの赤十字を通じて被災地に届けられる。

★記事終了

 

はかせ太郎氏に「こんな時に不謹慎だ〜!売名行為だ!」なんて匿名のネットで冒涜することは出来る。しかし冒涜する人は自分の正体さえ出さすに相手を侮辱する以外に何をするのだろうか。



tom_eastwind at 21:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2011年03月03日

税と寄付、続き

最近はなぜかブログを読む方が増えてきており有難いのだが、そうなると中には当然おかしなのも混じってくる。

Posted by 法律は遡及効を認めないのが原則

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IP   :219.22.99.83

あなたは遡及効という言葉をご存知ないのですか?法律は遡及効を認めないのが原則

 

いや(笑)、だからぼくが法律は遡及効を認めないのが原則って書いてるのに、ぼくは法の不遡及があるからこそ人々は予見性を確保できるって書いたのに、この人いったい僕の文章のどこを読んで書いているのだろう?この人は何を言いたいのだろう?飲みすぎか(笑)?

 

まあいいや、昨日書いたネタの続きだが、あなたは今リビアで政府によって殺されている人の為に寄付をするだろうか?または自腹でリビアに飛んで会ったこともない人を救う為に自分の命を賭けるだろうか?

 

要するに問題は自分にどれほど近いか、である。近くなければ興味もないし愛情もない。リビアで生活をする人々の為に命は賭けない、けれど一緒に住んでいる家族には命を賭けてでも助けようとする。

 

お金を渡す行為は「なんである?愛である?」という保険会社の宣伝文句に代表されるように、愛なのだ。そして愛はお金に換えられないけど、お金に愛を込めることは出来る。

 

だから本来自分に近い場所にいる人に対して提供するのであり、距離が離れれば離れるほどお金を渡す行為は行われにくいのだ。

 

しかし世界全体を考えればやはり助け合いは必要であり、そのために税金という形で僕らから徴収して政府から国連経由で貧しい国への寄付と言う形で行われる。

 

ところがこの寄付がくせもので、大体の場合アフリカの寄付はその国の独裁者やその配下の人間に奪われるようになっている。

 

ぼくはブログをかなり“はしょって”書くので「迷惑な善人」で誤解を受けたようだが、古いブログを読んでもらえばわかると思うが、もともと寄付は直接行われるべきだと考えている。

 

途中に何らかの組織を通した場合、たとえそれが国連であってでも中抜きされる。だからぼくは飛行機に乗って毎回もらうUNICEF募金にも一切寄付しない。

 

じゃあ今回のニュージーランドはどうかっていうと、これはありだと思う。何故ならNZの仕組みは簡潔であり清潔なので中抜きって発想はない。だから自分が支払ったお金がほとんど間違いなく被災者の人々に渡る。

 

会ったこともない人であるが、それでもいつか自分が困った時に助けてもらえる、社会で生きるというのは、今は自分が調子よくてもいずれけがをする、そのために今怪我をした人を皆で助け合おう、その結果として自分がけがをしたときは誰かが助けてくれるだろうという予測期待値の高さに投資をするのだ。

 

だから少ない給料の中から高い社会保障費用をやりくりして支払っているのだ、いつの日か自分がお世話になると思ってるから。

 

今回の大地震では多くの方が亡くなり当社もオフィス閉鎖になった。しかしスタッフの給料は国が負担してくれる。申請すれば数週間は政府が払ってくれるのだ。真面目な国である。うそをつかないことを前提にしてこのような制度があるのだ。



tom_eastwind at 02:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2011年03月02日

寄付について

クライストチャーチの寄付についてコメントを頂いた。多くの場合寄付は中間搾取が発生しており、本来の意味とは違う使われ方(寄付ビジネス))をしているという事だ。これはまさにその通りであり、だからぼくはキャセイ航空に乗るたびにUNICEFの袋を渡されるが一度も寄付したことはない。

 

ただ、ニュージーランドにおいては寄付は本当に寄付だと思っている。この国は本当に真面目なのだ。よく言えば真面目、悪く言えば単純となるのだが、それにしても真面目なのである。

 

クライストチャーチで多くの人が災害に遭った、だから助ける、相互扶助のごく基本的な発想だけで活動している。

 

そこでは「中抜きしよう」とか言う発想はない。ぼくのような北半球の人間からすれば「いくらでも抜けるようなシステムだな」と思うが、主体であるキーウィはそういう発想がないのだ。

 

もちろん今回の寄付を行っている団体全部の帳簿を見ているわけではないので何とも証明は出来ないが、自分がこの国で十数年ビジネスをしてその経験で言えば、キーウィは基本的に中抜きするような人種ではないってことだ。



tom_eastwind at 02:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2011年03月01日

クライストチャーチ、税金と寄付という再配分方法について

 

NZ政府はクライストチャーチ大地震の対応策として緊急援助策を打ち出した。大地震によって仕事を失った人は一週間最大で400ドルの補助、企業向けには従業員の給与を支払うのであれば一週間500ドルの補助、賃貸住宅向けには家賃の3週間支払い免除などである。

 

もちろんニュージーランドでは失業手当や医療保険などのセーフティネットは徹底しており、今回の地震で人々が直接飢え死にしたり路頭に迷うことはない。

 

ニュージーランドの各街では寄付を募るボランティアが活動しており、クライストチャーチでも比較的安全な地域では道路に溢れた泥片付け作業のボランティアも始まっている。

 

せっかくなのでこういう時に「都市の分業」と言う問題を考えてもらいたい。

 

肉食動物が世界を支配していた時代、体の小さな人間の生き残る道は共同で体の大きな恐竜を倒すことであった。

 

それから時代は進歩して力の強い者の下に人々が集まるようになり、これが社会を形成した。社会が出来ると今までは一人で全部やってた作業が分業できるようになった。簡単に言えばアダムスミスだっけな、ヘアピンを一人で作ると一日何本、けど数人で分業すれば一日数百本、というやつだ。本数は忘れたが。

 

この分業の発達により社会に参加する人々はそれぞれ自分の得意な分野を担当として社会に提供し、他人の得意とする作業で提供されるものを受け取った。このような交換作業の媒体として使われたのがお金である。

 

そしていろんな価値観を持った人々が参加する社会を運営する為に彼らの相互利益や利害調整の為に出来たのが政府であり、とくに所得調整を担うのが税である。

 

税は国家であるというが、これはまさに正解であり、税は法よりも強い影響力を持っている。法律は理屈を並べてぐちゃぐちゃと終わらない議論をしていれば良いが、税金はそんな余裕はない。財布の中に手を突っ込んでがさっと持っていくのだ。

 

そして強制的に徴収された税金はその使用用途について国民が直接口を出すことは出来ない。役人の飲み食いに使われても「適正な支出」と言われればそれが通るのだ。

 

使用用途と言う意味でこの反対に位置するのが人々による寄付である。税金は誰に使われるか分からないが寄付は確実に自分が望む場所や人々に直接届く。それも途中で搾取する中間組織(政府)の人件費などの費用がない。

 

世界トップクラスのお金持ちであるビル・ゲーツは自分の財産のほとんどを寄付することで財団も設立している。これも無税である。さらに自分の望む人々に自分が直接寄付出来るので満足感も大きい。

 

このような行為に対して米国では課税しない。ビルゲーツは「ぼくはたまたま運が良くてお金持ちになったけど、これはお世話になった社会に貢献するよ」となる。

 

金を稼げる奴は稼げばよいのだ、それは魚を釣るのが上手な漁師が美味しい魚を市民の食卓に提供するのと同じことだ、みんなは自分の得意とすることをすればよい。

 

人々はいろんな形で社会に貢献できる。今回のクライストチャーチの大地震では、実は一番大きな形で貢献しているのはNZすべての市民である。なぜならこの国の税収の4割近くは消費税であり次の3割は所得税であり、その税金が政府を通じて被災者に届けられているからだ。

 

彼ら日頃真面目に働いて生活をする人びとから得た収入を、政府は今緊急手段として被災者に提供している。これが政府の役割である再配分だ。

 

しかしそれだけではこのような緊急事態には追いつかない。そこで出てくるのが市民による寄付である。

 

モノは使えない人がいてもカネならモノに換えられる。だから政府も市民による寄付を推進しているのだ。

 

このような寄付は無税であり、企業が寄付すれば利益から経費控除出来るし個人でも確定申告の際には収入から控除出来る。

 

ところが日本ではこの「寄付」と言う行為は政府によって思いっきり制限されている。寄付をするなら税金払えというのだ。

 

どういう事か?それは、政府は再配分と言う一番おいしい部分を握っているのに、個人が直接個人に再配分してしまえば政府のうまみがなくなる、だからそんな事をさせない為に「へ、寄付ね、へーへー、寄付したかったらどーぞ、けど税金はちゃんと払ってよ」と言うことになる。

 

個人が自分の金をどう使おうと政府に関係ないはずなのに日本では政府が個人的な寄付にまで口を出して税金を取っていく、自分のうまみを守るためだけに。

 

りょうまくんは昨日、学校で行われた大地震の寄付の為に「お父さん、お金ちょうだい、寄付するから」と言って20ドル持って行った。今日は校外活動の集まりでもう一回寄付をするようで、「今日は5ドルでいいや」と財布から持って行った。彼なりに寄付する先を選択しているようだ。

 

あなたの税金が何に使われているか、そしてなぜ人々は税金を払うのか、寄付とは何か、そういう事をこの大地震を機会に考えてもらえばと思う。



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2011年02月25日

迷惑な善人

迷惑な善人

 

クライストチャーチの大地震は3日目を迎えて日本からの救助隊も入り活動を開始する。そういうニュースは日本で十分に入手出来るだろうから、日本では表に出ないニュースを書く。

 

まずは迷惑な善人

昨日も夕方からずっとテレビを見てたのだが、今クライストチャーチではがれきの山で二次災害を起こさないようにプロフェッショナルが真剣に活動している。

 

現場で指揮を執る人が地元テレビのインタビューに答えて真剣な顔でこう言った。

 

「ボランティアで来たいと言ってる人がいるけど、どんな資格を持っているのか先に教えてほしい。ただお手伝いに来るだけの人は迷惑だから来ないでほしい」

 

そうだろう、現場ではプロ同士が連携して作業している。そんなところに素人が飛び込んで来られても迷惑だ。

 

そんな人間に限って「ああ、クライストチャーチが大変だ、何かぼくに出来ることはないか〜」なんて思い込み、思い込む自分を愛してるだけなのだ。

 

けれど現場に必要なのは自己満足の自己愛ではなく重機を運転出来て災害救助の訓練を受けて医療経験のある人だ。

 

掲示板の書き込みで「わたしに何か出来ることはないでしょうか」とか「何も出来ないけどお祈りします」とか自己愛ばりばりの書き込みがあるが、同情するなら金をくれって感じだ。

 

でもって次はクライストチャーチ不要論

クライストチャーチの復旧についてもすでに政府内で話が始まっているが、方向性としてはこのまま放置すれば?という意見もある。

 

シティ中心部を国家の金で復旧させるくらいなら、その金でもっと違う安全な場所にシティ機能を移した方がいいじゃないかという考え方である。

 

地図でクライストチャーチを中心とする南島を見ればよく分かるが、南島を縦断するサザンアルプスはまさに断層の上に乗っかっている。ここにシティ機能を置く必要があるのか?

 

日本に東京は必要だけど大阪は必要か?という議論みたいなものだ。これだけ交通機関が発達して東京から日帰り出来る地域であればわざわざ大阪に支店を置く必要はない。

 

インターネットの発達でどんな地方にいても連絡は取れるしテレビ会議だって出来る。クライストチャーチもそれと同じで、馬車と郵便しかなかった時代には中継地点として必要だったろうが、今の時代に高い金を払ってクライストチャーチを復旧するだけの価値があるのか?

 

ニュージーランドの首都はウェリントンにある。北島の南端であり南島行きのフェリーも出ている。南島の南端であるインバカーギルへは飛行機で2時間もかからない。

 

壊れたものを原状復帰というのは普通の感覚だろうが、すでに賞味期限切れのものであり多くの企業はクライストチャーチに工場やオフィスを持つことに意味があるのか?で、数年前からクライストチャーチから撤退しており(例えばブリジストンは去年撤退した)、そのような状態での復旧が必要なのか、である。

 

オークランドのビジネスマンの間でも立ち話で「あれ復旧する金あるんだったらオークランドに持ってこいよ、よっぽど有効に使ってやる」とか「砂漠に水まくようなものでしょ」とかけっこう冷たく突き放している。

 

でもって不動産編

今回の地震で短期的にはクライストチャーチの不動産価格は下がるだろうから去年不動産を購入した人には打撃であるが、いずれにしてもいつ地震があるのか分からないような場所でこれから不動産を買う人はいないだろう。

 

今回の地震でクライストチャーチではない場所に投資用不動産をお持ちの方がいて「なんだ!ニュージーランドは地震も台風もないって不動産屋に言われたけど、全然嘘じゃねーか、エラそうに本にそんなこと書いておいて、売りつけたら終わりだけじゃねーか」と不動産業者の個人名を上げて怒っている。

 

ニュージーランドの不動産売買はキーウィの中でも非常に評判の悪いビジネスである。完全歩合制でありほかに仕事がない移民が真っ先に始めるビジネスで、それは日本人不動産業者も同じである。そういう連中がいう事を真に受けて買ってしまっても後の祭りだ。

 

最後のネタ

一番面白かったのはクライストチャーチ市場がインタビューで口を開くたびに「トイレは流すな、溜めておけ」と繰り返している。下水道管と上水道管が破壊されて水が混ざってしまう為なのだが、この大惨事の真っ最中にトイレの話ばかりしてる市長もユニークなものだ。



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2011年02月06日

ワイタンギデー Waitangi day

今日はニュージーランドの植民地開始の日だ。ワイタンギという場所でイギリスの代表のホブソン総督とマオリの族長たちが英国植民地となることを決めた。

実は1840年のこの日まで正確にはニュージーランドには中央国家は存在せず各部族が日本の戦国時代のように群雄割拠していた。

そこに白人が表れて「おれらと契約しろや、ゴルア!」とやったのだ。

英国からしても理由があった。1837年に刑務所から出てきたウェイクフィールドというすけこまし(刑務所に放り込まれた理由が未成年女子の誘拐、本人は結婚したって言い訳)がニュージーランド移民会社を作り、当時のロンドン中流階級に対して「自分の土地が持てますよ、安いでっせ」と宣伝して数千名の客を集めたのだ。

当時のロンドンは産業革命の真っ最中で、貴族層はいつまで経っても貴族であり仕事をしなくても領地からの上りで食える、下級階層はドイツや東欧からやってきた、英語もろくに出来ない工場労働者。

街は汚れていた。ロンドンのソーホーでは1800年代に幾度にもわたりコレラが発生し数千人の市民が死亡した。

テームズ河は衛生局により市民の汚わいを流す河となり、ロンドン市民のすべてのうんこが流し込まれ、これが夏場になると汚臭を発生させて、ついにロンドンでの議会を閉鎖するまでになった。

うんこで議会停止ってのはすごい話だが、当時のロンドンの衛生環境を考えればある意味当然のことであり、だったら同じ時代の日本、江戸の清潔さを考えれば、日本がいかに清潔な国であったかよくわかる。

まあいいや、日本の話ではないのでロンドンに話を戻すと、このような上流階級である貴族は既得権益で下流階級は英語も出来ずに夜のロンドンを歩けないような犯罪都市にして、そして間に挟まれた感じの中産階級、つまり医者や弁護士、学校の先生、農民などが自分たちの将来を不安に思い、すけこましの新聞広告に乗ったのだ。

当時の1エーカー1ポンドが高いか安いかは分らないが、自分は何とか金があるけど子供には残せない(相続税、土地が持てない、治安が悪い)中流階級の人々が、新天地に夢を見たのだ。

政府としても問題点は十分に理解しており、中流階級の人々がロンドンに残ってクーデターを起こすよりはニュージーランドに脱出してもらったほうが良い、そのためにはこのすけこましの計画を実現させることは出来ないかと考えた。

え?すけこまし計画のどこが問題?

今の日本からすれば理解しづらいが、当時のニュージーランドは戦国時代って書いたよね、つまり中央政府が存在しないためにだれもが何も国家としての決定ができない、さらに問題なのは彼らは原始共産制度であり私有という考え方がなかった。

つまり今の日本で言えば村の持つ漁業権とか入会権みたいなもので、個人が何かを持っている状態ではなかった。

だからすけこましが土地を売るったって、肝心の土地がだれのものでもないから売りようがない。なのにすけこましは自分の土地のように宣伝したのだからこりゃ詐欺だ。

1937年に申し込みを開始して1940年に第一回目の移民船を出発させる予定にしていたウェイクフィールドは1939年に弟に下見に行かせたが、どこの土地もだれのものでもなく買えるわけもない。

政府は不満を持つ中流階級の人々のガス抜きをしたい、すけこましは何とかだましとおしたい、その結果としてニュージーランドに派遣されたのがホブソン総督であり、彼はなんとしてでも1840年の第一回目の移民船が到着するまでに土地買収を成立させる必要があった。

ホブソンの努力によって大多数の部族長が私有制度の意味も分からないままサインして結果的に「今日から君は大英連邦の一員だ、もうオーストラリアのアボリジニとかアメリカのインディアンみたいな虐殺はない、君らは英国市民だ!」となったのだ。

ほんとはもっと伏線があるけど、とりあえずのポイントとしては、政府は不満を持つ人々を押さえつけて虐待するよりは、そんな少人数なら海外に追い出してしまえ、残ったいうことを聞く連中から搾取してしまえと考える。

ニュージーランドはそうやって英国の中産階級が集まって出来た国だ。もっと書きたいネタだけど、今日は夜の10時過ぎなのでここまで。いずれゆっくりとまとめて書きたい英国からの移民の歴史である。

tom_eastwind at 22:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年10月27日

Union is Back !!!

0db9b6cf.jpgピーター・ジャクソンと言えばキーウィで知らない人はいないくらいの有名な映画監督で彼が作ったロードオブザリングスが大ヒット、この映画が公開されてから毎年毎年アメリカから来る観光客が増えたのは有名な話だ。

特に映画の舞台となった地域や米国人の増えたレストランでは米国人向けに「One Bill Per One Table」とサインを出すようになった(分かってる人は笑う)。

その後もピータージャクソンは精力的にニュージーランドを映画の国とするべくウェリントンにWETAという撮影スタジオを作って海外からの映画製作を獲得してきた。

もともとなんでハリウッドがニュージーランドで映画製作をするようになったかと言えば、最初はまず製作費用の安さ、そして大自然の豊かさをそのまま映画に使えるのでムダなSFXが必要ない、そして俳優やエキストラもたくさん集まって皆フレンドリーだったからだ。

米国で映画を作ろうとすると費用の高さや規制の厳しさ、そして労働組合の強さがあり、もうこんな所で映画を作りたくないよなって考えた連中が太平洋を渡ってニュージーランドにやってきたというわけだ。

もちろんそれには伏線もあり、シドニーを舞台に使ったマトリックスの成功、ニュージーランド出身の俳優であるサムニールなど人々の好印象、そしてロケハンをした際の現地スタッフの製作能力の高さである。

このような要素が合わさって21世紀になってニュージーランドで製作される映画が増えてきて、政府としてもこれから映画産業をもっと発展させようとしていた時にLabourの問題が発生した。

それはLabour Union、つまり労働組合である。

ニュージーランドで映画を作る際の労働者の権利を守るだとか様々な規制を持ち込んできて、それをWETA社に承諾させるように迫ったのだ、労働組合幹部を背後に置いて。

俳優組合は自分たちの立場をコントラクター(契約労働者)ではなく被雇用者にしてくれと要求する。その方が俳優の支払う税金が安くなるからだ。そして映画が成功したらその配当も寄越せと言う。おいおい、カネを払うときは相手に全額ださせておいて、成功したら配当寄越せってかい。君がそれほどの俳優なのかいと言いたくなる。

本来は民間で話し合う問題であるがニュージーランド政府がハリウッドと俳優組合の仲介に入ってきたのは、ここで外資からの投資を逃がしてしまい、NZは組合がやばいぞなんて評判が立つと今後の外資取り組みに大きな問題が出てくる。

そこでジョン・キー首相自らこの件で組合の意見を聞き、「けどさ、そんな事言ったらこんな田舎の国、誰も来ないぜ、結局バカな要求をして自分で職場を失なうような真似をしても意味はないだろう。それよりも大事な鶏を大きく育てて皆でたくさんの卵を食えるようにしようぜ」

ニュージーランドが世界から隔離されてすべてが自給自足だった時代には効果のあった組合であるが、今のように自分のライバルは外国って時代になると、ハリウッドからすれば「え?あ、そ、ニュージーランドはあまり映画作りに興味がないんですね、それよりも目先の労働条件が大事なんですね、じゃあ仕方ない、他の国で映画を作りましょう」となる。

書き出すときりがないけど、ニュージーランドの労働組合の発想は経営者は敵であり彼らの利益をどれだけこちらに取るかが大事だと考えている。その為にストライキを打って企業が倒産して職場がなくなっても、その時は政府が失業保険で賄ってくれる、本気でそういう発想を持っている。

1800年代のロンドンでは確かに経営者が労働者を搾取しており、経営と労働と言うよりも搾取し続ける支配者と自由を求める奴隷の戦いみたいな環境であった。

貧しい人が虐げられる矛盾を見てきた英国貴族の子供たち、特に頭の良い連中は世の中を平等にする為に考えて、必然的に共産主義を受け入れて、彼らにニュージーランドの統治を任された時に、この国を労働者天国にしようとした。

そこまでは何の間違いもない。そしてその労働者天国と言う壮大な実験は1950年代までは見事に成功して、当時のニュージーランドは英国民に「カネが欲しければニュージーランドに移住しろ」と言わせるくらいであった。

しかし、これも結局時代の波である。その後にニュージーランドを襲った国際化の波ですべての環境は変化した。今まではNZ産の羊毛が高くても他に買うところがないので仕方なかった国際市場に新規参入した南米市場が、羊毛だけでなく食肉までもNZ産を駆逐して、遂にニュージーランド経済は崩壊した。

デフォルトを起こした1980年代初頭、これではいけないと自由化政策に舵を切った労働党は1984年の選挙で勝利しデビッド・ロンギ首相とロジャーダ・グラス蔵相率いる経済改革が実行された。

1980年代にはまだ組合が強くなかなか経済改革も進行しなかったが1989年に国民党が政権を取り労働組合法を改訂させて、組合の持つ職場立ち入り権、労働者の代わりの団体交渉権などを次々と廃止して実質的にニュージーランドの労働組合は崩壊した。

その結果として1990年代初頭から多くの起業家が現れて今までのニュージーランドでは労働規制で実施出来なかった新しいサービス産業が勃興した。

そして1994年から単年度経済は黒字化して、つい先年のリーマンショックまで黒字は14年間続いた。

ところが2000年代に労働党が政権を取るとまたも労働組合の権利を広げようとする人々が政権に働きかけて交渉権を獲得し、当時の新聞には「Union is Back!」と書かれたものだ。

もちろん労働者の権利は守らねばいけない。しかしその為に肝心の職場が失われてしまえばどうするのだ?こういう単純な事も分からないのか?

普通に考えればそう思うだろう。ところが労働組合のトップと言うのはロシアがソビエトだった時代に世界を全部共産主義にしようとした連中だ。彼らからすれば革命の途中にちっちゃな国が一つぐらい潰れてもそれは歴史的必然である、くらいの感覚である。

そして現場で旗を振っている組合員は共産思想を学んだわけでもなく歴史を学んだわけでもなくとりあえず「おい、ここで旗振ってれば時給が1ドル上がるぞ」と組合幹部に唆された頭の悪い連中である。

自分たちが旗を振った結果として企業が海外に出て行けばどうなるのか、そういう二段階の論理で考える事が出来ないのだ。彼ら組合員は、腹が減れば目の前の金の卵を産む鶏でも殺して食ってしまう程度の知能なのだ。

今朝もニュースで俳優組合のインタビューをやっていたが、アナウンサーの女性が明らかに不快な顔で「で、それでハリウッド撮影所が海外に移転して、あなたは後悔することはないんですね?」と質問していた。答える俳優は「ん、え、っと、後悔、しないよ」とかんでた。

世の中にはちょっと考えれば分かるようなことを分からない連中が多い。ニュージーランドも世界の一員として国際的な立場を考えて、何が自分の売りであるかを理解して動かなければその将来はない。

ジョン・キーとしては今週中にこの問題に結論を出す予定との事だが、俳優組合事件で実は一番腹が立っているのはジョン自身ではないかと思う。

何故なら彼は日本の明治維新で言えば維新前夜から広い世界を実際に見てきて世界の大きさを理解して、ちっちゃな国が生き残っていく為には細かな舵取りが必要だと分かっているのに、肝心の足元でこんなバカどもが折角の映画産業を潰そうとしている現状を見て歯噛みをしているだろうからだ。


tom_eastwind at 13:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年09月01日

SFC 急遽差し替えネタ

4652de03.jpg本当は日テレのストライキ記事を書く予定だったが、今朝になってサウスカンタベリーファイナンス(以下SFC)と言う、南島の大都市人口約35万人のクライストチャーチから更に南に数時間下った場所にあるオアマルという人口数万人の町を本社にする不動産投資会社が清算になったニュースが出たので、そっちの記事を先にする。

ニュージーランドは基本的に自己責任というのはいつも書くことだが、金融に関しては2008年に政府によってすべての預金が保護される事になりこの法律は2011年末まで適用される。

その為この不動産投資会社も保護されて、17億ドル(約1000億円)の投資家の資金も政府によって保護される事になった。これで投資家保護は終了。

とにかく判断が早いのがニュージーランド政治の特徴だが、会社清算の発表と同時に政府が声明を出して「国民へのお約束通り全額保護いたします」とビル・イングリッシュ大臣が明言したのだ。

ちなみにビル・イングリッシュ大臣は現在の総理大臣であるジョンキー首相の一代前の党首でありベテランでもある。

元々ニュージーランドのファイナンス会社と銀行は免許が違う。銀行はNZには17行しか存在せず、それ以外の会社はすべてファイナンスカンパニーであり、こういうのが全国で約160社くらいある。

業務の内容は良く似ており、顧客が不動産を購入したい時に一般市民から集めた資金を貸し付けて、受け取り金利と支払い金利の差額約2%を利益とする非常に単純なビジネスだ。

今回のSFCの清算については政府はタイミングを見計らっていたと言う面が強く、財務内容は把握していたものの、政府の小切手を発行して助けると言う選択肢はないよと言っていた(内部情報です)。

1000億円の負債についても、実は全額が政府負担ではない。このうち中心となる株主たちが出した約100億円の資金については政府は保護しない。一般投資家の投資分の900億円だけを保護して、その代わりに投資先であるすべての不動産を政府管理にする方針だ。

つまりこの会社は負債が1000億円あるけど不動産と言う形で債権が900億円残っている。これを政府の資産にしようという事である。

政府は余裕があるので5年くらい不動産購入者からローンの返済を受けながら、不動産市場が復活した頃に1200億円で売れば300億円の儲け、もし5年であれば一年で約6%の利益を出したことになるので悪くはない。

最初に会社を設立して株式を保持して投資した人は経営責任って事で財産全部吐き出させて、残りの部分は一般投資家だから全額保護という、とっても責任明確な処理である。

などと今日の朝のネタとして書いてたら、ジョン・キー首相は午後の声明で「ふざけんな、こんなのすぐに叩きうる、政府がそんなもんを管理するよりもどっかの民間に1200億円で売り飛ばして政府は速攻で丸儲け、そっから後5年間で投資をした会社がどれだけ儲けるかはその会社の手腕ですね、あとは知らん」。

うっわー、さすがメリルリンチ本社副社長までのし上がった人物である、判断が早いし大胆だし、徹底的に国益を計算しているなってびっくりした。

ビル・イングリッシュ大臣の判断でさえ充分に早く、投資家の不安を抑えることに見事に成功したと思ったら、ジョン・キー首相はすでに出口戦略を描いていたのだ。

与えられた同じ時間の中でどちらも政党の党首となるような優秀な人間でありながら、やはり民間で殴り合いをしてきたジョン・キーの判断の早さにはびっくりする。

一般投資家は全額保護する、最初のスキームを作った奴は自己責任、政府は両者の間に入って安値で担保を買い取って高値で短期に売り飛ばす。まさに投資銀行の手口である。

結果的にどのような落しどころになるかは未定だが、間違いなく彼ら蜂の巣(国会議事堂)にいる連中はこの事件を個人の利益とか利権とかに一切関係なくビジネスベースで捌いている。これが何よりも大事なんだし今の日本に欠けているところなんだよね。

午後はシティでアジア系ファイナンス会社の連中と会議があったのが、その後の雑談でこの話が出た。いや〜、それにしてもこういう金融危機の時に金融のプロが首相としてリーダーシップを取っているこの国、ちっちゃいけど本当に幸運としか言いようがない。

今は日本の為替に振り回されているが、国の舵取りは大胆でありながらも常に国民保護であり、真面目に働いている人を大事にする方針は一切揺るがない。

これからもSCF問題はあと一ヶ月くらいはバタバタするだろうが、国民からすれば何よりも信頼して任せることの出来る政府が一番である。細かい事を言い出したらきりがないが、ぼくから見たらこの問題をたった一日で捌いた政府には、かなり評価をしたいと思う。

写真はオアマルから車で2時間の場所にあるクイーンズタウン、コロネットピークのリフト乗り場です。オークランドもまだまだ寒いです、朝は10度!



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2010年05月03日

子供は社会の宝

bf9b5457.jpgスカイシティカジノは地元の人々、特に中国人やマオリ、アイランダーに人気である。

僕自身は全くカジノに興味はないのだが時々日本から来たお客を連れていった事があるので大体のレイアウトは頭に入ってる。

スカイシティホテル内部の3階に入り口があり、そこで年齢チェックされて入館するのだが、今日のヘラルド記事によるとその入り口の外側で10歳の男の子が一人で待ちぼうけをしていたそうだ。

時間は朝の10時30分であり、おじいちゃんと一緒に来たのだけどおじいちゃんだけビンゴゲームをする為に中に入り、子供は中に入れないからそのまま外で待ってたとの事。

おいおい、よりによってそんな場所で子供を一人で待たせるなんて、あまりにニュージーランドの法律を理解していないってか、このおじいちゃん、何を考えているのだろう。

案の定警察に通報が行きカジノマネージャーはお叱りを受けるわおじいちゃんはカジノ2年間立ち入り禁止になるわの騒ぎだったんだけど、警察はこのおじいちゃんを「すぐに逮捕はしなかった」との事。

そう。問題はカジノよりも10歳の子供を放置しておいたって事で、ニュージーランドではそれだけで立派な犯罪になり、逮捕されて当然の行為なのだ。

ニュージーランドに住んでるならそれくらい知ってるでしょ、おまけにこれが自宅に放置くらいならまだばれないだろうけど、場所がカジノですぜ、ギャンブル中毒の連中をカウンセリングする人々が出入りする場所の入り口で子供を立たせておくなんて、逮捕してくださいってのと同じだ。

日本だと幼児を車に放置してパチンコにはまってる若い親がいるようだが、ニュージーランドだとそれだけで逮捕、ましてや子供が熱中症なんかに罹れば確実に監獄行きとなる。

「何いってんのよ、うちの子供のことを他人のあんたにどうこう言われるなんて関係ないでしょ!!」多くの親がこういう理屈で「他人」に文句を言う日本では、何故ニュージーランドが「他人の子供のこと」に口を出すかが理解出来ないと思う。

ニュージーランドでは子供は社会全体の宝であり社会全体で保護すべきものである、親はたまたま神様から子供を授かって社会の代表としてその子を育ててるけど、何かあれば親から子供を取り上げて「きちんとした環境」で育てるのだと考えている。

他にも家庭内暴力についても非常に厳しく、万が一でも旦那が奥さんを一発でも叩こうものなら、後で奥さんがどれだけ「違うんです、私が転んだんです」なんて言おうとも旦那は速攻で留置場行きで翌週月曜日の朝の地裁出頭まではシャバに出て来れない。

「いやいや、ありゃ冗談だよ」とか「ふざけんな、おれは明朝一番で仕事があるんだ!」なんて言っても警察は一切相手にせず「何か言いたいなら裁判所で言え」で終わりである。

家庭内の問題であろうが子供のことであろうが、「うちの問題だろ!」とか「あの子はオレのものだ!」なんて言っても駄目。

そう、この国は少しお節介なくらい個人生活の中にも入り込んでくるのだ。ただしそれは一つの基準がある。それは社会秩序を守って生活をする限り個人の自由は保障しているって点だ。

つまり暴力や子供の保護と言う問題は個人の問題ではなく社会全体の秩序を乱す行為だから取り締まるのだ。

日本ではこのあたりがどうもあべこべになっているようだ。

「子供はあたしのもんよ」なんて言って「個人の自由」を主張するバカもいればそれを素直に納得する学校や保護機関もあり、その結果として子供が虐待を受けて死亡してしまう事件が相次いでるが、それを問題と考えない、てか個人の自由と社会秩序の区別がつかない連中が結果的に子供を虐待しているって事を考えようとしない社会ってどうなんか。

この国では確かにお節介でいらっとする時もある。

けれどもし僕がある日突然子供を見ることが出来なくなった時でも、この国であれば国の責任として政府が子供の面倒を見てくれて教育も医療も寝る場所も提供してくれると分かっていれば、それだけで親としても少しほっとする。

そう考えてみれば日本のように子供を個人の所有物のように扱った挙句に殺してしまうような社会よりもこの国の方が子供にとって住みやすい国であると思えるのは僕だけではないだろう。


tom_eastwind at 00:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年05月02日

僕が小型車に乗らない理由

6bafdbc6.jpg今は世界中でエコエコで、お買い物に便利な小型車が売れ行きを伸ばしている。軽自動車と普通自動車の税率の区別がないニュージーランドでも最近は都市でよく見かける小型車。ガソリンを食わないから年間の経費を考えれば随分と安く収まる。

その小型車、三菱ミラージュ2ドアハッチバックに5人が乗って平日の昼間に運転してたんだけど、クライストチャーチ北方郊外でバスに正面衝突して前部座席に“座っていた”3人が死亡、後部座席の1人は大怪我、もう一人は「重くはない怪我」と言う惨事に繋がった。

ここで三菱ミラージュの名誉の為に書いておくけど、これは車の構造の問題ではなく2人しか座れない前部座席にどうやってか3人が坐っており、衝突と共に一人が窓ガラスから飛び出してしまったという事だ。

つまり構造上2人分の座席と2人分のシートベルトしかない場所に3人が座っていたのだから、車メーカー側も「想定外の使われ方」だったと言える。

前部座席の残りの2人もほぼ即死だったって言うのはおそらくシートベルトをしてなかったのではないかと推測される。

後部座席の2人は死亡を免れたが、自分たちの行ったチキンレースの結果は一生忘れないだろう。

ただもし、彼らが大型トラックに乗ってて事故ったら、たとえ相手がバスでも彼らが死ぬ事はなかっただろう。

相手が死ぬ事が良いかどうかの議論ではなく、自分の身を守るならある程度のサイズの車でないと不可能なのは予測可能な事実である。

そして、ある程度のサイズと言っても昔の日産のように「当社の鉄は柔らかいので衝突の衝撃を鉄が吸収します」と言うよりも昔のトヨタのように「うちの鉄は思い切り堅くて衝突しても絶対に運転席までは衝撃の影響は出ません」の方が効果的であることは結果的に証明された。

一時期の欧州の高級車などは、正面衝突すると車体前部のエンジンそのものがどさっと落ちてしまい、それがブレーキの役目を果たすなんて宣伝もあった。

今でもボルボは(その体型は別として)運転者を守る作りとして業界では有名である。

ちょっとした高級車ならエアバッグは当然の標準装備として付けられており、いかにして運転者を守るかと言うのは車メーカーにとって大事な問題となっている。

けど、けどさ、エアバッグもドア側面の強度もとっても大事なんだけど、それよりはトラックを運転するほうが安全だって事実は何も変わらないよね。

単純に物理的に二つの物体がぶつかればちっちゃい方は紙切れのように潰れてしまう。

今回のクライストチャーチの交通事故でも、小型車はバスの下にはまり込んで全く原型を留めておらず、鉄の塊に閉じ込められた死者と怪我人を救い出すために救急車のファイアーレンチでガー!とやったとの事だが、これはどう考えても小型車の構造上の問題である。

いや、三菱が悪いってわけじゃなくて、小型車に乗れば何処のメーカーであっても安全基準には限界があるって事。

もちろん事故らない事を前提に車を作っているならそれで良い。けど実際に事故は起こる。「そんなのおかしいと思います!」みたいなピースボート宣言をしたって、現実の世の中では事故が起こるのだ。

だから大事なのは事故が起こるって事を前提に、どうやったら事故が起こらないようにするかって事と、事故った時にどうすれば怪我をしないかを運転者として考える必要があるって事だろう。

政府側の道路対策やスピード対策も大事だけど、運転する側の自己防衛として一つの方法が「事故っても怪我をしない車」を選ぶ事だと思う。

もちろんこれには費用対効果の問題がある。本当はハマーを買えばいいんだろうけど、さすがにあれは高すぎるし、大体自宅の駐車場に入らないなんて事もある。

けど、費用対効果と言っても自分が死んでしまえば全く無意味である。ガソリン代をけちって事故って死ぬよりも、生きて費用を稼ぐためにも少しは大き目の車、事故っても怪我をしない車選びを考えたほうがニュージーランドでは正解だと思う。

日本のように高速でも時速90kmとか、事故る以前にスピードを出せない国なら軽自動車も可愛くてOKなんだろうけど、普通の国道を時速130kmくらいで走るニュージーランドで軽自動車は、やっぱり怖いな。

てか、クイーンズタウンに住んでた頃に結構たくさん交通事故を見てきて、その被害者が直接僕の知っている人だったってのがやっぱり小型車に乗らない理由になっていると思う。

http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=10642080

皆さんも、もし旅行でニュージーランドを訪れてレンタカーを借りる予定なら、少し大きめの車にして下さいね。とくに南島の道路なんて、地元の人間でも事故るくらい危険な道が多いですから。


tom_eastwind at 18:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年04月29日

年齢違反でメダル剥奪

e093fe4c.jpg年齢違反でシドニー五輪「銅」剥奪 

体操女子団体の中国国際オリンピック委員会(IOC)は28日、ドバイ(アラブ首長国連邦)で開いた理事会で、2000年シドニー五輪の体操女子団体総合で銅メダルを獲得した中国選手に年齢違反があったとして、メダルを剥奪(はくだつ)することを決めた。4位だった米国が繰り上がる。AP通信が報じた。

 選手は16歳に達していなければならない規定だが、団体メンバーの1人が当時14歳だったことがわかった。疑惑は08年北京五輪の時に浮上。国際体操連盟(FIG)は、五輪チーム役員として参加した際の資格証明が「1986年1月23日生まれ」と記されていることから、シドニー五輪当時は14歳だったと断定した。2月にIOCにメダル剥奪を勧告した。

 中国の女子選手については北京五輪の金メダルメンバーにも年齢詐称疑惑が持ち上がったが、FIGは疑惑を否定する結論を出している。
★記事終了★


この記事は日本の新聞からの転載であるが、実はこの体操選手、現在はニュージーランドのハントレーと言うちいちゃな炭鉱町で能力のある体操選手を指導中である。

つい最近までハミルトンと言う人口15万人くらいの街でトレーナーとして活動していたが最近こちらに移った。

年齢詐称については否定していないが、地元新聞(NZHelard)の取材によれば「今はその事を答える時期ではないと思う」と回答をしなかった。

中国では伝統的に経歴詐称が普通である。何せこの国は4千年前から革命が起こって国家が転覆、新しい国家が出来るとその国王は必ず自分の都合の良い「家系」と「系図」をばら撒いたものである。

上が“これ”なんだから下も当然“これ”である。日本でも戦国時代は随分と誤魔化しのある系図を作ってたのと同じだよね。

だから経歴なんて嘘があるという事を前提に社会が成立しているから大学の卒業証明証書とか職歴証明書類なんてのはトイレの紙程度の価値もない。堅くて使えないもん。

嘘のような本当の話だ。

ある日オークランドの移住専門弁護士の事務所に中国人が訪ねてきた。弁護士は彼の永住権についてポイント計算をする為に中国人に聞いた。
「どちらの大学を卒業されましたか?卒業証書はありますか?」
「卒業証書は明日用意するよ、で、どこの大学が一番良いんだね?」

そんな国に育ってちっちゃな子供の頃から親元を離れて北京の体操専門学校で訓練を受けてきた彼女たちはおそらく普通の人々と話す機会も殆どなかったろう。

14歳であればどれだけ体操が出来ても社会常識を理解出来ているとは言えない。ましてや周りのオトナが「年の事など気にせずに堂々とやってこい!」と言われたら、それは激励だと思い込む年齢である。

そんな彼女も海外に出てみて自分のやった事がオリンピックのルール違反であるって事を知ったときはショックだったろうか、それとも「これが中国だ」と意に介さなかっただろうか。

ただ、今の彼女はこの問題を充分に理解しており、西洋型社会では経歴を含めて「嘘をつく」のは良くないと言うことを後悔と共に感じているだろう。

とくにニュージーランドのような「真面目な国」で生きていこうとすれば今までの自分の経歴違反が将来にわたっても白眼視される要素の一つとなることは今回の事件が地元の新聞にも掲載されたことで充分に分かっただろう。

今まではごく一部の大陸中国人しか外国に出ておらず多くの中国人華僑は香港人などの西洋社会ルールに慣れている人々だったから今日のようなルール違反とかが大きな問題とはならなかった。彼らは中華と西洋の使い分けが出来るだけの分別があるからだ。

だから大陸中国人の悪さ、てか彼らのルールを他人に押し付けるのも数が少なかったのでそれほど目立たなかったし、「まあ田舎もんだからな〜」と言う気持ちもあったのだろう。

けどこれだけ移民が増えてくればそうはいかない。どこの国でもその国のルールがあるし、約束した事を守るってのは社会生活の基本である。

このニュースは彼女個人の責任に帰すると言うよりも中国全体の問題である。ローカルルールを守らずに自分のルールで生きていこうとする大陸中国スタイルがそろそろ通用しなくなっているのは事実である。

逆に言えば何で日本人が西洋社会で他のアジア人と比較して高い評価を受けている理由の一つが「日本人は嘘をつかない、ルールを破らない」と言うことがその国の人にしっかり伝わっているからだろう。

有難い評価であり、僕らのような現役の海外移住組も先達の誇りを持って真面目に生きていかねばと感じるニュースであった。


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2010年04月28日

有料宿泊所

991edc0d.jpg毎年2万5千人の歩けないほどの酔っ払いが警察に補導されて自宅に送り返されたり警察のトラ箱(留置場)で朝を迎えたりしている。

警察は今回このような「ただ乗り」連中を相手に250ドルを徴収することとした。

当初は病院委員会がこれに対して反発するかと考えていたが、逆に委員会から「カネ取れよ」と言う意見が出てきたので今回の法制化に繋がりそうだ。

とにかくちっちゃな国なので変化が激しい。日本の感覚で言えば県条例がしょっちゅう変化するのと同じくらい国政レベルで変化がある。

ついこの間までは「キーウィ文化〜!」とか言って、「ビールやワインは酒じゃないから飲酒運転ではな〜い!」なんて言ってた国が突然急ブレーキをかけて180度転換をしたような勢いであるが、こういうのをやってくれると楽しい。

警察だってその活動費用は税金で賄われている。警察の費用を住民全体が負担しているわけだが、そのお金の使われ方が市民のごく一部である金曜の夜の酔っ払い連中のタクシー代やホテル代になるのでは、お酒を飲まない人だけでなく多くの一般市民からしても「そりゃどうなん?」と言うことになる。

頭を押さえつけられて押し込まれる、おまけに内側からドアの開かないタクシーの乗り心地は決して気持ちよくはないが、無料で運ばれるなら文句もないか。

ホテルと言っても堅くて狭いベッドだし便器がベッドの真横だったり、個室ならまだしも大部屋になったら他人のトイレの音やイビキを聞きながら寝る(まあ酔ってたら気にならんか)わけであり、決して気持ちの良いものではないが、いずれにしても無料。

しかし納税者から見れば結局は警察の手を煩わせているわけで「おいおい、お前ら家に帰ってから他人の迷惑にならんように飲めよ」と言う話である。

日本だとこういう酔っ払いから金を徴収するぞって言うとすぐに反対派が出てきたり法律が複雑に絡んでて面倒になりなかなか制度の導入が出来なかったりするが、この国の法律の仕組みが簡単なためにすぐに法律で整備しようと言う話になる。

このシステムでは酔っ払いに250ドルの請求書を渡しておいて28日以内に支払いをしない場合は取立てやさんに伝票を回すんだと。酒飲むカネがあるんだったらこのカネも払ってねってことだ。

ええこっちゃ。日本でも酔っ払って留置場に入ったら宿泊費用を貰うようにすればどうだろう。政府からしても導入しやすい制度だし国民の理解も納得も得やすい。


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2010年04月25日

ANZAC DAY 2010

cca87c68.jpgニュージーランドに限らずだが西洋社会でビジネスをやっていると、今の日本人が個人として国際社会で生き残るのは本当に難しいと感じる毎日である。

その1:
いろんな人がニュージーランドにビジネスプランを持ち込んでくるが、そのうちの約半分は日本国内でしか通用しないビジネスモデル、つまり“大量生産”“大幅割引”“大量購入”“正確迅速な物流”と“生産管理”を前提としており、人口400万人が日本の本土並みの広さの土地に広がっていて失敗を受け入れて適正価格販売しかしない市場に合わないものである。

残りの約半分はモデルは良いのだがここが西洋であるという事を無視して組み立てられている。つまりビジネスとは参加者全員が利益を得られると言う合理的期待があれば全員が動くと思い込んでいるモデルである。

なので実際にきちんとビジネスとして立ち上げが出来て継続出来るプランは、10のうち1くらいなのが現実である。

西洋型ビジネスと言うのは、皆で利益を得ようという発想をしないと言う意味である。自分だけが最後の一人になっていれば良いと考えるのが基本である。とくに米国ではこれは顕著である。

ニュージーランドは西洋社会の中でも珍しく皆が利益を分けようとしているのだけど、それでも最後はやはり「オレかオマエか」的なところはある。

こういうのは経済学やその社会の基礎数字とかを見ても絶対に出てこないし、机の上でビジネスモデルを書いている時にも絶対に感じることはない。そしてビジネスをお互いの看板を背中に背負って看板同士がビジネスをやっている時にもあまり出てこない。

けど、現場に行けば「オレかオマエか」ビジネスが根底に流れているのだ。これは日本で成功すればするほど成功体験に囚われてしまい分からなくなるので、日本で成功した人に説明するのは難しい。

ある意味相手の今までやってきた努力を根っこからぶっ壊してしまう事になるから彼らは受け入れがたいのだ。

同じ西洋諸国でも本当にビジネスを長続きさせようと考える人は「オレもオマエも同期の桜、同じ釜の飯を食っているんだ」と理解しているから相手の利益を考える。欧州大陸や一部英国ではこの感覚が残っている。

けどこれは少数派であり、そうでないのが大多数だって事を理解していないから、日本から来た人は取引相手や市場の「次の動き」の予測に失敗する。

「おいおい、こうくれば相手はこうくるだろう、だからこうなって〜」と、言ってることはきちんと筋が通っているのだけど、肝心の「相手」が「こうこない」んだからどうしようもない。

なんでこういうずれが起きるかって言うと、それは日本人が和魂和才で商売をしようとするからだ。

日本国内では「全員でパイを拡大しよう」の理屈で全く問題ないんだけど、海外でビジネスをやるんだったら和魂洋才でないと通用しない。

つまり自分の基本的な考え方は「皆で儲けて皆で良い社会を作ろう」だけど、それを実行する際には“浪花節”や“言わなくても分かるだろ”的な感情論ではなく西洋型の合理性、すべての企画書に数字を入れてその理由を合理的に説明して駄目だった場合の最大被害とか撤退路の確保だとか、まさに戦争をする時のような緻密な理論が必要なのである。

こうする事で初めて洋才となり西洋型ビジネスマンも自分の取り分が見えるから納得して付いてくる。この「配分」が彼らとの交渉の要点である。

大事なのは絶対に相手に主導権を取らせない事。彼らに主導権を取らせたら彼らは全体の利益の増加よりも目先の自分の利益の極端な増加のみに目標を置いてしまうから、あっと言う間に良い関係がぶっ壊れてしまう。

(いつも書くことだけど、キーウィでも長期視点を持てる人はいるし米国人でもいる。けどここで書いているのはその土台、つまり彼らのOSの話であり、基本の話をしている時に例外を持ってきて“ほら、こんなのもある”なんてのは無意味有害)

全体の利益とか長期的な利益の増大を理解出来る和魂でビジネスモデル全体は日本人が管理してそれぞれのパーツは地元のビジネス参加者に任せて利益を得てもらう、彼らの利害が衝突した場合は日本人が中心となって全員が納得出来る配分を行い、どうしても難しい場合はモデル全体で出てくる余剰利益を不満者に特配して公平を取る。

こういう風に持っていけば話はかなり円滑に進むはずである。現実にそういう事を出来る日本人の数は限られているけど。

その2:

ところが時にはこれが行きすぎて、今度はその反対の事が起こったりする。

外国であまり長いこと商売をしていると日本の感覚がなくなって、いつの間にか目先だけで利益を出して「後は知らん」で結果的に日本人相手のビジネスに年中失敗している奴もいるのだ。

けど本人はいつまで経っても何が悪いか分かってないからずれたままでお客を失っても「あ、ありゃあいつが悪いんだ、おれは悪くない」って思い込んで、また次の獲物を探すようになる。

けど彼や彼女のビジネスモデルは日本的なやり方だからいつまで経ってもローカル市場にも食い込めないでいる。

こうなると洋魂和才で最低となる。短視眼でしかモノを見られず、かと言って西洋的な合理性を持ち合わせずに感情論で商売をしようとする。

こうなるともう周りの意見を聞こうともしないし誰も意見をしなくなるからどんどんずれていって結局は両方の社会のオチこぼれになってしまう。

ここまでいくと、ぱっと見は自律神経失調症みたいな外見になるので、しゃべっているとすぐ分かる。時々眼が飛んだりしているのだ。

だから海外でビジネスをするには和魂和才でも通用しないし洋魂和才だと使い物にならないし、その真ん中、和魂洋才で行く事が求められるのだ。

その3:

ただここで言う和魂とは、戦後の日本の一億総無責任体制の中で最近出てきた魂ではない。

1200年代から小型の船でアジア全体に貿易を広げてシャムにまで日本人村を作った人々のような自分でリスクを取り積極的に前に出て行き失敗を恐れず、海洋国家で明るく開放的でありながら日本人としての責任と誇りを持った人々の魂のことである。

日本ではその昔、士魂商才と言われて武士も商売の才覚を持たねば食っていけないが、武士の魂を忘れてしまっては駄目だと学んだ。

今、日本人が学ぶべきはこれからの国際化に向けてまずは和魂をしっかり思い出して洋才をしっかりと学校で学び、根性と理論で重武装して世界に打ち出していくべきだ。

失敗を恐れて何もせず長いものに巻かれて知らんふりをして子供時代から隣の子供を蹴落とす教育を受けて恋もまともに出来ずに目標も持てずにどっかの会社に入って、生まれた子供にも同じような生活を押し付けて結果的に奴隷のような生活を送っていながら、自分たちは世界で二番目の国家だと思い込まされている、年間3万人が自殺して毎年給料は下がって仕事はきつくなり責任は重くなり休みも取れず狭いマンションを買ってやっと我が家としても帰宅できるのは終電ぎりぎりと言う社会に住むのも結局リスクを取らない生き方を選んだからだ。


その4:本題

話は変わるけど今日4月25日はアンザックデイ。

この日は第一次世界大戦でオーストラリアニュージーランド連合軍(ANZAC)が連合国の一員として祖国から1万キロ以上遠くはなれた欧州の端っこのトルコのガリポリに遠征して、そこで枢軸軍を相手に勝ち目のない戦いを挑んだ日である。

結果的にこの日から約6ヶ月の戦いでニュージーランド軍は8千人以上の死傷者を出して負け戦になったが、その日を今でも両国ではANZAC−DAYと呼んで国家の記念日にしている。

結果的にその戦いには負けたが、100年経った今でも、戦争で命を失った若者の家族は彼らを誇りに思い国家は彼らを今でも最高の兵隊として戦争記念館の石壁にその名前を刻み永遠に讃えている。

人生は一回しかない。No Pain, No Gain, 誰かの為に一時の痛みを覚悟で永遠の何かを得るために戦ってみてはどうだろうか。
ANZ FLAG

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2010年04月24日

監視カメラと自由

4c6950f1.jpg今日はオークランドや他の都市で監視カメラ導入法案についての反対でもが行われる予定だ。

元々ニュージーランドと言うお国柄で「人は嘘をつかない」性善説を採用しており、例えばクルマで言えば「スピード違反の取り締まりに道路の端っこに隠れてネズミ捕りをするなんてみっともない!」と怒る国民であった。

一昔前までは、他人が駐車している車をぶつけたりこすったりしたらワイパーに名刺を差し込んで「すみませんごめんなさい、ぶつけちゃった。名刺の住所に連絡下さい」と言うお国柄だった。

しかし時代は変わり、マオリやアイランダーやプアホワイトのガキども“若者=ばかもの”と呼ばれているバカ連中が金曜の夜に酒を飲んで高速道路をすっ飛ばしては死亡事故を起こすようになり、交通事故の90%以上がこのような25歳以下のガキで占められるようになって道路交通法が改正された。

その為まともなオトナが会社の帰りに社交でビールを軽くひっかけて自宅に帰るだけで逮捕される時代になった。一回目の逮捕で半年の免停、二回目で二年、三回目で三振アウト、免許取り消しである。罰金も数十倍に跳ね上がった。

えらい迷惑ではあるが、確かに飲酒運転は危険であるから、これを機会にクルマが凶器だという事を再認識して、「飲んだら飲まない」と言う当然のルールを導入した際はそれほど批判は出なかった。(お前が言うなと言われるが、ぼくは今世紀に入って以来たった一滴のアルコールでも飲酒運転は一切していない)

つまり社会が乱れてくれば秩序を守る為に厳しい取締りが必要になるのは当然の流れである。犯罪に甘いニュージーランドではあるがルールを変えるのも早い。監視カメラを導入して犯罪を未然に防ぐ。当然のことである。

すでに繁華街(そんなもんNZにあるのかとは突っ込まないで欲しいvv)では監視カメラが導入されているしシティでは週末の夜に立ち飲み禁止と言うルールも出来てる。

今回は監視カメラの導入効果があった為に台数を増やしてもっと市民の安全を守ろうって事である。

これに対して反対派は「そんな事したら自由がなくなるじゃんか」とか「政府による覗きじゃねーか、独裁国家になるじゃねーか」と、どこの国でも出てくるような反対理由を挙げている。

ぼくは今回の監視カメラ導入には賛成である。

自由がなくなるなんて以前に、カメラに撮られてまずいような事をするなって事でしょ。

プライバシーがどうのって、政府が本気になったら個人のプライバシーなんてあっと言う間にすべて晒されますよ。

だいいち政府による監視だなんていってもそれをどう制御するかは政府を支える国民の選挙で決められるでしょ、導入しただけで独裁国家になるってのはあまりに短絡的、選挙民がバカな証拠でしかない。

もうちょっと自分に自信を持ってほしいし、この法案のプラス面を理解して欲しい。

断っておくがぼくはむちゃくちゃに自由主義(リベラリスト)であり、自分の生活のどういう点でも少しでも他人に触られるといきなり叩かれた猫のように過激な反動を起こすくらいである。

ただそれでも、てかそれくらい子供の頃から自由について考えねばいけない生活を送ってきたおかげで、今では自由の意味を普通の人よりもかなりよく理解していると思う。

それは「完璧な自由は完璧な管理の下にしか存在しない」と言うことだ。だから今回のカメラ導入は理解出来るし、秩序を守る為にある程度の自由が制限されるのは当然のことだ。

誰にも等しく自由があるとして、それを皆が自分の価値観の視点から「自由な事」をし始めれば社会が分裂してしまう。

だからその社会に参加する大多数が選んだ方向性に合わせた幅の中で「自由な事」をすれば良いのだが、この方向性を決めるのが選挙民であり方向性の管理をするのが政府の仕事であり、それがあるからこそ国民も「あ、これはやっちゃいけない、当然だよな」と思えるようになる。

もし当然と思えなければ政治に参加して選挙で反対票を入れて意思表明をするか、またはその国=社会を出て自分の価値観に合った社会=国に参加するしかない。何故なら誰にでも社会に参加するかどうかを選択する権利があるからだ。

そのどちらもせずに単純に社会秩序を壊すような「ガキの遊び」をするようなら、それはちっちゃな内に芽を摘まねばならない。それが「管理」である。社会に参加するにはそれなりの費用を負担しないといけないのだ。

今のニュージーランドはあまりに性善説が行き過ぎてしまい、真面目に生きてる大人が「ガキの遊び」に付き合わされて振り回されていると多くの人が感じ始めた、それが今回の法案導入の根幹にあるのだ。

駐車場のクルマの窓ガラスを割って中のものをかっぱらっても初犯なら無罪だし、だいいち警察が調べもしない。空き巣なんて犯罪とも思われていない。

今までは「まあガキのする事だから」と見逃してたけど、これからはそうはいかないよ、厳しく対処するよって政府の宣言であると考えればよい。

写真はオークランド郊外でバイクを楽しむツーリスト。こちらには日本のような暴走族はいません。バイクに乗るのは純粋に風を切るのが好きな人たちです。


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2009年09月08日

Hands free Phone

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Hands free phone (ハンズフリーフォン)を週末に買った。

 

これ、日本語では何と言うのだろう?手放し電話?

 

ちなみに日本人が間違いやすい英語の表現で例えばSmokeFree(スモークフリー)とFreeSmoke(フリースモーク)がある。

 

スモークフリーは「煙草から自由になる」つまり禁煙となる。

フリースモークは「自由に煙草を吸える」つまり喫煙となる。

 

(他にも例はあるけど、あえてまともな奴を例題にしました)

 

なのでHandsFreeは手から自由になるのでやっぱり手放しか(笑)?

 

まあそれはどうでも良いのだけど、ハンズフリーを買う直接の理由はニュージーランドもいよいよ11月01日から車の運転中の携帯電話使用が禁止になるからだ。

 

運転のうまい中年キーウィにはあまり関係のない話だけどこれだけアジア人が増えて、生まれて初めてNZで車を運転です、みたいな中国の山奥からやってきた共産党の息子などは格好付けて片手運転でケータイを発信することでいきがったりする。

 

それだけなら周囲に恥をさらすみっともないあふぉで良いのだけどその結果として交通事故でも起こしたら大変な騒ぎである。

 

なので今回の規制は当然だと思う。その結果としてあまり携帯電話を使わないぼくがこの規制の対象となっても、それはこの社会で生きる以上当然の原価である。

 

そこで週末にりょうまくんと奥さんと3人でセントルークスショッピングセンターに向かい、りょうまくんはWarHammer、僕と奥さんは電気屋さんへ。

 

「ところでぼくの電話はテレコムだからテレコムショップで買うんだよね?」と聞く僕に彼女はにこっと笑って包み込むような笑顔をで「大丈夫、何処の会社でも関係ないんだよ」と優しく教えて諭してくれる奥さん。全く学校、特に養護教育の教師がお似合いですね、この人。

 

Bluetoothという技術は日本発だけど今や世界中で利用されている無線通信?システム。だから利用している電話会社とハンズフリーは関係ない。どこで買っても良いのだ。

 

機械には色んな機種があり、それぞれに色んな機能が付いている。

 

予めハンズフリーに番号を登録しておくと、車内でケータイが受信したら自動的に液晶画面に相手の名前や電話番号が出てくる仕組みもある。

 

僕が買ったのは結局SonyEricsonの280ドルの機種。たまたま自分の今使ってる電話が同じくSonyEricsonで、何と充電器に互換性があるのでこれは便利。

 

VodafoneShopのお兄さんは丁寧に商品説明をしてくれ、尚且つセットアップまでしてくれたので、その場で早速試しに使ってみると・・・

 

おお!これは便利!てか、本当に手放しで喜べる機械ですな。

 

受信したければ四角い箱の端っこの電話マークをぽちっと押せばよいだけなので運転の邪魔にならん。また、真ん中にIpodのようなぐりぐりが付いてて、こいつを軽く押すだけで相手の番号を摘出して発信も出来る。

 

ほうほう、てーことはこの機械、ぼくのケータイと通信しながらぼくの電話番号データを彼の脳みそに入力しているのですな・・・。

 

そこでふと気づいた!

 

こいつ、決定的な欠点がある!

 

もし僕が奥さんと一緒に車に乗ってるときに変な電話番号が出たら命取りじゃんか!「これ誰よ?」となるではないか。

 

交通事故よりこっちの方がよっぽど危ないぞ。

 

今から電話番号、整理しておこっと(笑)。冗談です。

 

写真は運転席の日よけ板に取り付けたハンズフリー。ちなみにすぐ前を走る車は銀色のAUDIの高級オープンカー、運転しているのは恰幅の良い白髪のおじいちゃん。朝からばんばん飛ばしてました。



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2009年06月17日

パンデミック

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パンデミック?!

 

書こうと思っててつい他のネタがあったので流れたのだけど、先週の日曜日(14日)にりょうま君を連れてSt Lukes shopping Mallに行き War Hammer Gameのパーツの塗装教室に行った時のこと。

 

教室では子供たちがキャーキャー言いながら騒いでるけど、ごほごほ言ってるのが半分くらいいるではないか!

 

でもってりょうま君をそのまま教室に残してモールを歩いて見ると、ここでも若いオトナや子供たちがやっぱりあちこちでごほごほやってる!

 

やばくない、これって?

 

僕は年齢のせいなのか全く問題ないし、東京に行ってもシドニーに行っても問題なし。けろっとしているんだけど、確かに子供や若い年代ではかなりの影響が出てるな〜。てか、モールに来るなよって思ってた。

 

そんな矢先の昨日のニュースで、ついにオークランドの学校の一部が緊急閉校!

 

最初はオークランドの西側、ヘンダーソンあたりの話かと思ってたら、何とうちの娘が通ってたウエストレイクスまで閉鎖!おお、こりゃすんごいな。

 

そういえば今回のインフルエンザは長期にわたって続くぞ、特に今は「暑くて」大丈夫だけど、今年の冬は大流行だぞってニュースで言ってた。

 

冬?冬! 今のニュージーランドではないか!まさに今のニュージーランドは冬に突入している。てーことはこれから更にインフルエンザが広まるってことになるではないか。

 

日本からの修学旅行が大量取り消しになったけど、アレでよかったんではないか。もし強行してたら、おそらく生徒の親たちが騒ぎ出して今すぐ飛行機で帰せ!と言う緊急事態になったろうな。

 

てか、たった人口400万人で人口密度の薄いニュージーランド、オークランドだって一戸建てが殆どのこの人口140万人の街でさえこうなんだから、たしかにこれが今年の冬日本を直撃したら、大変な騒ぎになるだろうね。

 

大都市圏の学校はほぼ全て閉鎖、会社も特別な理由がない限り出社禁止、公共の場所では常にスプレー撒きっぱなしとかになるのだろう。

 

ニュージーランドはのんびりした国だしこの風邪はそれほど強力ではないから、子供からすればお休みが増えたくらいの感覚だしお父さんからすれば「よっしゃ、人のいない所に行こう、そうだ、釣りに行こう!」となるだろう。

 

けど忙しい東京ではそうはいかない。「やはり出社せねば」と言うことになる。けど、もしかしてこのインフルエンザが突然変異して致死性の高いのになったら・・・。

 

パンデミック、怖いですね。そうだ!おれも人気のいない所に行こう!スキーに行こう!あ、けど寒い所をインフルエンザが好むんだよね、これもやばし。

 

ニュージーランド、スキーシーズンが始まりました。去年以上に雪が多そうです。

 

写真はウエストレイクスの様子。



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2009年05月23日

HK hunt for bank-error couple

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大嵐の中で香港に到着した翌朝、「South China Morning Post」 と言う地元の新聞が部屋に届けられた。

 

一面を飾るのがインフルエンザのニュースである。サーズの時も香港は観光業界に大打撃を与えたが、今回は学校での影響がネタになっている。

 

その隣のニュースは香港金融庁長官交代の記事をやってる。

 

でもってそのすぐ下の記事で上記タイトルがあったのだ。

 

最初はてっきり「ほうほう、香港か大陸で誰かが銀行を騙してカネを奪ったネタだな」と思って読んでたら、ナンじゃこれ、ニュージーランドのネタではないか。

 

ロトルアでガソリンスタンドを経営する中国人がウエストパック銀行に10万ドルの借り入れを依頼したところ、銀行側が間違って1千万ドルを振り込んでしまい、受け取った経営者はその金を持ってガールフレンドと高飛びしたんだと。

 

1千万ドルのうち670万ドルはすでにどこかに送金されていたが、残りの金はまだ残っていたので取り返したとの事。

 

振り込むほうもバカだけど、逃げ足の速さもさすが中国人、たいしたものだ。

 

てか、この事件を検索すると、日本語でも英語でも中国語でもネタとなっていた。

 

銀行のミスで一夜にして大金持ちになったのが事件の始まりだから、銀行もあまり大きな声で文句は言えないんだろうけど、いかにもニュージーランドらしいネタだ。

 

この記事を読んだ中国人は、こいつはチャンスとばかりにニュージーランドに大挙してやってくるんではないか?そいでもって中国人パワーで偽札から送金までありとあらゆる可能性に挑戦するんではないか?

 

けど、もしこのカネを受け取ったのが標準的なキーウィだったら、「おいおい、こんなに要らないよ」と言って返金するだろう。

 

もしこれが日本人だったら、どうしていいかわからずにNZdaisukiに書き込むんじゃないか(笑)。「わたし、どうしていいか分からないんです」って。

 

そしたら親切な日本人が「そんなん銀行が悪いじゃん、使ったっていいと思いまーす」なんてことを勿論無記名で書き込み、その1時間後には「そんな、お金を使うなんて日本人として恥ずかしいと思いまーす」なんてのがやっぱり無記名で書かれて、その更に1時間後にはやっぱり無記名で「え〜、けどぉ〜、振り込むほうも悪いんだから少しくらい使ってもいいんじゃないの〜」とか。

 

そして何にも結論がでないままに時間だけ経って、お互いに自分の身分を隠して言いたいことは言うんだけど、誰も何も実行しない間に銀行が間違って振り込んだお金を取り返して、はいそれで終わり。そしてまたいつもと同じ一日が始まる。

 

このカネを受け取ったのが中国人なら。まさに今回の彼が取った行動そのもの、「おりゃ〜、早くずらかれ!」だろう。そしてこの記事を読んだ多くの中国人がにやっと笑いながら思ってるだろう。「こいつ、うまくやったな」って。

 

写真は暴風雨の香港と、・・・あれは芸術か?劇場全面に貼られている大型ポスター。



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2009年05月11日

入梅

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オークランドは毎年5月後半から6月にかけて梅雨に入る。

 

梅雨と言う呼び名はニュージーランドにはないけど、それでも毎年決まったように雨が降り出すと、おお、今年もそろそろ冬入りですなと感じさせる。

 

何度か書いたけどぼくは基本的に傘を使わない。ニュージーランドの一般的な住宅の駐車場は内ドアで繋がっているし、職場のあるシティで借りてる駐車場は会社から1ブロックも離れてないし、その間ビルの屋根のひさしがあるので、よほど土砂降りでない限り傘は不要である。

 

おまけに土砂降りと言ってもスコールみたいに、10分単位でどか!っと降ってさっと晴れての繰り返しだから、ちょっと軒下に入ってればすぐに晴れ間が来るので問題ない。

 

この時期の一番の問題は道路である。とくに夕方から夜に降る雨は、元々造りの雑なアスファルト舗装の道路に書かれたサインや車線や標識などを見えにくくする。てか、ほんとに見えない。

 

みんな勘で運転しているのかって思わせるくらいにすいすい走ってるんだけど、僕はどうも車線が見えないと不安になる。不安が不安を生み、今日の夕方19時頃もいつの間にか車線の真上を走ってたりした。wairauロードのKFCの近くである。

 

何でそんなとこ夕方に走ってるか?当然、お母さんがいないときの命の洗濯、りょうまくんとKFCのTakeawayDinnernの買い付けである。

 

道路幅は広いんだけどアスファルトの上を何度も車線を書き直したような道路は、削り取った後の古いサインまで雨が溜まって光って見えるから、一体どれが本物か分からなくなることがあるのが困ったちゃんである。

 

それに道路のアスファルトがグリップ力を無くしてつるつるしている坂!シティは坂道が多いんだけど、とくにビクトリアストリートは滑りやすい。雨脚の強いときに下手にアクセルに力入れて坂道発進やると、キュルルkyルkyル!とタイヤが大きな音を出してスリップしたりする。

 

みなさん、もしかしたらこれはぼくの運転が下手なだけかもしれませんがこれから雨季、運転には十分注意しましょうね。

 



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2009年04月13日

イースターによせて

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イースター初日の昨日は竜馬君を連れてのお買い物。

 

以前から約束していたセントルークスショッピングセンターの中のおもちゃ屋に行くのだ。

 

けど、いつも思うのだけどニュージーランドのお休みってあんまり天気が良くないことが多い。このイースターもあんまり天気が良くない。

 

イースターに限らず他のお休みでも、何か休みになるたびに神様の恨みをかってるんじゃないの?って思うくらいだ。むしろ普通の週末なんかが晴れることが多い。

 

中国の10月10日ってのは絶対に雨が降らないという話を聞いたことがある。実際にはどうなのか知らないけど、あれだけの大行事をやるのに雨が降ったら面倒だ。

 

だったら逆に、絶対に雨の降らない日を統計で割り出してその日を記念日とかにした方が良い。十と十が重なるから縁起も良いなんて理由で決めたんではないかと思う。そうやって自然と折り合いをつけてきたのがアジア人だ。

 

それにしても記念日と雨に関係なく、白人が何かやる時は何故か自然を敵対視して征服するものと言うイメージがある。それに比べて中国や日本などのアジアでは自然と人間が共存すると言う感覚だ。

 

元々日本では自然と共生していたし自然の恵みを大事にしてきた。山で狩をした後には山ノ神に礼を尽くすとか、日本人は昔からそういう行為を自然に行ってきた。

 

それに対して白人文化ではいつも自然を敵にする。なんだか、自然を征服するべき相手と見るんだよね。これ、オレも20年前は同じ感覚だったので偉そうなことは言えませんが。

 

これに限らず白人文化では何か自然に対してムリをしてしまい、結局それが自分にマイナスになって跳ね返ってくると言う現象をよく見かける。つまり長期的な視点が存在しない。それやったらこうなるでしょ、的な部分が弱い。

 

けど白人の中でもニュージーランドはその点、自然と共生するって考えがあると思う。これが日本人と近いって感じがする一番の原因ではないか。やっぱり周囲を海に囲まれて山があり川があり緑が多い、こういう環境が同じような人間を生み出すのか。

 

キリスト教の原理主義者がごろごろいる米国人から「エコ!」なんて言われると「ふざけんな!だったら馬鹿でかい車を捨ててみろ!」と言い返したくなる。キーウィの場合はそれがわりかし納得出来る。

 

要するにキーウィの場合は、米国人に比べれば人の話を聞く余裕ってか、他人の価値観を認める気持ちがあるってことではないかと思う。

 

モノを大事に使う文化、壊れたら修理してまた使う、自宅の木でも簡単には切らせないルール。こういうのも、日本人に合うよね。

 

ここ最近数百年は白人文化が世界を覆っているけど、2千年の歴史の中で言えば1500年以上はアジア文化の方が優位であった。

 

だからアジアが良いなんて感情的な気持ちではない。

 

けど少なくとも合理的に考えれば、西洋の考え方はいつか行き詰る。要するに部分では間違ってないけど全体を足して見ると破壊されてしまう仕組みなのだ。その仕組みの根本に宗教があると思う。

 

部分の無謬全体の誤謬が発生しているのが西洋文化で、その意味では「Sustainable」と言う言葉が最近白人の間でも使われるようになったけど、そんな「持続する」なんて考えは実は日本が一番進んでいる。

 

別に僕は白人嫌いでもアジアdaisukiでもない。客観的に両方の国家を見て、やってる事を客観的に考えて見れば、たしかにある宗教学者の言ったとおり白人文化の一番の問題はキリスト教だと言うことはよく分かるだけだ。

 

海外生活20年を過ぎてるだけでどうこうは言えないけど、僕は自閉症の名残なのか、物事を突き詰めて考えすぎる癖がある。それもかなり極端で、他人から見れば「あんたおかしい!」と言われるくらいだ。

 

その自閉症が日常生活で無意識にキーウィの行っている仕草やビジネスの進め方を見てきた。それとカナダで3年くらい仕事していた時にカナダ人のやり方も見てきた。香港では世界中の人種とやり取りしていた。勿論オーストラリアでもユダヤ人を含む世界中の移民がいた。

 

そんな海外生活をしながら人々のやっていることを見て、最終的に感じたことはキリスト教が持つ根源的な問題点だ。

 

それが「一神教」と言うこと。

 

普通に考えれば分かることで、社会生活をするのに他人の価値観を全く認めない、おれの考えだけが正しいんだなんて通るわけないよね。

 

でもってキリストだけが正しいとなるとそれがすべての価値観の基本になってしまい、それ以外の考えは異教になるわけだから当然排除すべしとなり、これが宗教戦争に繋がる。

 

挙句の果てに、同じキリスト教でありながら聖書の読み方がちょっと違うだけど「あいつは異教だ!」と内部抗争に繋がる。

 

要するに他人の価値観を認めて共同生活を行っていくと言う基本がキリスト教の中に存在しないのが一番の問題なのだ。

 

ここがアジア人的発想と根本的に違う。アジア的発想、大雑把に言えば仏教思想では、人間はすべての植物や動物を含めた自然の中の一つであるから、一緒に生きていこうと言う発想になる。すべての他の存在の価値観を認めているのが大前提だ。

 

ところがキリスト教では、人間だけが特別で動物は人間より下位で、自然は征服の対象となるから、彼らは自分の都合で鯨を殺したり先住民族を皆殺しにしたりする。

 

同じキリスト教でも国によっては色合いがかなり違うわけで、その意味でニュージーランドはバランスの取れたキリスト教国家だと思う。きちんと他人の価値観を認めるキリスト者が社会の中心にいるからだ。

 

もちろんまともに勉強もしないし社会人になってもまともに物事を考えたことがない低層連中は話にならない屑だ。こいつらは自分だけが正しい、他の奴らは全部間違いってことを本気で思い込んでいる。

 

まあ学校教育でも表面的にはそういう教え方をしているから仕方ないのだが、自宅で親がきちんと「他人の価値観を尊敬する」って事を教えていれば良いのだけど、馬鹿が3代続くとどうしようもなくなるのは事実。

 

でもってそういうどうしようもないのが何代も続いて出来た国家が米国の支配層だから、こりゃもう困ったちゃんである。

 

あっちで戦争したりこっちで他国の政治に口を出したり、とにかく世界一の武器を持っている、自分だけが正しいと思い込んでる5歳の子供と同じだ。

 

第二次大戦後にマッカーサーが日本人を「12歳の子供」と例えたらしいが、僕から見れば5歳のガキよりは余程ましだと思う。

 

 

同じ白人国家でありながら宗教色の濃淡が違ってて、キリスト教の中でも良い部分を取り出して生活をしているニュージーランドで生活出来て幸運だなって思ったり。

 

なんてイースター初日に考えてたら、面白いことに最近は東洋文化を見直す本も出てきてるんですな、日経ビジネスで紹介されてました。

 

宗教は嫁さんと同じで、こっちは自分の嫁さんを「こいつ不細工だな」と思ってても他人に指摘されると頭に来るわけ。

 

長い旅行業の中で覚えた、添乗員として絶対に口に出してはいけない3つの言葉がある。

 

野球、政治、宗教。

 

これだけは余程相手の気持ちを理解した後でないと、絶対に口に出してはいけない。他の事なら笑って済ませるけど、この3つだけは絶対にダメってのが、僕の人生で痛い思いをして経験したことだ(笑)。

 

だから今日のブログでも、たまたま今日がイースターだから一人の無神教としてこんな事書いたけど、普段はそんな事で宗教議論するつもりはない。

 

相手は理屈抜きに自分の信じているものを守りたいんだし、こっちは自分の理解していることを相手に知ってもらおうなんて思ってないからだ。

 

僕は自分の勉強の中で理解していればそれで良いだけで、それをどこかに広めようなんて一神教的な考え方は持ってない。

 

おれは彼らの生活に干渉しない。だからオレの考え方にも干渉してもらいたくない、ただそれだけ。社会を構成する一員としてルールは守るけど、そこに宗教がはいるならNOだ。おれ、アラブ国家では絶対に住めないだろうな。

 

相手の信じるものはぼくなりにできるだけの礼節を尽くすが、それが不足だと言われても異教徒である俺にはそれ以上どうしようもないのだ。

 

そんな事を考えながらセントルークスショッピングセンターに着いた。

 

「よっしゃ竜馬、おもちゃ買うぞ!」と二人で喜びながら駐車場に入ると・・・・そこはがら空き。

 

今日は、あはは、お休みなんですね。キリスト昇天の日は商売しないんですな、失礼しました。

 

竜馬と二人で自宅に戻りながら、「ごめんね、明日は開いてると思うからさ」と話した。「いいさ、仕方ないよね、今日はジーザスの日だ!」



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2009年02月13日

三割増!

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東京のホテルでゴーグルニュースを開くと、いきなり目に飛び込んできた文字。

 

「三割増!」

景気の良い話だと思ってよく見ると倒産件数。

 

「2.2倍に増えた!」

すごいすごいと思ったら負債額・・・。

 

そいでもって国会では毎日毎日郵政の議論して、何とかお互いに政敵を叩いて次の選挙で勝とうとしている。

 

オリックスが入札で「かんぽのやど」を手に入れた経緯がどうなのかは分からない。おそらくある程度の話し合いもあっただろう。

 

しかしまともな経営者なら今回の話の問題点には気づいている。

 

「建物をいくらで作ったか」などは時価には全然関係ない。どれだけ金をかけて造ろうが、それに商品価値がなければ価格が下がるのは当然。

 

なのにマスコミは「建設費よりも入札価格が安い」ことを問題にしている。

 

ばっかじゃないの?本気でそんな事を信じてマスコミが発表するなら、こりゃもう担当者は完璧なるあふぉーであり、嘘と知ってて堂々と発表するならこれは詐欺師だ。

 

何だこの国は?政治家が国民の為に働かず役人は自分の省庁の利益のみを追求して、誰も国家天下を語らない。てか、語ると選挙で負けたり役人で出世出来なくなる。

 

本来は社会の木鐸(ぼくたく)として政治をチェックする機能を持つマスコミは、これまた自分の利権を確保する為にあるときは政治家あるときは役人と組んで、社会の弱いものいじめをやっている。

 

そんなことを考えながら名古屋のホテルのバーでジントニックを注文した。出てきたのがこのグラス。

 

それにしても量が多いね。東京のバーの3割り増しではないかと思う。

 

名古屋ではいろんなものが安い。喫茶店ではいろんなものが無料で付くし、ホテルではインターネットが無料だ。

 

そんな事を考えながら今度は中部国際空港に行く。香港からやってくる家族を迎えるためだ。

 

今回はみゅーと言う名鉄の電車で空港に向かったのだが、これが便利。JR名古屋駅から屋根続きで名鉄に移動出来て、電車にそのまま乗り込むと約30分であっと言う間に空港に到着。

 

それも空港駅のプラットフォームを出るとそこはもう空港。なんか当たり前のように書いてるけど、成田から電車を使って1時間かけて移動している現状を考えると、これは全然便利さが違う。

 

この空港は、人の動線を理解して造られているなって感じた。

 

そんなことを考えながら空港到着口で待っていると、突然ケータイがなる。非通知。普段は非通知なら受けないのだけど、何か気になったので電話に出てみると、これがなんと空港入管から!

 

なんじゃ!と構えて低めの声で話を聞くと、相手の声は明るいままで「オタクの家族、どこに泊まるんですか?」って質問。

 

あ、そうか、滞在先を書かないといけないんだ!でもってうちの家族は名古屋のホテルの名前を知らないんだ!

 

そこでふと「あ、そうか、入管の人がみゆきにオレのケータイ番号を聞いて、わざわざ電話してくれたんだ」と、ちょっと感激。

 

役人ですぜ彼らは。それがこんな親切をしてくれると、これはもう、ぐっとくるではないですか。

 

勿論たかが電話一本なんだけど、それだけで「決まりですから」といつもほざいている成田入管の連中に言ってやりたい気持ちになった。「やりゃ出来るじゃん!」

 

「もう少しでご家族は手続き終わりますので、お父さん、もうちょっとお待ちになっててくださいね」だって。

 

こりゃもう民間のサービスですぜ。

 

もちろん彼らとしてもうちの家族の書類の体裁を整える為に必要なのは良く分かるけど、それでもうれしいのは事実。

 

そしてさらに10分ほど待つと、わいわい騒ぎながら笑顔で入ってくる家族の顔。

 

「おかあさん、どうだった?」そう聞く僕に「ねえお父さん、この空港、いいよね」と早速一言。

 

その話を名古屋のお客様にお話すると、「そうでしょうね、中部国際空港は利用する民間の人が作った空港ですから、利用者の視点ですよね」と言われた。

 

そのとおり。

 

僕が成田空港を嫌いなのをご存知な方は多いと思うが、三里塚闘争時代からあの空港は嫌いで、今も嫌いだ。

 

それは成田空港で野菜を売ってるのが嫌だとか、意味のない検問で無駄なお金と時間を使っているとかだけでなく、それが役人の利益の温床になっているからだ。

 

実際に中部国際空港を使った場合の時間を計算してみた。

 

空港に到着後、約20分で出てくる。電車で約30分で名古屋駅到着。そのまま新幹線に乗れば2時間以下で品川に到着。

 

合計で3時間である。

 

成田だと、外人が入国するときには平気で1時間以上並ばせる。それから荷物を取って到着階から電車乗り場まで10分くらいで移動。

 

大きな荷物を持って電車に乗ってからも都内まで1時間以上かかる。

 

東京駅に到着してからも、あの駅の一番下にあるホームから地上に出るまでいくつのエスカレーターに乗ることか。

 

気持ちの良さを重視すれば、これからは成田よりも中部を利用したくなった。 



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2009年02月06日

オンラインチェックイン

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キャセイ航空では出発の48時間前になると登録しておいたメールアドレス宛にチェックイン連絡が入る。

 

オンラインチェックインでは、旅券番号や有効期限とか発行国の情報を入力していくことになるんだけど、この記載が面白い。

 

 

旅券発行国をクリックすると国名がずら〜っと上から下に並ぶんだけど、漢字表示だったりカタカナだったりするので日本を探すのも結構見づらい。

 

でもってにっぽんだから「ナ=N」だよなとか思ってスクロールしていると、南極?

 

南極で旅券発行してたっけ?

 

新西蘭? 電話番号を記入する欄でも国を選ぶ必要がある。キャセイ航空では搭乗客と話をしたい時には登録してケータイにいきなり香港から英語で電話が入ってくるのだけど、彼らが仕事しやすいように国番号の省略とか出来るようにするためにこっちが国を選択するんだろうな。

 

けどさ、新西蘭???

 

あのさ、おれ日本人なんだよね。普通の日本人が国名を検索すれば、当然カタカナで「ニュージーランド」って出てくると思うよね。

 

もしかして近いうちに日本は中国に支配されて中国語が標準になることを見越してシステムを漢字表記にしたのか?

 

そ、それってもっと言えば、南極はいずれ近い将来中国の領土になるってことか?

 

今度聞いてみよう。



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2009年01月24日

三連休

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今日からまた三連休だ。

土日が普通のお休みで月曜日は「Auckland day」と言う、オークランドだけのお休み。

先週はクライストチャーチが同じように休みで三連休。県民の祝日?

だから昨日の夕方は午後4時頃から自宅に帰る車で高速道路もシティ内も大渋滞。

みんな早く仕事を終わらせて家に帰り、これからの三連休の計画を立てているんだろうね。

うちは今日もスキー。子供向けにはソリがあったりして、大人から子供まで遊べる屋内スキー場は、多くを望まずにスキーの練習と割り切れば実に楽しい。第一子供を連れてきても子供を見失うことがないので、親子連れには楽しい場所だ。

今日もたくさんの親子連れが来てて、皆さん窓ガラスに張り付いて子供が滑る写真をうれしそうにばちばち撮ってます。もちろんデジカメ。

そう言えば現像が必要なカメラの販売台数はここ10年で10分の1以下になったそうだ。おかげで現像をビジネスとしてたキタムラカメラなどはビジネスモデルの転換を迫られて大変そうだ。

フィルムが不要になるとフジフィルムはどうなるのだ?フジカメラ?そりゃもうすでにやってる。

フィルム技術を生かした業態転換。

社会に必要とされるものを提供するのが会社だから、社会がデジタルカメラになれば、それに追いつく何かを提供するか、退出するしかない。

うちも社会に取り残されないように常にビジネスモデルの変革をしていってる積りだけど、ほんと毎日注意しておかないと、あっというまに陳腐化するもんね。

今日と同じ明日はない。常に心に緊張感を持っておくこと。

それにしても二人とも随分上達しているぞ。毎週スキーやってれば当然だろうけど、やっぱりスキーって続けてやるものですね。



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2009年01月12日

100日計画

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去年末に新たな政権政党となった国民党(National Party)は、政権取得後すぐに100日計画と言うのを打ち出した。

 

例えば以前に書いた雇用規制緩和策である90日試雇法案とかだ。

 

 

ニュージーランドでは経営者が若者の雇用を弾力的に行えるように雇用緩和を行ったが、日本ではその正反対に雇用規制強化に走っている。

 

それが結局失業率を上げて若年労働者をますます苦境に追い込むことは分かりきっている。

 

けど、世の中の殆どの人は感情で動くので「あらまあ、派遣の人が可哀相、正社員にしてちょうだい」と言う気持ちで雇用規制強化を訴えるが、経営者からすれば一旦採用すればクビに出来ない正社員など雇う気持ちはない。

 

だから仕事が増えれば現在の社員の残業を増やして処理するだろう。または丸ごとどこかの会社に委託するのみだ。いずれにしても雇用には繋がらない。

 

「破滅への道は慈善で満ちている」だったかな、そんな諺がある。要するに本人は良い事をやったり言ってるつもりだけど、それは結局破滅へ繋がるってことだ。

 

そういう事を言ってる人に限って自分が正しいことをしているって思い込んでるから処理に困る。

 

けどまあそれは今日の本題ではない。

 

今朝のニュースで「政府は100日計画とか言ってるのに、首相が休暇を取ってるじゃないか」って書いてた。

 

ジョン・キー首相はクリスマスからハワイに休暇で、戻ってくるのは14日の水曜日。

 

首相代行であるビル・イングリッシュも休暇を取っているが、携帯電話は繋がる場所にいる。(この携帯電話ってのが受けた。じゃあなんだ、首相はケータイも繋がらないの?)

 

要するに首相も首相代行も一ヶ月近く休暇で首都にいない状態。

 

そんな彼ら閣僚を「やる気がない!」と批判する前政権首相のヘレン・クラークも現在は欧州で休暇中。休暇先から連絡をしてきて「あんた達やる気ないね!」と言うのも笑わせる。

 

閣僚も休暇から戻り始めてるが、いずれにしても政府機能が回復するのは来週からだ。それまでは閣僚がウェリントンに戻ってきても、ビーチでごろごろするしかない。

 

首相の報道官は「別に大した事件もないし金融危機たってやることは全部やってるからいいじゃん、休んでても」てな感じのスピーチをした。

 

いかにもキーウィ、日本のように仕事がなくても夜中まで待機する霞ヶ関官僚が聞いたらどう思うだろうな。

 

「閣僚が全員戻ってきて閣僚会議を開くのは来週火曜日。100日計画で残されたのは後38日だけ。どうするの?」と言う記事の論調だけど、君ら新聞社の幹部もお休みしているんじゃないのかい(笑)?

 

いずれにしても今週は交通ラッシュは起こりそうにないニュージーランド。

 

記事の中で「冬の北半球の金融危機はゴードンブラウン英国首相やバラクオバマ次期大統領を忙しくさせている」と言う一文が面白かった。

 

いかにも「うち?ああ、それ程でもないよ」だ。

 

写真はビルイングリッシュ首相代行。



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2008年12月20日

Sunday Driver

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会社に行くときにいつも聞くラジオ93.4FMでこんなジョークを言ってた。

 

Someone driving slower than me, it stupid,

Someone driving faster than me, it Fanatic!

 

 

 このジョークのポイントは、俺より遅く走ればダサいし、俺より速く走ればキチガイってんだから、自分だけ正しいというところだろう。

 

たしかに君たち西洋人の発想がもともとそうだ。自分だけが正しい、他の価値観を認めないと言う意味ではまさにそのとおり。

 

あまり世界のバランスを考えずに自分の都合ばかりを優先する人種ですからね。ルネッサンス以降に始まった西洋の世界支配は実にバランスの悪いものだ。

 

でもって実際に日曜日に運転をするとかなりいらいらするのも事実。SundayDriver、週末のみの運転手ってのは平日感覚がないから「最高時速50km」と書いてれば本当に50kmかそれ以下で走る。

 

おまけに突然ウインカー(英語ではIndicaterという。知ったときはびっくりした。ウィンカーが正しい英語と思い込んでたのだ)も出さずに右折左折をするし、全然周囲の雰囲気を理解してない。おたくの農場を走ってるんじゃないんだからね。

 

50kmかそれ以下で走るのは合法だけど、それが秩序を守るという意味では決して正しくない。だって周囲に迷惑をかけるんだもの。

 

だってさ、郊外のゆるやかなアスファルトで舗装された一本道で周囲に何の障害もなくて前に誰もいないんだから、もうちょっと考えようよ。

 

スピード違反ってのは最高速度制限だけだけど、何で最低速度制限がないのか?

 

法律違反と秩序違反。この違いは社会に生きてる限り常に理解する必要がある。

 

とか考えてはいながら今日もりょうまくんを連れてプールに来ているのだけど、やっぱりキーウィは西洋人の中でもかなり礼儀正しいなと思わず考え直したりする。

 

なぜかって言うと駐車場の車の止め方。

 

このプールでは屋内プール以上の広いスペースを駐車場として取っているんだけど、週末はほぼ満車状態。出入り口は一箇所のみで、誰かが出ない限り駐車スペースはない。かと言って車間がそれほど広くないので出入りは大変。

 

そうなるとキーウィは駐車場の入り口の手前でハザードを付けて誰かが出て行くのを礼儀正しく待つ。

 

ところがあるアジア人(人種の特定は皆さんでどうぞ)の場合はそうやって待っている車を無視してずかずかと中に入っていき、出て行きそうな車を探してぐるぐるとうろつきまわる。

 

追い抜かされたキーウィはすんごい嫌な顔をするけど、決して車から降りて怒鳴る付ける事はない。

 

けどこのアジア人、これは実にみっともない。法律では私有地の駐車場であるからどういう規制もない。どういう順番で並べとも書いてない。

 

けどキーウィとしては全体のバランスを考えて一番みんなに快適な「入り口で待つ」という選択を自然に行う。これだと、一台出て行けば待ってる車が一台はいっていくということになる。

 

これが秩序でしょ。

 

ところがアジア人のやり方だと駐車場の中にガンガン車が入りこんでそのうち出たい車も出られなくなるということになる。つまり個人の利益ばかり考えた結果として社会全体が止まってしまうということだ。

 

法律に書いてなければ何をしても良いのか?ってことですね。

 

そういえばオークランド名物というか、この街の交通信号は良く壊れる。大きな交差点の信号が止まったりするが、そういうときでも交通渋滞が起こらない。

 

つまり四つの方向から来る車が常に自分の右側や左側の車の流れを注視して、ある程度溜まってるなと思うと自分で自発的に止まって、つっかえてる車の列を流してあげるのだ。

 

こういうのが何の決まりもない中で自然と行われるのがこの国だ。決してそれで「おれ、やさしいでしょ!」なんていう事はない。それが国民性の中に完璧に根付いてるから、譲るほうは平常心だし譲られるほうはにこっと笑って手を振って「Thanks!」である。

 

法律では絶対に対応出来ない世界がある。その時にこの国の持つ「コモンロー」と言う考え方が生きるんだな、そう思った。

 

文章化された法律よりも、その場の空気を読む力、それでいて各人の自由はちゃんと認めてる。西洋人の割にはよくやるじゃん、この国。

 

 



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2008年12月18日

2009年

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何となく来年のニュージーランドの流れが見えてきた。

 

と言うのが日本から戻りオークランドでビジネス現場の経営者連中と話をしたり銀行やファイナンス関係の人たちと話をしていると、その流れがほぼ一致しているのだ。

 

2009年前半は不動産が底をついて後半に入ってから経済もやっと安定するだろう。金利もそのあたりが底だ。その底とは4%程度。

 

来年9月頃から景気が戻り始めて、本格的に再活動するのは2010年から。そして経済が元に戻り始めて不動産価格は上昇を始めて、2012年頃には2006年頃の景気のよさを取り戻すだろう。

 

その頃になったらキーウィは「おお、景気いいぞ!」と、つい数年前の不景気をすっかり忘れてまたはしゃぐんだろう。

 

けど、だからと言って別に今のNZが他国ほど景気が悪いわけではない。実体経済としては北半球に比べてかなりしっかりしている。

 

銀行もダブルAを持ち、金利も世界に合わせて調整しているけど、それは不動産購入者を助ける為に役立っているくらいだ。ある意味うまく立ち回っている。

 

勿論手を広げすぎて潰れる連中は自己責任。けど一般の、真面目に働いているサラリーマンは救いますよ、住宅金利を下げることで。そして銀行の決済システムはきちんと稼働している。

 

この国は食料を生産している。自給率が大雑把300%の国である。水力と石炭だけで国家の電力全てを賄っている。この強みは、本当の恐慌になって都会に食い物がなくなった時に初めて分かる。

 

所詮世の中に100%の安全なんてない以上、食い物があり比較的に安全と言うだけで立派なもんだと思う。

 

そして何よりも大事なことは、国民が不安を持っていないということだ。不況は人々の心から始まる。そこの部分でこの国は実に強いのだ。

 

来年この世界がどう動くにせよ、どうやらニュージーランドは問題なくやっていけそうだ。

 

気楽なこと言うなって?けど気楽なことを言うところから人々の希望が生まれてくるんですよ。



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2008年12月17日

たった2週間で

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日本から戻ってきたら、真夏のオークランドはもうしっかりクリスマスモードだ。

と言う意味は別に道路にクリスマスの飾りつけが増えたというわけではなく、道路を走る車の量が目に見えて減少しているという意味だ。

 

この街は朝シティに向かうハイウェイの交通量でその日がどういう日か分かる。

 

例えば月曜の朝。 土日にゆっくりと魚釣りを楽しむキーウィは、日曜日の午後に釣りそこなった大きな魚に再挑戦するために、月曜日の朝8時過ぎに会社に電話する。そして死んだはずのおばあちゃんが危篤になったりする。

 

これを地元の言葉でBLUE MONDAYという。

 

労働感謝の日とかイースターなどの連休の前後は、おいおい休みはまだ始まってないぞって感じのあたりから車の量がめっきり減る。

 

そして父親の休みに全く関係ない子供の休みの期間中、スクールホリデイの前後も車の量が減る。あの、お父さん、この休みは子供向けなんですけど、思わずそう聞きたくなる。

 

そしてクリスマスとお正月を挟んだ期間は、一年のうちで最も高速道路が「がらがら」になる時期であろう。

 

気持ちの良い乾いた空気の夏の朝9時、全然渋滞のない高速を、ニュースを聴きながらシティに向かって車を走らせる。

 

こんな朝はニュースの後に「TheBand」が合う。最初に聴くのは勿論weight

 

のんびりした青い空気の中でコーヒーマグを片手に、少し後ろに体を傾けて空を見ながら土の匂いを楽しむ、そんな朝である。

 

けどこっちは車を運転しているので空を見てると事故る。なので正面を見ながら座席だけ少し倒して窓を開けて気持ちよい風を入れながらドライブをたのし・・仕事に行くんだっちゅうに。

 

自分の気持ちを引き締めないと思わず出勤途中ってのを忘れてしまいそうな、そんな朝は気持ちよい。

 

今年もあと一週間で終わり。なんだけど日本から戻ってこっち、来年の企画に没頭している最中。

 

来年はいよいよ法人向けの営業体制を構築する。非上場オーナー系企業に対するビジネスコンサルティングである。かなり方向性も見えてきた。具体的な計画も見えてきた。

 

あと一歩。

 

橋事故写真は11月に撮って溜め於いてた写真の一枚。ある日のハーバーブリッジでの事故処理です。

 

ビジネスも運転も、よそ見してるとこうなりますぜ。

 

自分で商売していると誰もあなたに忠告しないから好きなことばかり出来るけど、それで自分を見失う人がどれだけいることか。

 

ちゃんと周りを見て先を見てしっかり本業の未来、見つめましょうぜ。だって失敗して苦労するのは結局本人なんだから。

 

 



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2008年12月13日

90day hire-and-fire bill

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国民党に政権が移ってどうですか?と聞かれることがある。僕の答えは「良かったですよ」だ。それは移民政策だけでなく経済政策において経営者の立場を理解した施策を行ってくれるからだ。

 

元々この国は社会主義国であり労働者が充分に強いし、経営者だって元々は労働者で、だから殆どのまともな経営者は労働者の事をきちんと扱っている。

 

けど、この国では労働党政権下では経営者が不当に低く評価されたり、苦労するだけで利益はすべて労働者に回ったりなど、どうしても働く意欲が下がってしまう。

 

そこで早速新しい法案が国会で可決された。

 

90日採用解雇法案とでも言うか、90day hire-and-fire billという名前で、要するに経営者が自分で雇った社員を90日以内なら自由に余分な費用なしで解雇出来るという法案だ。

 

野党である労働党は勿論反対している。

 

けどこの法案は、中小の経営者にとっては朗報であろう。これで雇用の自由度が生まれる。人なんて採用してみないと優秀かどうかなんて分からない。だから採用して見てダメなら切る自由は、経営者には必要。でないと萎縮してしまい、人なんて雇えない。

 

ここで問題になるのは、そうすると今の日本のように失業者が増えるという論点だけど、これはブログに書くには長すぎるネタなので簡単に言う。

 

経営者の経営の自由度と雇用問題を同次元で扱ってはいけない。国が継続的に発展していくには経済活動が必要だしそれを支えるのが企業で企業を作ったり発展させたりするのは経営者の仕事。その結果として雇用が発生する。

 

だから無意味な雇用や生産性のない労働者を採用するとか会社の経営方針を守らない人々が会社にいては経営の生産性が低下する。

 

そのような人々を「一旦採用したから」と言う理由だけで首に出来ないなら、そんなリスクのある商品は買えない。例えて言えば、企業が購入した新型機械が全然使えなかったら当然返品して必要に応じては賠償請求をするだろう。

 

ところが人間と言う商品だけは返品も出来ずずっと使い続けなければならず、万一返品(解雇)しようとしたら目の玉が飛び出るような賠償金を払わねばならないのだ。そんな不合理がどこにある?

 

その結果として経営者は採用をしなくなり、かえって失業率は高まるし、優秀な人間がその国の法律の不平等の結果として採用されなくなる。これは社会全体の効率から言ってマイナスなのだ。

 

使い物にならない労働者の仕事がなければ、それは国民であり国家が何らかの形で富の再配分をすれば良いのであり、生産性を求める企業に対して雇用保証を直接要求するのは全く筋違いである。

 

これは国民と労働者、または労働力の区別が出来ない感傷的な連中が採る「だめな政策」であり、部分の無謬を全体の誤謬にしている典型的な例だ。

 

けど、雇用契約書の書き方も知らない多くの日系企業には意味不明な話だろう。何故なら彼らは最初から雇用法を理解していないからだ。

 

一度くらい労働調停所に行ってみろ!

 

日系企業の社長と呼ばれる連中にはニュージーランドに住んでいながらNZの本当の生活を知らない人が多すぎ。

 

そういう人たちが親からもらった金で会社を作り何故か肩書きだけ「社長」と付けてNZ擬似生活を喜んでる、子供の運動会レベルである。

 

けどまあそれは今回の趣旨ではない。

 

ポイントとしては、民間企業上がりの首相が早速経営者向けの政策提案をしたってところかな、この法案。

 

期待させてもらいますよ、国民党。ぼくの一票、家族全部を合わせれば3票入れたんだから。



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2008年12月12日

Mellisa Lee

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いつもの如くNZdaisukiからのコピー。

 

韓国人MP (MPとはMember of Parliament, 憲兵ではない)

 

 国民党で出馬し初の議会入りとなった韓国人議員が、ニュージーランドに住むアジア人に対し援助の気持ちが無い人々がニュージーランドにいると非難した。

 アナウンサーであるMelissa Leeさんは国民党として議会入りし、議会における最初の演説でニュージーランドファースト党が居ない議会を歓迎した。 

 彼女は議会に対し、ニュージーランドファースト党は単に人種の違いを理由に彼女のような人々を嫌うメンバーによって支持されている。アジア人がニュージーランドで暮らしやすくする為にも、このような人種差別的な見方を変えていく必要があると話した。

 Lee氏は韓国生まれだが自分自身をニュージーランド人だと思っており、もちろんニュージーランドのパスポートも持っている。ただ、肌の色だけのために、Lee氏をキウイと認めてくれない人々が居ると話している。

 

コピー終了

 

援助の気持ちがない?英語をどう翻訳したのだろうか?よその国から来た移民がその国の国民に何か援助を期待しているのか?それは世間一般では乞食というのではないか?このサイト、時々日本語がおかしい。「火災が消化した」とか。

 

母屋は自国民がゆっくり寛ぐ、移民は軒を少し貸してもらって、そこで自分が頑張って新しい国の為に頑張る、それが本当ではないのか?頑張っていつか自分で自分の家を買い、この国に当然のことながら感謝の気持ちを持ちながらも次第に先住の人々たちとの距離感を縮めていく、そして子供の世代になってやっと同等の距離感になる、それが普通ではないだろうか。

 

ただ忘れてはいけない。キーウィにとってはここだけが彼らの土地だけど、僕らには常にもう一つ故郷がありもう一つ言葉がある。その強みの大きさは移民のみに与えられた特権である。

 

だから援助なんて言葉はどうしても馴染まない。この国で子供を学校に通わせているけど、毎月きちんと納税しているし雇用も生んでいるしこの国に新しいビジネスをどんどん送り込んで経済の活性化にも務めている。それが本来の移民だろう。

 

けどまあ言いたいことは分かる。たぶんこれは翻訳の間違いだろう。そう思ってYoutubeでMellisaLeeを検索したら、彼女の国会での演説の様子が出てた。

 

彼女はなんと演説でチマチョゴリみたいな服を着ているけど話の内容は分かりやすく韓国人でNZ国会議員となった第一号だから、非常に声が力強い。もし日本人女性が例えば米国で議員になって初登場の場で和服を着て出たらどんな感じだろう。

 

でもってその話。結果、「援助」ではないね。新しい国民になろうとする人たちへの「受け入れる気持ち」を持ってほしいということ。

 

今ニュージーランドではアジア系の国会議員が二人いる。ここに書いた韓国系のMellisaと中国系のパンジーウォンだ。両方とも女性ってのが21世紀らしくてよい。いよいよ首から上の能力で世の中が動くようになった証拠だ。

 

実際にNZファーストのバカらしい主張は何時聞いても呆れるようなものだ。

 

特にそのキーパーソンとなるウィンストン・ピーターズは東欧移民ばかりが働いてるイタリアンレストランで美味しいピザとイタリアワインを楽しみながら移民反対と言ってるような人間だもんね。(数年前に彼がそのレストランでとなりに座って移民のことぐだぐだ言うのを聞いたことがある。)

 

彼らは何を話すにしても常に論理的に破綻しているのだけど、彼らを支持する少数の人々の脳みそは彼ら以下なので、破綻に気づかないし考えもしない。

 

毎日ビールが飲めて週末にBBQが食えればそれでよい、金は政府がくれるし病気になれば政府が治療してくれる、日本人が苦労して南洋で獲ったマグロに「マオリ税」をかけて日本政府から金をむしり取り自分では何もしない、こんな楽チンな生活を捨てることの出来ない連中がNZファーストの支持母体なんだから日教組も真っ青、「親分、そんなうまい方法があったんすか!?」って感じ。

 

移民に対しても何も考えない小学生以下のレベルであるし、子供が自分と違う動物を恐れるようなレベル。

 

例えばクイーンストリートで薄汚い服装で昼間からラリッて数人でつるんで道路を目一杯広く歩いて、ほらよくいるじゃん、肩をいからせて帽子を反対にかぶって頭にフードを載せて頭を上下左右に振りながら自分が一番いけてると思い込んでるバカ連中、あーいう連中が普通に昼間歩いてるアジア系の女性に向かってすれ違う瞬間に「ハカ」の踊りのような、目をむいて舌を突き出して「げ〜!」とやるんだから、こりゃもうバカとしか言いようがない。

 

そんな時にそんな場面を見かけたネクタイをしている白人ビジネスマンからしたら、恥ずかしいばかりである。時にはびっくりして座り込んだアジア系女性を「大丈夫、あんなのばかりじゃないかれね」と救ってる男性を見かける。

 

そう、こういう白人が国民党に投票して、経済もビジネスも知らない教育のない連中が暴力団的に集まって利権ばかりむさぼっている(日教組ではないですよ)のがNZファーストを支持しているのだ。前回までは国会で7議席を確保していたが、今回は選挙区選挙で全滅、全員落ちておまけに比例代表でも得票数不足で議席を取れず、国会での議席はゼロとなった。いいこっちゃ。

 

殆どすべての日本人と多くの韓国人、そして中国人の7割くらいは一生懸命働いてるし納税もしているし、真面目に商売をやっている。政府の援助にぶら下がろうと思って移住してくる人など3割程度の中国人くらいだ。

 

この国が抱える一番の問題は、実は全く労働意欲を持たないマオリ及びパシフィックアイランダーなのである。この事実は人種差別に繋がるから誰も決して大きな声ではいえないが、普通に常識と仕事と家族を持っている人間であればほぼ間違いなく共有している認識である。

 

普通に調査すれば分かることで、だれが政府給付の住宅に住み、誰が就職率が低く、誰が刑務所の中で大多数で、誰が毎年時々起こる殺人事件の主な犯人で、誰がショッピングセンターで泥棒をして逃げ回ってて、それは決して彼らが機会の平等に恵まれなかったのではなく彼らの民族的な性格の問題なのだということ。

 

ニュージーランドは世界でも珍しいくらいに人々の機会と結果の平等を推進している国である。米国黒人のような機会の不平等は殆ど存在しない。マオリに限って言えばむしろ彼らは逆平等なくらいに恵まれている。

 

それでいながらそのような機会を自分で生かそうとしないのは積極的に何もしないという、何もしなくても生きていける南太平洋で生まれ育った環境の持つ遺伝子なのだとしか言いようがない。

 

そういえば数週間前に帰宅途中に寄った中国スーパーでレジに並んでたら、薄汚い格好のアイランダー系の中年女性が大麻で「らりった」顔で、そこにいる若い中国人に向かって「きさまら、出てけ〜」と自分は中国製の安い商品を手に持ちながら騒いでた。

 

勿論そこにいた若い中国人はネイティブな英語で「うるせ^、このホームレスのくずやろう!」と怒鳴り返してた。

 

いずれにしてもニュージーランドの国会は一院制で定員は120名。今回は122名。これはその年の有権者の数とかなんちゃらの計算方式で変わる(これを調べるのにかかった時間は2分・インターネットはすごいと再自覚)。投票率は毎回80%程度。

 

このうちの二人がアジア系でありNZファーストはゼロ。この国が変化しているのを肌で感じます。

 

経済は三流でも政治は一流。昔から田舎の国ですが、政治は三流、経済も三流になった国よりも未来が明るい気がするのは僕だけか。

 

ちなみにニュージーランドで初めて総選挙が行われたのは1853年、ジョージグレイの時代。日本はまだ江戸幕府でしたね。



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2008年11月26日

On Billborad

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この写真の主、工事現場の人のように見えますが、そうではありません。

 

屋根に取り付けてある変圧器(この場合はこの訳で良いのか?transformer)をかっぱらって行く泥棒の写真です。

 

屋根の上にいる不審な人間を見かけた近くの住人が写真を撮り、それを警察に渡した。写真は被害主によりオークランドの街中に大きな広告として掲載されることになったという次第。

 

「こいつを見つけたら500ドル」だそうですが、広告費用を考えて見たら金額的に合うわけない。けど被害主からすれば金の問題じゃない、「ふざけんな!こんな街にシテタマルカ!」という意見表明かもしれません。

 

 

A photo of a suspected thief has been plastered on billboards throughout Auckland to help police catch him. The man is believed to have stolen 15 transformers attached to a neon sign on the corner of Cobden St and Karangahape Rd on October 12.

 

Unfortunately for him, he was photographed by a witness who thought the removal of the transformers was suspicious and handed the pictures to police.

Sergeant Roy Simpson said the owner of the transformers, valued at $5000, published the photos in an attempt to identify the thief and recover them.

 

"The photographer has been able to provide excellent evidence," Mr Simpson said, "and it's only a matter of time before the man in the photo is identified."

 



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2008年11月14日

健康診断のお知らせ

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そっか、もうそういう季節か。

 

会社でこの季節に定期健康診断を導入したのは3年くらい前か?日本だとごく当たり前だけど、ニュージーランドでは予防という概念がないから当然病気になる前の健康診断という考え方もない。

 

だもんで、思いっきり好きなもん食ってそれで病気になったら公立病院で治療の予約をしな。そしたら半年くらい先になったら診てあげるよ。あ、でもその時に薬とか不足してたり俺が魚釣りに南島に行ってたらその治療は後回し、さらに半年後ですね、みたいな感覚である。

 

でもって半年とか一年経つ頃には本人のガンもなんちゃら病も思いっきり進展してて治療のしようもない。それで「治療不能、はい、さよなら」です。

 

これは極端な書き方だけど、医療を考える時には「治療が必要かどうか?」も本気で考える必要がある。

 

無駄な長生きに何の意味があるのか?PPKと以前書いたけど、PぴんPぴんしている人がある日寿命を迎えて、友達や家族に看取られながら「じゃ行ってくるね」って、Kころりと亡くなる。これが理想ではないか?

 

そうなるとその延長線で出てくるのは、肉体だけを生かす治療が必要なのかどうかってこと。

 

最初に予防的健康診断を導入したとき、これ、取引先なのにそのお医者さん、こっちの意味が分からずに「病気でもないのに何で病院に来るんだ?」と疑問マーク飛びまくる。

 

日本の予防医療を説明すると、どうしても理解出来ない様子。病気になって医者に診てもらうんだろ、何で病気になる前に医者に観てもらうんだい?となる。

 

予防と発病後の費用を見れば予防が安い。けど元々、人間なんていつかは寿命が来るものだ。それを無理やり長生きさせてどうするのか?

 

長生きさせる費用を考えれば、こりゃあ政府が負担するよりは本人が負担すべきでは?そういう発想から後期高齢者なんちゃら制度が出来たのだと思う。純粋に費用対効果で考えた場合、政府が集めた皆さんの税金、例えば10億円を75歳以上で寝たきりで言葉も話せない人の延命の為に使うのか、それともその10億円を子供の教育費用としてすべての学校にパソコンを導入するのか?

 

皆さんならどっちを選びますか?

 

恐らく寝たきりの人を抱えていれば「あんた、何て残酷なことを!」となるだろうし、子供を抱えている親からすれば「そりゃあさ、子供のためにパソコンがあるといいよね」となるだろう。

 

問題はその時に両方が正面からしっかりと向き合って、どっちに自分の税金を投入するのが正しいのか、死ぬって何なのか、そういう事を議論すべきだってこと。

 

姥捨て山だって、その存在を一概に否定するのではなく、その歴史的背景を考えた上で現代にどう反映させるか、そういうことを厚労省だけではなく国民全体が痛みを分かち合った上で議論すべきではないか?逃げは結局痛みの先送りにしか過ぎない。政府に文句言ってる場合じゃないでしょう、あなたの問題なんだから。

 

言っては悪いけど消費者はそういう問題に甘えている。何かあれば政府に金を出せと要求するくせに、自分は苦労しようとしない。痛みはよそで、こっちは甘みだけちょうだいという事だ。

 

そりゃとおらないですよ、痛みも甘みもセットなのだから、少なくとも今の医療行政においては、消費者であり介護者である皆さんが、きちんと「命ってナンなのか?国民の義務ってナンなのか?」を語らない限り、政府が何をやっても無意味です。

 

自分の命、延命したいですか?それともその金があれば子供の教育に使いたいですか?

 

きちんと自分で結論出して見ればどうですか?



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2008年11月10日

総選挙、終了

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国民党の勝利で選挙は終了。

 

国民党は122議席のうち59議席を獲得した。これに元々連立を予定してたACTの5議席とUnited Future 1議席を合わせて65議席で過半数を確保。

 

 

ニュージーランドは一院制で議席は本来は120議席なんだけど今回は小選挙区比例代表制のなんちゃらかんちゃらがどうしたこうしたとかで2議席増えてる。計算方法はよく分からん。

 

てか、ACTとか日本語で何と訳すのかなと思ってたら、読売新聞で記事が出てたのでぱくる。

 

「国民党59議席、消費者・納税者同盟党5、統一未来党1」

 

なるほど、こうなるのか。

 

労働党は43議席、ヘレンクラーク党首は労働党党首を辞任。お疲れ様でした。多くの男性有権者には嫌われてたが指導力はあったと思う。やってることは党全体のバランスを考えた結果として好きではなかったが、国が持つ指導者の一人としてはデビッドロンギやジムボルジャーあたりと比較出来る。

 

NZファースト党が5%取れずに退場!ウィンストンピーターズも辞任!よっしゃ、今日はこれが一番うれしいかも。こいつ、とにかく小沢みたいな感じで好きではなかった。政策提言も出来ないし他人のやることに文句言うしか能がなくて、何よりも自分がマオリってことを逆利用して票集めしてるんだから、政治家ではないね。

 

クライストチャーチでは1996年以降労働党(Labour)の票田だったのが、今回は国民党(National)の勝利。なるほど、これでやっと暗いストチャーチも明るくなるかも。あそこの労組連中、人の足を引っ張ることしか考えてないような連中だったもんな。今でも忘れないぞあの事件って感じ。

 

ちなみに僕の選挙区「ノースコート」でも国民党のジョナサンコールマンが圧勝。労働党に二倍の差をつけて18,271票の得票。

 

ここから先は読売新聞の記事抜粋です。

 

国民党は、大幅減税や通信分野の大規模な公共事業など景気刺激策を発表。キー党首はメリルリンチ幹部出身の経歴を前面に出し、「経済運営への自信」をアピールしたことが奏功した。同国では今年に入り、物価上昇と景気後退が同時に進むスタグフレーションへの懸念が高まり、10月初旬、来年度以降の財政収支が労働党政権発足以来初の赤字に転落することが判明していた。米大統領選挙でのオバマ氏の勝利も、若さと変革を旗印にした同じ47歳のキー党首への追い風となった。

 

クラーク政権は1999年以来、前政権まで続いた急激な行財政改革を軌道修正。民営化された鉄道や銀行を再国有化したほか、福祉や教育を重視するなど財政拡大路線をとった。これに対し、キー党首は「政府機能を縮小し、財政支出を減らし、個人の事業意欲を高めたい」と述べるなど、新自由主義的な経済政策への復帰を示唆してきた。だが、金融危機の影響拡大が懸念されることなどから、クラーク政権が導入した社会主義的な年金や教育、福祉などの重視政策は改廃せず、向こう3年間据え置く方針を打ち出し、広範な支持を集めた。首相の正式就任は22日以降になる見込み。

*抜粋終了*

 

なるほど、本職の記者が書くとこうなるのね。

 

国民党が中道右派で労働党が中道左派なのか、ほう、こんな言い方も考えたことなかったな。

 

けど、たしかに両方とも中道だよね。その中でちょいと労働者に傾いてるのが労働党で、自営業とか経営者に傾いているのが国民党って評価ですか。

 

でも、どちらの党にしても「社会主義的な年金や教育、福祉等の重視政策」は大事にしているわけで、それだけで国民としては安心だ。どっちに転んでも、少なくとも国民を痛めつける政策は取りませんって言ってるんだから。

 

「社会主義的」であるかどうか、社会主義が良いかどうか、そんなのは政治学者や経済学者が大学の壁の中でわーわーやってりゃいい。

 

毎日生活をして働く僕らからすれば、社会主義であれ何であれ老後の年金(僕は貰う予定はないが)や子供の教育(これには本当に感謝)や福祉(医療、生活保護)をきちんとしてくれる政府が、僕らの支持する政府なんだから。

 

 



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2008年11月08日

青空、総選挙

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 久しぶりの抜けるような青空、僕は昼過ぎに一人で投票会場に行った。18歳のみゆきと奥さんは他の用事があって出かけてて、そのまま先に選挙に行った。

 

「ねえねえ、この名前、香港系の中国人みたいだから、この人に入れましょうか?」なんて二人でやってる。

 

総選挙には日系候補者がいないので、僕は名前で選ぶことは出来ない。

 

けど僕は元々国民党(National Party)の経済政策の方が好きなので今回は国民党にマルするだけ。あ、正確に言えばマルではなくチェックである。左上から下げて右上にはね、ですね。

 

べつに勝ち馬に乗ろうというわけではない。

 

経営者も労働者も本来平等であり、経営者が頑張って商売を伸ばせば雇用も増えて、その結果失業率も下がり政府の税収も増える。そのためには経営者にある程度の自由を与えてくれる国民党の政策の方が正しいと思ってるからだ。

 

労働党の場合は、その名前のごとく労働者に手厚い政策を採用して、それはとても大事なことだと思う。だって世の中の10人に9人は労働者なのだから、彼らの基本的な権利を守ることが社会全体の安定に繋がるからだ。

 

ただ、どうしても西洋人の場合は「俺かお前か」というところがあり、両方が手を組んで仲良くしようという発想にならない。もっと言えば、せっかくバカみたいに一生懸命馬車馬みたいに働く経営者という「金の卵を産む鶏」を潰してまで目先の利益を取ろうとするところがある。その結果誰も利益を生む活動をしなくなって社会全体が停滞するとしてもだ。

 

あふぉみたいに働く経営者はうまくこき使ってしまえば良いのだが、労働組合ってのは企業が存在するから派生的に存在するってことをいつの間にか忘れて、労働者の代表は自分で何も苦労せずに経営者よりも上の視線で話をしようとするし、それを守ろうとするのが労働党なんだから、こりゃ自分の立場が何であれ、好きにはなれない。

 

外交や軍事、移民などに関しての考え方は国民党も労働党も殆ど同じなので、違いを見せるとすれば労働政策や経済政策が中心となる。

 

だもんでここ一年くらいは労働党の組合重視政策が歓迎されずに国民党に支持が傾いていた。

 

若いときに共産主義に燃えなければ情熱がない証拠だし、年を取っても共産主義を信奉してりゃ、そりゃバカだみたいなことを英国元首相のチャーチルが言ってた。

 

共産主義をバカとは言わないが、その中には実にたくさんの素晴らしい要素があるが、人間が不完全である限りたどり着けない思想なんだから、現実路線としては共産主義以外を選択するしかないだろう。

 

なんてことを考えながら、りょうま君が通う学校に行く。僕の家の近くの投票所がここだから。

 

昼過ぎとは言いながら選挙会場にいた選挙民は10名ちょっとくらいか。ボランティアらしい選挙管理者たちが僕の投票カードを見て選挙人名簿を消しこんでから投票用紙をくれる。

 

ニュージーランドは日本と同じく小選挙区比例代表制である。

 

なので、まずは左側の政党を選ぶ欄にチェックを入れる、国民党、と。でもって右側には僕の選挙区の候補で国民党候補にチェック。

 

この人どんな人かよく知らないけど、選挙ってのは政党で選ぶんだから、よほどその候補を個人的よく知ってて昔女を寝取られたとかあのやろう高校時代のラグビーで俺の脚にタックルしやがって、こっちゃ大怪我だぞとか、そんな個人的な恨み?がない限り投票するだろう。

 

でもまあ狭いニュージーランドであれば地縁血縁もあるんかいなとか思いながら、隣の韓国人らしきご夫婦と肩を並べて投票用紙に記入。

 

一人づつのボックスなので正確には肩を並べたわけではないけど、彼らは誰に入れタンかな。

 

そんな事を思いながら、投票所入り口のボランティアのお姉さん(見かけは40代半ばだけど雰囲気はばりばり若くて、あたし現役で人生楽しんでる!って感じなのであえてお姉さん)に、「じゃね!」と挨拶して投票所を出る。

 

車を回してガソリンスタンドに向かおうとすると、さっきの韓国人夫婦が横断歩道を仲良く渡ってた。

 

青い空。仲良い夫婦。にこっと笑ってる投票所のボランティアさん。

 

家に帰って奥さんとみゆきに「結局その中国人に入れたの?」と聞くと、「何だかさ、よく見たらファミリーパーティとかで、政見見るとあんまりよくなさそうだからやめたわ」だって。

 

さ、明日もこんな世の中が続くように働こう。あふぉな経営者は働くしか能がないしね。何となく経営者って、猿回しのサルのような気がするのは、俺だけか?

 

写真はその後にLPG(プロパンガス・家は調理はガス)を充填に行ったいつものBPです。ちなみにガスだからと言って火力が強いわけではないのは、家だけか?

 

 



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2008年11月07日

焼き討ち

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「殿、謀反で御座います!」

そんな言葉を放つ間もなく屋敷に花火が撃ち込まれた。

 

花火?

そう、今日からガイフォークスデイ。

 

 

花火解禁でまたも消防署が一年で最も忙しい時期になり、一晩中どこかの家が焼き討ちに遭って丸焼けにならないように見張るのが仕事という、それってどうなん?なガイフォークスデイが始まる。

 

1605年、当時の英国国王は英国国教会を優遇しカソリックは弾圧されていた。

 

それに激怒したカソリック教徒ガイフォークスが国王の参加する議会の開会式を狙って議場を火薬で焼き討ちにしようとした結果は事前のチクリで失敗。結局彼は政府によって首吊り、内臓掻き出し、心臓抜きの上に肢体ばらばらで処刑されたのだが、彼が望む焼き討ちという分では大成功したのではないか?

 

何故なら彼が処刑になった1605年から今日まで約400年間、一体どれだけの英国国教会の家が「ガイフォークスデイ」の名の元にキリスト教社会で焼き討ちに遭っただろう。

 

ただそれもカソリックの手にかかって焼き討ちにされた英国国教会の家もたくさんあるだろうが、信者分布からしてそれと同じかそれ以上の英国国教会以外のクリスチャンの家が焼き討ちに遭ったことは明らかである。

 

少なくともニュージーランドの信者数を月刊NZの資料で見てみると、400万人の人口の半数がキリスト教で、国教会が17%、カソリックが14%、長老派が11%だとのこと。

 

だからまあ、こうなると乱れ打ち、プロレスで言うと各チーム3人づつ参加型のバトルロワイヤルではなかろうか。

 

毎年この季節になると、最後の一軒が焼けるまでやり続けるのか、思わずそう思ってしまうほど、あちこちの家の屋根に打ち上げ花火のカラが落ちてくる。

 

だってさ、目の前森林だってとこに住んでる人でさえ自分の家のまん前で空高く真っ直ぐにロケット弾打ち上げて、片手にビールではしゃいでいるんだから、こりゃもう焼けるしかないでしょう。

 

日頃森林沿いの道路を走ったら「たばこのポイ捨て禁止」って書いた標識が出てるのに、市街地の焼土作戦はOKなんですかい?

 

もちろん政府も手をこまねいて喜んでいるわけではない。保険会社からすれば、バカ騒ぎを越した話である。法律で規制したくなるのも当然で、はい、毎年規制をやってます。

 

しかし、上が政策を作れば下は対策、あ、これは中国や日本などの社会主義国家だ、上が作った政策など無視してバンバン花火を打ち上げるのがキーウィ精神。

 

家が焼けようがどうしようが、毎年このどんちゃん騒ぎは続くのですから、初日の昨日はドキドキものでした。

 

そういう僕らの祈りが通じたのか、昨日は花火が打ちあがり始めると共に雨が降り出し、これこそ恵みの雨!って感じですね。

 

ニュージーランドが自由な国であるのは大事なんだけど、それはあくまでも他人に迷惑をかけないことが前提。

 

ピハビーチで溺れてビーチセーバーに救助してもらうのは、これは自己責任だし楽しんだ結果として自分が溺れてるんだから仕方ない。けどさ、花火は他人の家を焼くことが基本なので、やっぱり無責任で危険でしょう。

 

むしろ折角花火をしたいなら、きちんと花火が出来る場所を作ってみんなで打ち上げ花火大会をやった方が、よほど生産性も安全性も上がるし、うまくいけばこれがオークランド名物ってことで売り物になるかもしれないではないか。

 

それこそハーバーブリッジの上で花火並べて、四つ裂きにされて血だらけになったような真っ赤な花火が飛べば「ガイヤ〜!」とか、首を釣られて青い顔をしているような真っ青な花火が飛んだら「フォークスや〜!」とか、みんなで海岸にござをひいて眺めればいかがなものか。

 

 



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2008年10月15日

同じときでも違う場所ではこんなこともある。

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次のニュージーランド公定歩合見直しは10月23日だけど、今んところアラン・ボラード中央銀行総裁は強気なようだ。

 

前回の利下げに十分効果が出ており、満足ってな発言をしている。もしかして下げないままにいくかも。でもまあお隣の豪州が利下げをやったんで、いくらかお付き合い利下げは出てくるだろうが、読者からのコメントを読む限り0.25〜0.5%の間だろう。

 

The Reserve Bank won't make an early cut to its interest rate, but is taking action to ease movement of money in the financial system.

 

Governor Alan Bollard yesterday ruled out an early review of the official cash rate, saying the New Zealand financial system was working satisfactorily and moves to help it over the past year had been "sufficient at this stage".

 

The bank is due to review the cash rate on October 23.

 

Should Alan Bollard cut interest rates again? By how much? Here is the latest selection of Your Views:

 

14Oct 08  New Zealand Herald

 

そしてまた、BNZにも資産状況を問い合わせてみたが、下記の返答が来た。

 

今回の政府のスキームに参加する予定である。BNZは2008年9月の評価でもAAを取得しており、これはトップ健全グループ28行の中にふくまれている。親会社のNABもAAだ。

 

という事で、勿論自己申告ではあるし、所詮は吹けば飛ぶようなちっちゃな銀行ではあるが、今回は吹かれても飛ばされずに、柳のようにしなやかに対応したと言える。

 

添付ファイルは世界大恐慌時代のNZD:USDの比較表です。

 

Yes, We have already applied 'Deposit Guarantee

Scheme', no worries!

 

BNZ is well capitalised and we are required by the Reserve Bank to hold minimum levels of capital. BNZ holds well in excess of the minimum requirements with more than NZ$5 billion in capital on hand.

 

NZ is successful and profitable and we continues to perform successfully and profitably. We have strong risk management and processes in place to ensure our continued stability.

 

BNZ is AA rated by Standard and Poor’s which was confirmed in September 2008. This rating puts BNZ in an elite group of only 28 banks that are AA rated or better and means we have a very strong ability to repay the principal and interest in a timely manner.

 

Our parent company National Australia Bank (NAB) is also AA rated and has one of the strongest capital backings in the world with more than AUD $600 billion in assets. NAB is committed to BNZ as a core part of the Group.

 

Kind Regards!



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2008年10月05日

Snow Brand's Milk

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[日本の酪農会社、厳しい質問を提起]

 

  日本の大手酪農会社「SnowBrand‘s Milk Products」」は毎年14M(約10億円)分のチーズや牛乳をNZ企業であるフォンテラから購入してくれる。

 

が、今回彼らが提起した質問は、「フォンテラから輸入した商品の中に三鹿や中国から来たものは混ざってないか?」だった。

 

オークランドで開かれたフォンテラとの会議では本来の議題ではなかったにも関わらず提起されて、フォンテラが説明を行った。

 

この会社は「フォンテラの中国における状況を聞いたと同時に、フォンテラがNZから輸出しているすべての商品はNZで作られてそのまま日本に送ったものであると説明を受けた」

 

「我々はこの問題についてフォンテラ側から回答を貰い、これからも取引を続けていく予定だ」とスエヤスリョウイチジェネラルマネージャーが語った。

 

この会社は2000年に1万5千人の食中毒問題を起こし、それ以来当然であるが非常に食中毒に対しては敏感になっている。

 

と、ここまでは何気なしに読んでたフォンテラの記事だった。

 

フォンテラはニュージーランドで最大級の酪農会社であり元気がある。その元気で勢いをかって中国の三鹿(サンルー)に出資したのだが、その矢先にメラミン中毒を発生させてしまい、今はトラブルの真っ最中で、下種な言い方をすれば「ケツについた火」を消すのに大変である。

 

「ほ〜、この会社、どこだ?一体誰が交渉の最中に全然違う話持ち出してんだ?」とか思ってよく読むと、あれ?雪印かい。英語ではSnowBrandと書かれていたのであまり気にしなかったけど、なるほどな。日本人らしい。

 

通常のビジネス交渉の最中に全然違う話を持ち出して「ところでオタクの製品は大丈夫?」とやったわけだ。

 

まあ普通に考えれば中国で集めた酪農製品をわざわざニュージーランドに持ってきて、それをさらに日本に向けて売るってのも考えづらい。

 

けど、食の安全という点では非常に厳しい基準を持つ日本だから、あり得ないケースも想定することになるのだろう。とくに雪印であれば、もう次はないから慎重の上にも慎重を重ねたのだろう。

 

とんでもないところで日本の会社の記事を見つけたけど、悪い話ではないのでよかった。

 

ただ、いつもいう事だけど安全と安心は違う。メラミン事件は安全の問題であるから徹底的に追及すべきであろう。ついでにそろそろ、まともな食品チェックもやってない役人の問題も追及して欲しいものだ。

 

日頃は規制でがんじがらめにしておいて、実際には何のチェックもしない。それどころか汚染米の事件では地方の役人と企業が裏でつるんでたんだから、こりゃもう犯罪でしょう。

 

そのくせ何かあったら偉そうに「民間企業に対して厳しく対応」するのだけど、自分に対する甘さは、それでよいのかい?と言いたくなる。

 

権利があって義務がなくて、失敗しても責任取らなくて良くて、犯罪行為を行っても罪には問われない。

 

そりゃあ「青年は公務員を目指す」になるわな、まったく。

 

写真は水と白ワインとお茶のトリオです。

 



tom_eastwind at 00:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2008年10月02日

太平洋を越えてきた大津波

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日頃週刊で発行される経済メルマガが先週からはほぼ毎日更新されたり、いつもは色んなネタを書いているブログが経済一色になってしまったりしている。

 

先週あたりから物凄い勢いで世界中を情報が走り回り、皆が猜疑心で他の人の行動を見ている。

 

イギリスの銀行での取り付け騒ぎとかがあったし、大手証券会社が吹っ飛ぶなど、もうこうなるとどこも自分を守るだけで精一杯になる。

 

そりゃそうだが、こういう時は10歩くらい先を見て見たい。つまり、今回の米国発大恐慌の先に何があるかってことだ。

 

一番には金融の再編である。

 

日本は91年にバブルが崩壊しても何の手当てもせずじっと黙って耐えてたから、97年、ついに耐え切れずに長期信用銀行、山一證券が飛んだ。

 

91年当時の被害総額は10兆円と言われてたのが、7年間も何も手当てせずに放置してたもんだから、その被害は100兆円を越してしまった。

 

米国は今が一番の山場であり、米国を中心にして販売された様々な金融商品を抱えている銀行、特に日本の地銀はこれからいくつも吹っ飛ぶだろう。

 

ただ、銀行救済はしないけど金融システムは守っていくのが行政なので、日本では更に銀行の再編が進む。それによって銀行の体力強化を図るともいえる。

 

日本も振り返ってみれば97年頃からどんどん銀行の再編が進み、現在はメガバンクが誕生して、これでやっと欧米の大手銀行と対等に戦える規模になった。

 

その間銀行で働いていた人からすれば毎年自分の働いている銀行の名前が変わり、リストラに遭い、それこそジェットコースターに乗ってたようなものだ。

 

実質無金利状態を10年続けて、本来は預金者が受け取るはずの金利をすべて銀行が吸い取って、要するに国民の個人資産を奪っておいて今やっと体力が取り戻せたのが今のメガバンクだ。

 

米国でも次々と銀行が合併して、来年の今頃にはスーパーメガバンクが誕生するだろうし、それが金融システムの安定化には繋がる。

 

だから世界の動きを見れば一年後は全く新しい銀行体制が政府管理下に構築されて、金融は安定した方向に向かうだろう、誰が主導権を取るかは別にして。

 

金融の中心は今後多極化していく。21世紀は東京?ニューヨーク、ロンドンが拠点となるだろう。とくに欧州がこれから最大の拠点になるのではないかという気がするし、専門家の間では経済と政治の多極化、米ドルが基軸通貨から外れていくだろうと予測されている。

 

でも、一般の人々にとっての問題は誰しも自分の足元だ。ニュージーランドの銀行は大丈夫なのか?という点である。

 

この点に関しては先週も書いたけど、不安はない。

 

何故ならNZの銀行経営自体は安定しており、利益を出しているからだ。丁度銀行の決算が終わったところだが、出てくる数字はそれほど不安なものではないだろう。

 

もちろん米国の強烈なパンチで株価が急降下したり為替が大激動しているけど、預金であれば問題はない。

 

なぜなら人間が社会で生活をしていく限り個人間や企業間の決算システムは絶対に必要だし、そのための存在が銀行なのだから、すべての銀行を潰すことなんて出来やしない。

 

ましてや預金者の預金を保護しないという仕組みを取っているニュージーランド政府ではあるが、それは自己責任の話であり、今回は自己責任とは全く関係ない、太平洋の向うからやってきた「津波のような金融システムの崩壊」を防ぐというのが目的だ。

 

この点で自己責任と金融システムの保護をごちゃごちゃにして、「私のお金はどうしよう?」とどこかの掲示板で書いたりしているけど、それは問題を混同しているし現場を見ていない。預金はそのままNZの銀行に預けておく。それが一番安全だ。

 

NZでは銀行と言っても現在は17行しかなく、三菱UFJとかシティバンクみたいに個人取引をしてない銀行もあるので、日頃普通の人が利用するリテール銀行はどれもが決済システムに入り込んでいる。どこかを倒産させて自己責任ですよなど、出来ない話なのだ。

 

技術的にやるとすれば、下位銀行が上位銀行と合併する、例えばナショナルバンクとANZが合併したような方法はニュージーランドではあり得るだろう。

 

また、豪州の親銀行が今回の影響を受けて、例えばANZが資金不足になりせっかく買収したナショナル銀行をどこかに売却するという可能性などだ。

 

しかし銀行自体はNZでは健全であり、要するに親会社が倒産しても優良な資産としてどこかが買ってくれるので、銀行自体の資産は守られる、つまり預金者の預金は保護されるという事だ。極端な話もし売りに出れば、NZ政府が一時国有化するかもしれない。

 

ニュージーランド航空がアンセットの影響で倒産した時も、あれは完全な自己責任で倒産したわけではないし公共の財産であるからと国有化した。

 

更に政府が金融市場に資金をどんどん導入することで国民に安心感を与えようとしているのも、今回の問題が「他の大陸で起こった津波が、太平洋を越えてやってきたのだから、自己責任というものではない」と理解しているからだ。

 

大恐慌と言うとどうしても日本の大正時代の取り付け騒ぎをイメージする人がいるが、今の金融システムはそんなに脆弱ではない。

 

今回も米国では一般市民からは「銀行や証券の連中は今まで高い給料を貰ってたのに守るなんてふざけんな!」という意見があり救済法案は通過しなかった。その気持ちはよく分かる。ただ、今の問題は金融システムをどうするかの問題であり、自己責任の話ではないのだ。

 

自己責任の部分については、いずれ米国では「儲けすぎたディーラー」や「ボーナスを取りすぎた経営陣」を相手に告訴などの形で追及していくだろう。スケープゴートは後でいくらでも用意出来る。米国はそうするだろう。

 

ただ、よそで起こった津波のためにこっちまでおたおたする必要はない。自己責任で買った不動産とは最初から話が違うのだ。



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2008年10月01日

good Samaritan Austin Hemmings

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殺人事件だ!

 

いろんなことのあった週なのでついつい忘れてたけど、先週の木曜日にスタンフォードホテルに入ってる山水レストランの前で殺人事件があった。

 

帰宅途中の白人ビジネスマンが路上で刺し殺されたのだ。

 

事件自体は突発的なもので、計画的なものではない。

 

木曜日の午後5時ちょっと過ぎ、誰もが自宅に向かってオフィスからエレベーターに乗り込み、ある人は自分の駐車場に向かう途中だったろう。でも普通のキーウィならエレベーターから降りた目の前で女性が男性に殴られてたら、当然止めに入る。

 

今のような人が人に冷たい時代でも、目の前で女性が殴られて止めに入らないキーウィはいないだろう。

 

そして30代のIAGディーラーであるこのキーウィは自分が働くクイーンストリート沿いのビルから出てきて自宅に向かおうとした時にその場面を見て当然のごとく制止に入って、振り返った男性のナイフで胸を一突きされたのだ。

 

それから彼は自分が刺された事に呆然としながらも助けを求めて短い坂を上がり山水レストランの前の道路に倒れ、建設現場の人に助けてもらい救急車を呼んでもらったが、救急隊員の必死の介護にも関わらず数分後には死亡したのだ。

 

四つ角のほぼ真ん中に倒れた彼の死亡現場は、そのまま警察によってテントを立てられて現場保全をされた。

 

彼の死亡現場、つまり山水に通じる全ての道、右側のアルバートストリートからの入り口、左側のクイーンストリート側からの入り口、そして裏口にあたるミルズレーンの入り口すべてを封鎖されてしまったのだ。

 

僕が現場に到着したのはちょうど封鎖線が張られたばっかりで、こっちの立場を説明しても「NO!」である。状況が状況なだけにこっちもあまり言えない。だもんで殆どの人が知らない裏道から上がっていったのだが、そこも見事に封鎖されてる。さすがですな。

 

しかたないのでカスタムストリートまで1ブロック下り左に曲がり、再度アルバートストリートからスタンフォードホテルの正面に戻って何とかロビーに入る。

 

そこでこのホテルの総支配人と「やばいよね〜」とか言ってる最中に「やばいっすよ、今日は予約が数件はいってるんですよ〜」と店から連絡。

 

正面から入れるはずも無く、スタッフの皆さんあれこれ考えて、何とかお客様をご案内する方法を発見。

 

現場検証は通常1時間もあれば十分と思ってた僕は、暫く他の店で飯を食ってから9時頃に山水に移動しようと思ったら、まだ封鎖線。

 

その時になって分かった、NZでは死体はかなり長い間現場に置いておき、出来るだけたくさんの証拠を集めるんだって事。言葉を替えて言えば、短時間で要領よく現場検証をするだけの知識もマンパワーもないってことだ。

 

そりゃそうだろう、ここでこんな事件なんて一年に何件あるか。てか、何年に1件ですぜ。

 

だってこれがオークランド南部で起こったならわかるけど、街中ですぜ。

 

結局やったのはオークランド南部に住む病気で失業保険を貰ってた45歳男性と判明、女性と関係のある男性で、この男性は翌早朝04:30に自宅にいるところを警察に襲撃、逮捕されたのだが、なんだかな。助けた男性がバカを見るようなことにだけはしたくない。

 

平日の17時過ぎちょっと。僕もいつも歩いている時間だ。一つ間違えてたら俺が刺されたかもしれない・・・・そう思うキーウィは多いはずだ。

 

こうなるとクイーンストリートで仕事をする人々が集まってお金を出し合って、不審な人々をクイーンストリートから排除するようなことも考えて良いのではないか?非番の警察を自警団として雇えば、彼らも生活の糧になるし僕らも治安が守られる。

 

結局山水ではその晩は表のドアは開かず、常連さんだけが裏口からのみに来るだけとなった。

 

good Samaritanである Austin Hemmingsさん、すべての新聞で英雄と扱われてた。当然だろう。今度こそは殺人犯に対して厳罰で処して貰いたいものだ

 



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2008年09月23日

飛べない国

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450Mの大型倒産発生

 

450Mってのは英語式表現で、日本だと1Mで百万ドルになり、10Mで1千万ドルになる。だから450Mってのは4億5千万ドル、日本円で大体400億円ということになる。

 

英語の不便なのは、450百万ドルと言う表現があることで、その上の位となると日本円で言う10億(Billion)になる。

 

100万ドルの次が10億ドルなので、途中の数字を英語で話していると、こっちは日本の位で考えているので、どうしても頭の中で計算した数字がすぐに英語にならない。

 

まあこれは僕の頭が悪いことの証明なのでどうでもいいのだけど、英語で数字を話すときの注意点としていつも気をつけているところ。

 

でもって今回は、オークランドの北にある保養地オレワという町に750軒の住宅を建てて販売しようと言う大きな計画だったのだが、このデベロッパーも資金繰りで行き詰ってしまい、月曜日にギブアップ宣言となった。

 

Kensington Park Propertiesというデベロッパーの描いた全体図はニュージーランドにおいては超大型案件で、敷地内にはプール、ジム、湖などの設備を整え、勿論海に面しているのでいつでもビーチを楽しめるというのがウリだった。

 

今年の5月にはこの案件に対してニュージーランド政府も「素晴らしい!マイアミビーチのような美しさだ!」と手放しで喜んでおり、まさかその数ヵ月後にCrash!とは、思いもよらなかっただろう。

 

これは日本でも最近立て続けに起こっている事件と同じだ。日本ではスルガコーポレーションが、経営状態には何の問題もないのに突然死した。他にもいくつもの会社が同じ目に遭っている。

 

普通に考えれば経営がうまくいってれば問題なく融資は受けられる。ところが今は「普通の事態」ではなく、銀行がリスクのあるビジネスからどんどん撤退しているのだから、その大波に飲み込まれてしまえば、こりゃもう一社だけの努力でどうなるものではない。

 

日本の企業の突然死については、企業が持つ株式などの時価評価が大きい。以前なら簿価で評価しており、利益が出れば含み益として持っていられたし、損失が出ても確定させる必要がなかったので、これがクッションの役目を果たした。

 

ところが時価会計になって株式評価が一気にどーんと下がると、それまでは格付け会社のAだったのが急にbになったりする。そうすると銀行や証券会社はbに貸付出来ない規定があるので、結果的にそのような会社はつなぎの資金が借りれずに行き詰って突然死するということになる。

 

ニュージーランドの場合は少し事情が違っており、今回のケースはもっと簡単。最初から全戸売却を前提に銀行とファイナンス会社から資金を借り出していたのだが、こういう案件の場合、貸し手が全額を一回で貸し付けることはしない。

 

最初の時点で30%程度、工事の途中に20%、完成したら残額、のような小分けにしての貸し出しだが、担保は一番最初の段階で全部押えている。

 

この場合銀行が一番立場が強いので、土地を全部真っ先に押えておいてから工費総額の60%程度を融資する契約を結ぶ。

 

でもお金は最初に30%くらいしか出さないので、この時点では銀行の取り勝ち。でもって残額はクレジットと言う形で銀行に融資枠を与えるんだけど、それはもう世の中の事情が大変になると、貸しませんってことになる。

 

デベロッパーとしても750戸が予定通り青写真の時点で全部売れてれば45Mくらいは入金出来たので建設会社への支払いも困らなかったのだけど、投資家が今の事情で「引いてる」ので誰も買ってくれない。

 

ここで資金繰りに齟齬が生じた。まあ売れなくてもとりあえず建てればどうにかなるのだから、普通であれば追加担保を出して銀行から借りるのだが、今は普通ではないから銀行は貸さない。

 

ファイナンス会社はあまり担保を取れずに貸しているから、去年から次々と破綻していってる。そんな状況でファイナンス会社から追加融資を受けられるわけもない。

 

結局、Wrong place , Wrong time Wrong people となった。これを3年前にやってれば大成功だったろう。このあたり、運としかいいようがない。

 

結果的に担保が取れてないファイナンス会社がこれからも倒産を続けていくだろうが、銀行は担保をしっかり取っており、大きな損害を蒙ることもない。

 

もしかしたらまだ資金を全額貸し付けてないので、土地の担保評価を見れば、焼け太りしている可能性だってある!

 

何よりも面白いのは、先週のNZヘラルド記事だ。

 

結局キーウィ銀行家ってのはウォール街やカナリーワーフで銀行経営する「地球の王様」と比較すれば退屈で保守的だ。

Analysts and regulators said New Zealand bankers were boring but conservative compared with the "Masters of the Universe" that ran banks in Wall St and Canary Wharf.

 

だから金を貸すにも住宅不動産とか商業不動産、一般ビジネスに限定されていた。それが今回の事件でニュージーランドの銀行が大きな影響を受けなかった一番の理由だ。

 

昨日のブログでも書いたが、飛行機に乗らなかったので墜落しなかったという、ちょいと皮肉だけど健全性を見せたのが今回のニュージーランド銀行だと言える。

 

今回一番被害を受けたのはアパート投資やデベロッパーであり、商業物件や住宅物件には影響が少ないのが現状である。

 

"The most worrying speculative bubbles this time around are not the commercial property market or the housing market, but the apartment market and various bits of the land market, including coastal and resort subdivisions," said the former ASB Group Strategist.

 

今回のような案件は、資金の出し手が海外投資家であったりNZ国内の個人投資家であるケースが殆どで、ニュージーランドの一般住民に影響が出ることはない。

 

よくも悪くも、飛べない国である。



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2008年09月04日

選挙の年

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今年の11月に予定されているニュージーランドの総選挙では、永住権を持つ僕も選挙に参加する義務がある。

 

「選挙に行きましょうね」と言いながら在外邦人の選挙権さえつい最近まで認めてなかった社会主義国のような日本ではなく、民主主義の重要さを熟知しているこの国の場合は選挙民に教育宣伝すると共に参加しやすい仕組みを作っている。だから投票率も70%以上だ。

 

でもってこの国は日本と同じように小選挙区比例代表制だ。議席は120。現在は労働党が与党で国民党が野党だけど、議席数はここ数十年、両党とも50席前後を行ったりきたりと均衡してて、大体8年程度で政権が移動している。

 

記憶がちょっと曖昧だけど、1984年は労働党が政権を取り、1989年は国民党、そして1999年に労働党が取り返して、現在は労働党が政権を持っているが、今年の選挙では国民党が優勢だと下馬評では言われてる。

 

ただ、ここで面白い記事が出てきた。それは人種差別の話。

 

日本では国政選挙で外国出身の議員が出ることは殆ど考えられないが、移民の国ニュージーランドでは普通に外国人が国政に参加している。

 

同時に、最初にこの国に移民してきたマオリも特別枠を持って国政に参加している。特別枠とは要するに、一般選挙で票が取れないような候補者でもマオリ出身なら議員になれるという仕組みだ。

 

勿論どの政党もエスニック票が欲しいので、それを取り込むために民族別の「枠」を用意しているようで、今日の記事で問題になったのは、優秀なキーウィが比例代表順位の下位になっているのは、そういう民族別差別の結果だという事。

 

現在政権与党である労働党は名簿のトップ40人の中に6人のマオリ、3人のパシフィックアイランダー、3人のアジア人候補を入れている。

 

これに対して国民党は3人のマオリ、3人のアジア人、1人のパシフィックアイランダーを入れている。

 

今回訴えているのは労働党の議員で、彼女は現職なのに43番目、ところがトップ40の中には現職議員でない候補者が「several」見かけられると言う。数えりゃ分かるんだろうけど、そうは言わないところが上品か?でも結果的に「だって私の能力以下の人が私より上って、おっかしくない?」と言ってるのだから、内紛ですかな。

 

彼女の能力がどうなのか僕には知るよしもないけど、彼女からすれば白人中心の社会なのに、何よ!ってことになるのだろう。

 

ヘレンクラーク首相の指導力は認めているけど、やはり最近の経営者を潰すような労働政策については納得出来てない。だから久々に国民党が政権とって、片方に振れすぎた秤のはりを元に戻してバランスを取ってほしいと思う。

 

全部引用すると長いので、ポイントのとこだけ抜粋します。

 

*抜粋開始*

"It is surprising that here is a young Maori woman who exemplifies the kind of people we want in Parliament but there's a ranking system which may mean she doesn't get back in. I think that's very hard."

Labour's top 40 includes six Maori, three Pacific Island, and three Asian candidates - compared to the National Party which has three Maori, three Asian, and one Pacific Island candidate.

Asked if there was a "quota" for Maori in the process, Prime Minister Helen Clark said "on average, in every sixth or seventh or eight place or so there will be a Maori candidate ranked". She would not give reasons for Ms Wall's placing, saying she was only one of the 37 on the moderating committee which drew it up.

Ms Wall said it would make her fight harder in the electorate.

*抜粋終了*



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2008年08月31日

白人化

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今回のクイーンズタウン訪問で一番感じたのが、「もうアジア人は不要です」って感覚か。

それも、地元の人々と言うよりも、クイーンズタウンに旅行に来ているオーストラリア人など、よその地域の人々から発せられるメッセージである。

ちっちゃな街であり、資源景気の豪州や天下の米国から白人が続々と訪れているクイーンズタウンでは、あえてアジア人に向けた営業をする必要もない。

スキー場では随分乱暴な滑り方をする連中を見たが、大体においては豪州人。さすがにここまでやってくる欧州人や米国人はそれほど下品ではない。ホテルのレストランで朝食を食ってても、腹の中で何を考えているかは別にして、他人に対する礼儀はわきまえている。

豪州人、個人的には良い人も多いと思うが、集団になると下品。リフトに割り込んだりM1と言う初心者コースを、他人に見られたくて飛ばして人にぶつかって、それで相手に文句を言うって人種だ。

夜になるとビールとワインを持ってレストランでどんちゃん騒ぎ。

そりゃあ楽しいのは良いのだが、まるで80年代の日本農協ですぜ。

ただ、今のクイーンズタウンはそういう客が多いし、彼ら白人は自分たちが世界の盟主と本当に思い込んでいるから始末に終えない。

まあ、そういうのは日本人にもいるし、とにかく自国が一番みたいな連中が自分の信念を貫くのは良いのだが、出来れば自分たちの山の中だけでやってもらいたい。

分かっているキーウィからするとバカみたいな白人至上主義な話だが、資源を持った子供には止めようのないことなのだろう。

 



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2008年08月30日

クイーンズタウン

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クイーンズタウンの最後の夜は、僕が20年前にお世話になったマンダリンレストランで夕食。

 

オーナー夫婦、今だ現役でメニューのオーダーを取っているが彼らはすでにクイーンズタウンでも有数の資産家、そこまでして、なんて日本人なら思うのだけど、彼らは仕事を楽しんでるし、体を動かすことが健康って考えだから、働く事が全然苦になってない。

 

年は取ったがあいも変わらず元気で、久しぶりに顔を出した僕にも、お客のメニューを取る合間におしゃべりを楽しむ。

 

そういえば昨晩もあるビジネスオーナーと話す機会があったけど、クイーンズタウンはある意味今でも白人共和国であり、アジア人が客として金を落としていくのは万々歳だけど、ビジネスとして白人の懐に手を突っ込む真似に対しては物凄い反感を生む。

 

マンダリンのオーナーも、僕もずっと傍にいて見てきたが、80年代に成功して一生懸命白人社会に入ろうとしたが、結局本当の意味での「受け入れ」はなかった。

 

ドアを正しくノックすれば良いのだが、そんなことが出来るアジア人はクイーンズタウンには来ない。

 

勿論クイーンズタウンもすんごい良い街だけど、ビジネスをする時は、地域性とか自分のやりたいビジネスとかその売り出し方とか、よほどしっかり考えておかないと苦労することになる。

 

特に田舎になると、基本的にニュージーランドは社会主義国であり白人至上なんだから、その点をしっかり押えた上で自分がなにやりたいかを決めて、それなりの根回しと利益配分をやんないと、後で思いっきり叩かれる。

 

このあたり、机の上でどれだけ勉強しても分からない部分。ただ、むやみやたらに喧嘩しても勝ち目はない。

 

喧嘩をするなら、まずは自分と相手の力の関係をよく理解すること。昔の中国の戦略家の言葉。

 

 



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2008年08月27日

デモの風景

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ヌードパレード判決

僕の机はちょうどクイーンストリートとビクトリアストリートの交差点側にあるので、下を見ると時々面白い景色が見える。

この日はある種のパレードを許可するかどうかで裁判にまでなったケース。

 

詳細はNZdaisukiでご覧下さい。

**全文引用開始**

昨日、裁判を行なったニコラ・メザース判事はオークランド市側の申し立てを退け、ポルノ写真家スティーブ・クロー氏主催のヌードパレードの開催を許可した。判事はパレードは悪趣味だが無害だとし、こういった問題は「モラル」であるため難しく、判事はあくまでも法に従った判決を下したと語った。

申し立てを行なっていたオークランド市議会のキャシー・ケイシー議員は、反対する女性知人らと共に抗議運動を行なう為にクィーン通りに横たわりパレードを阻止する予定だ。

気象台は、オークランドは南西の風により冷たい空気が流れ込み、パレードが予定されている昼頃の気温は8度程度を予報している。

このランチタイム・パレードは今年で6回目を数え、約10万人の見物客を集めるイベントとなった。

判決を聞いたジョン・バンク市長は、パレードは女性侵害でクィーン通り、オークランドの恥だが、裁判所の意向に従うと感想を述べた。

**引用終了**

自由と自分勝手の間に揺れるオークランド市でした。

 



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2008年08月02日

最後の雨、、ではないな

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連日の雨がすごい。普通なら6月で雨季も去るのだが、この10年の気候変化なのか、7月も結局雨だらけだった。

 

今年は珍しく傘を使う日が数日続く。普段なら雨が降っても気にせずに横断歩道を渡るのだが、さすがに激しい雨、Heavy Rain

 

最初の頃は「重い雨」って変な言い方って思ってたが、dandan慣れた。そいでもって、パッチーレインという言い方、パッチワークの、あのパッチ。つまり「継はぎの雨」なんてのも面白い。

 

実際にオークランドで生活をしていると、頭の上は晴天なのに、数キロ向うに真っ黒な雨雲が来てて、それが後10分くらいでこっちに来るぞってのが分かる。本当に継はぎのような雨雲がオークランドを覆っているのだ。

 

それでも今朝は久々に雨雲が抜けて綺麗な景色になった。

 

雨を雨として楽しみ、晴れを晴れとして楽しむ。だから、「夜明けの来ない朝はないさ」という発想にはならない。

 

夜が悪くて朝が良いのか?そんな事はない。夜も朝も、どっちも大事。ただあるがままに生きるのみ。

 

実際、毎日生きていくのは大変だけど、だったら死ぬか?そうはならんでしょ(これまた極端?)。やっぱりあるがままに生きていくのが楽しい。

 

今週も随分と忙しく、仕事に追っかけられた一週間だった。普段は仕事を追っかけているのだが、こういうのはちょっと珍しいかも。

 

まだまだ降り続く雨。最後の雨、ではないな。

 

雨を楽しもう。

 

写真はファンショー通りから眺めるシティ。



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2008年07月31日

停電の夜

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停電、です。

 

週末に暴風雨がオークランドを襲い、お決まりの停電だ。

 

オークランド全体であちこちに被害が出ていて、お湯が数日使えない家庭、電気が使えない家庭、なんちゃらかんちゃらとテレビではネタにされている。

 

今の家に引っ越してきて、一年に3〜4回はこんな事があるのでこっちも慣れたもので、夜に土砂降り大風が吹くと、ほいほい、ロウソクとマッチを用意する。

 

土砂降りが数時間も続くと案の定、それまで観てたTVの画面が、す〜っと魂を抜かれたように消えていく。

 

ほいほいっと。マッチでロウソクに火を点けて、今日はクリスマスかな〜。

 

パソコンはバッテリーがあるので今日の仕事には困らない。食事はさっき終わった。TVがなくても困らない。たまに家族で過ごす静かな夜である。

 

むしろこんな時のほうが、皆で慣れない作業をわいわい言いながら分担する分、家族の繋がりが強くなる気がする。

 

台風と言えば思い出すのが、何故か僕の場合は高村光太郎だ。

 

智恵子抄

 

彼の詩の中では、よく自然や天気の話が出る。

 

  深夜の雪

あたたかいガスだんろの火は
ほのかな音を立て
しめきつた書斎の電燈は
しづかに、やや疲れ気味の二人を照す


宵からの曇り空が雪にかはり
さつきから見れば
もう一面に白かつたが
ただ音もなく降りつもる雪の重さを
地上と屋根と二人のこころとに感じ
むしろ楽みを包んで軟かいその重さに
世界は息をひそめて子供心の眼をみはる

「これみや、もうこんなに積つたぜ」
と、にじんだ声が遠くに聞え

やがてぽんぽんと下駄の歯をはたく音
あとはだんまりの夜も十一時となれば
話の種さへ切れ
紅茶もものうく
ただ二人手をとつて
声の無い此の世の中の深い心に耳を傾け
流れわたる時間の姿をみつめ
ほんのり汗ばんだ顔は安らかさに満ちて
ありとある人の感情をも容易(たやす)くうけいれようとする


又ぽんぽんぽんとはたく音の後から
車らしい何かの響き――
「ああ、御覧なさい、あの雪」
と、私が言へば
答へる人は忽ち童話の中に生き始め
かすかに口を開いて
雪をよろこぶ
雪も深夜をよろこんで
数限りもなく降りつもる
あたたかい雪
しんしんと身に迫つて重たい雪が――

大正二・二

 

 

有名な歌ではこんなのがある。

 

  あどけない話

智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。


阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。

 

*それとか、智恵子、よっぽど愛されていたんだなって思うような作品。

 

あなたはだんだんきれいになる

をんなが附属品をだんだん棄てると
どうしてこんなにきれいになるのか。
年で洗はれたあなたのからだは
無辺際を飛ぶ天の金属。


見えも外聞もてんで歯のたたない
中身ばかりの清冽な生きものが
生きて動いてさつさつと意慾する。


をんながをんなを取りもどすのは
かうした世紀の修業によるのか。
あなたが黙つて立つてゐると
まことに神の造りしものだ。


時時内心おどろくほど
あなたはだんだんきれいになる。

 

***

 

 

大正の詩なんだよね。まだ東京にも電気がちゃんと通じない時代、電話もないし、ファックスもないし、フェデックスもない時代。勿論インターネットもなし。

 

そんな時代に自分の心を詩にのせて、今日の天気はこうだったね、今日はこんなものを食べたよねと語る彼ら。自然と同居して生きてけた時代。

 

停電で色んな不便もあるけど、それを嫌だな〜と思うんじゃなくて、そんな日も人生にはあるよね〜って思って、じゃあそんな日はこんな事をしようかって楽しめる心の余裕。

 

そんなの今の日本じゃ出来るわけない大変だよって、それは分かる。でも、このオークランドと言う街では、あまり違和感なく、ロウソクで過ごす一晩を楽しめる。

 

それがこの街の良い点なのではないかな。

 

これはもう好き嫌いの問題なので、これ以上は何も言うことはないけど、僕は暴風雨が来るたびに高村光太郎を思い出すし、そんな日本が、たった100年前に存在してたってのは知ってる。

 

停電で風呂に入れないのが、ちょい辛いですけどね。何せこっちの家はすべて電化なのですよ。結局ガスでお湯を沸かして行水でした。



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2008年07月25日

相続税が動き出した

相続税が動き出した。昨日の朝日新聞で掲載された記事を読む。

 

とにかくあの手この手で税金を取ろうとする仕組み作りという点では、日本政府は勤勉である。

 

ただ同時に、「俺は税金を払ってもよいのだ、ちゃんと使ってくれれば」という声を、お客様からよく聞く。

 

そう、問題は払うほうではなく使うほうなのだ。使い方がデタラメで国民を愚弄しているから、皆が払う気がなくなるのだ。そんな声を聞かずに課税に走る役人、どうするつもりだろう。

 

今回の相続税改正では、今まで死者の4%くらいしか相続税の対象でなかったのを、10%くらいまでに広げる、つまり相続税の最低課税価格の引き下げを考えているようだ。

 

現時点では5千万円までが無税、5千万円以降も、相続人一人に付き1千万円までは無税だ。

 

この最低課税価格はバブル期の相続のあまりの多さに改正されたのだが、今のような超不景気時代では、そんな事やってたら税金取れない、だもんで、なんちゃらかんちゃら公平性とかどうのこうのといいつつ制度変更(盗るほうから見れば改正、盗られるほうからすれば改悪)を導入して、薄く広く、勿論高額納税者からは、あいも変わらずがっちり取るという方法だ。

 

開始がいつになるか分からないが、この制度、実は大きな矛盾を抱えている。それは税金の二重課税である。

 

要するに、普通に皆さんが働いて収入を得る際には、すでに所得税を払っている。つまりそのお金はすでに一度所得税として課税されている。なのに、それを家族が受け取ったら、再度所得として課税するのだから、どう見ても憲法違反ではないか?

 

ニュージーランドでは二重課税と言う考えはない。ニュージーランドでは、家族信託会社を立ち上げることによって、贈与税(GiftDuty)は免除される。

 

でも、そんな贈与を受けた人でも、結局そのお金でものを買うし食事をする。その時点で消費税(12.5%)として回収出来るから良いではないかという考えだ。

 

最初から事業収入に課税して、更に儲かった連中に、今度は相続で課税する、そんなんじゃ誰も働く気が出ないよ。多くの人は、家族の為に働いているのだ。

 

そういう国民の声を、何百年も民主主義やって理解している英国政府の流れを汲むニュージー政府は、要するに、豚は太らせて食えと言う政策が効果的なのをよく理解している。

 

ところが日本では、親豚を税金で殺して、更に子豚の餌をなくそうとしているのだから始末に終えない。

 

おいおい、起業ってのは物凄い危険を伴ってやることなのに、そいつらに夢を与えずに、一体誰がメシのネタを見つけてくるんだ?

 

儲かるネタを見つけてきた奴にはご褒美(相続無税)をあげる、それが当然ではないか?

 

う〜ん、どうしても、今の日本政府は日本国民を嫌いなのか?それとも、余程馬鹿にしているのか?

 

本気でそう思う。

 



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2008年07月15日

若きハッカー

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ファティアンガに住む若きコンピューターの天才が米国のペンシルヴァニア大学のコンピューターシステムにハッキングして、ニュージーランド警察、米国FBI、オランダ当局の共同調査により逮捕されたのは去年のこと

だ。

 

 

 

若きハッカー君、Akillというネット上の名前だそうだが、国際インターネットサイバー犯罪集団の一員である彼の犯意は明確、本人も自供して、地方裁判所では有罪判決を受けたのだが、今日の高等裁判所の判決では、有罪判決が出ることなく、自由に裁判所から立ち去った、そうな。

 

その理由は、本人はまだ若いし、今回の事件ではお金が目的と言うよりも自分の実力を見せ付けたかったからで、更に外国の会社から仕事のオファーも来てるから、その経歴に傷を付けたくないからなんだと。

 

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ここで普通の日本人なら、「犯罪でしょ?自供してるでしょ?証拠もあるでしょ?それにペンシルヴァニア大学は多額な損害を受けているんでしょう?それでいいんかい?」となる。

 

日本居住者からすれば目が点って感じだけど、こういう事は、実はニュージーランドではよくある。

 

犯罪者天国ってわけじゃないけど、どうもこの国の法律は、その適用に当たって最大限に犯罪者に有利に働くようになっており、通常の経済事犯とか今回のような「人を驚かせて、自分の力を見せ付けたい」ようなケースでは、無罪になることも多いのだ。

 

白人だから無罪ってわけでも、コンピューターが使えて優秀だから無罪ってわけでもなく、若者は更生の機会を与えることが必要だって考え方。

 

そういえば数年前にも面白い事件があった。Kロードで麻薬を買った40代のビジネス経営者が逮捕されたのだが、結局彼は週末の無償奉仕数百時間のみで、無罪釈放。その時の判決理由は、「このビジネス経営者は優秀で、彼が今刑務所に入ると会社の売上が下がるし、従業員も困る。だから刑務所に入れるよりも働かせて納税させたほうが社会の為だ」ってこと。

 

このあたり、日本人にはもう理解不能だろう。

 

金が万能な社会なのか?

 

勿論違う。

 

ただ、社会を支える法律に対する考え方が、日本とは根本的に異なるだけなのだ。

 

例えば麻薬で捕まった経営者の場合、彼を刑務所に入れる理由は何だ?収監費用、刑務所でのメシ代など、社会コストが発生するではないか?彼が麻薬を吸ったからと言って国民が税金を払うのでは、不公平ではないか?

 

「悪いことをしたら刑務所に入るよ」なんて考え方の人からすればあり得ないような考え方だけど、こりゃもう法律が何故存在するのか、何故刑務所が存在するか、そこから考えないと理解不能だ。

 

この国の法律を学ぼうとする若者が一番最初に教えられる黄金のルール、それは、法律は真実を追究する道具ではなく物事を整理する為の手段であるってことだ。

 

秩序を守ることが法律の精神であり、法律を守ることが法の精神ではない。だから、法律に違反したとしても秩序に影響が出なければ、てか法律を守ることで秩序に影響が出るなら、法律を適用するなって言ってるのだ。

 

この言葉をハッカー青年に当てはめると、この若者は自分のやった事を十分反省しているし、もう二度としないと言ってる、それに彼が今後立派に働いて納税してもらうほうが社会的価値が高いではないか、何故刑務所に放り込んで国民の税金で面倒を見なければいけないのだ、となる。

 

ニュージーランドに移住してきて戸惑う人が多いが、その多くはこのような法律や社会習慣の根っこの部分が理解出来ないからである。

 

表面的にニュージーランドをいくら眺めても絶対にこの「法の精神」は見えてこないし、社会習慣の持つ根っこ、それは時代背景だったり道徳心だったり、更に言えば宗教観、つまり死生観にまで落とし込まないと理解出来ない部分がある。

 

だから、日本の基準で、NZ方式が良い悪いと判断するのはやめてほしい。誰にも独特の価値観があるのだ。てか、僕はNZの法体系は合理的だと感じている。

 

ニュージーランドに移住してくる人々には、その自然の美しさや人々の優しさとかストレスフリーの部分だけを見るのではなく、国の拠って立つ根っこの部分も学んで欲しいと思う。

 

なぜなら、この国の根っこを知ることによって、初めて日本という国の良い部分、悪い部分、世界の中でどのような立ち位置にあるのかが客観的に見えてくるからだ。



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2008年07月13日

土曜日、晴天の朝

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今日のニュージーランドヘラルドのトップ記事は、有名な男性ニュースキャスターが2年前に付き合ってた彼女に「激しい蹴り」を入れて骨折させて、今になって彼女から賠償請求が来て、彼が謝罪の言葉と共にお金を払ったって事。

 

国内記事としては、警察の飲酒運転チェックが夜だけでなく、金曜日の真昼間に、ニュージーランドで最も交通量の多いクイーンストリートとビクトリアストリートの交差点で行われ、少なくとも4人程度が飲酒運転と「認定」されたそうだ。

 

最初の記事では、さて2年前の暴行事件で、その後も彼らが会ってるし、賠償金も払ってるし、こりゃ警察が介入すべきかなってところらしい。

 

二つ目の記事では、飲酒運転は昼間でも成立するのだって事を、ニュージーランドで最も忙しい地域で働くエリートビジネスマンに「教える」のが目的だそうだ。

 

そうか、エリートビジネスマンは、昼間ならお酒を飲んでも飲酒運転にはならないと考えているんだな。そういう話は確かに僕も聞いたことがある。

 

金曜日の夜にビールを飲んでる立派なビジネスマンに「車を運転するんじゃないの?」って聞くと、「俺?呑んでないよ、これはビールじゃんか、ははは」と言われて苦笑したことがある。

 

まあ確かに、ニュージーランドでは夜の接待がない分、昼間のビジネスランチで2時間くらいかけてワインやビールを飲みながら仕事の話をするので、その後に車に乗れば飲酒運転であるのは間違いない。

 

ところが一度世界に目を向けると、

1・韓国人女性が北朝鮮の軍事地帯に入り込んで射殺された!

2・米政府がサブプライム問題で住宅抵当公社への支援を打ち出した!

3・ポーランドでワレサ氏が元共産党スパイの疑いをかけられた!(これは知る人ぞ知るネタなので、知らない人には意味不明だけど大問題)

4・北朝鮮の六カ国協議が難航、日本は排除か?

 

等等、結構一触即発、次はどうなるんだ、てなネタが山積みだ。

 

ニュージーランドでは土曜の朝のトップニュースが、2年前の痴話喧嘩や昼間の飲酒問題。

 

よくも悪くもニュージーランドは平和な国だ。ただ、日本と違って平和ボケではない点は、これは国民の民度の違いであろう。 



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2008年07月12日

iphone

NZ、世界で初めてiPhone 3Gを発売

 

午前0時、ボーダフォン・クイーン街支店でAppleiPhone 3Gが世界で初めて発売された。初めてiPhone 3Gを購入したのはAUT理学療法の学生ジョニー・グラッドウェルさん。発売の55時間前から店の前にならんでいたそうだ。

iPhone 3G
は数分後にウェリントン支店およびクライストチャーチ支店でも発売が開始された。あまりにも多くの人が集まったため、警察も客の誘導に協力した。

昨日の朝にはすでに10人ほどの客が並び、中にはソファを持ってきた人もいた。発売3時間前にもなると行列は100人ほどとなっていた。行列の中には世界で誰よりもはやく購入するためにカルフォルニアから訪れた人もいた。

ボーダフォンはコーヒーや、マフィン、ハンバーガー、ジュースなどをくばり、ヒ―ターやテレビなども供給した。


生活   2008711

     **NZdaisukiのニュースから全文引用***

 

そうそう、週半ばにクイーンストリートのヴォーダフォンショップ前に若者の座り込みが始まり、何が起こってるんだ?と、ちょいと不思議だったのを思い出したが、これだったのか。

 

ニュージーランドでは結構個人レベルで色んな示威行動をする。クイーンストリートでピアノを弾いてお金を集めてた子供が警察に逮捕されると、不当逮捕だとビラ配りをしたり、その時のビデオをパソコンで公開したり。

 

基本的には平和なデモが多いし、明るい顔でやってるのでそれほど気にはならない。アジア系のデモの場合、結構過激なのが多い(指切ったり国旗燃やしたり)のに比べれば、表現の自由とそのコントロールは、バランスが取れていると思う。

 

だから最初は、てっきりヴォーダフォンに対する抗議行動かなと思ったくらいだが、坐ってる若者が毛布を持ってたりちっちゃな椅子に座ってマックで自分たちのビデオを撮ってたり、横にいる警備員がにこにこしているのを見て、おお、なんかの売り出しかなくらいには感じてたが、あんまり真剣には考えてなかった。

 

てか、iphoneの売り出しが世界で最も早い??あ、そうか、21世紀の夜明けが最初に見えたのもニュージーランドだったもんな。

 

技術があるわけでもなく、たまたま誰かが24時間を導入して、その時間帯の一番近くにいたって言う地理的な利点ですね。

 

まあ、それを言うなら隣のオーストラリアも、たまたま昼寝してたら、その地下に鉄鉱石があったってだけで、豪州人が何かの努力をしたわけではない。

 

そう考えたら、日本なんて何もないところから世界第二の経済大国になったんだから、本来ならもっと強い国民でいてもいいんだけどな〜。

 

写真は、夕陽に沈む宮島の鳥居。このまま、沈み続けるんかな〜。

 

 鳥居4



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